発達障がい児にこそおすすめする「パソコンスキル」とは

求人情報を見ているとよく記載されているのが「基本的なパソコンスキルのある方」「マイクロソフトオフィスの◯級以上」「Word/Excel/PowerPointなどが使える方」「Gmailなどを利用したメールの送受信が可能な方」などが見かけられます。

障がい者雇用の情報には「基本的なパソコンスキル」が特によく見かけられます。新型コロナウィルスの流行以降からリモートワークでの求人もかなり増え、パソコンスキルを要求されることが多くなりました。

また、年々障害者雇用促進法などの法整備が進み、障がい者の雇用数は増加傾向にあります。

※障害者雇用促進法は令和5年4月1日にも改正されてる他、令和6年4月1日にも改正が予定されています。詳しくは以下のページよりご覧ください。

外部リンク

参考:厚生労働省令和5年 障害者雇用状況の集計結果

参考:厚生労働省 令和4年障害者雇用促進法の改正等について

これらの流れは発達障害を持つ方にはかなり追い風の状況です。顔を合わせて対面してコミュニケーションを取るのは苦手でも、パソコンなどを通して文字でのコミュニケーションならば自分のペースで落ち着いてコミュニケーションを取れるため、パニックになり辛く、思うように言葉が出ない方でもコミュニケーションが取りやすい環境になりました。

そのため、小さい頃からパソコンに触れていき、パソコンスキルを鍛えていくことは将来自立していく時に役立つことでしょう。

 

求められる「パソコンスキル」とは?

ではパソコンスキルとは何なのかを見ていきましょう。

まずはタイピングができることは絶対に必要になります。ですが、タイピングと言っても手元を見ずに高速でタイピングができる人、たまに手元を見ながらにはなるがストレス無くタイピングができる人、完全に手元を見ながら1文字ずつゆっくりとタイピングをする人などがいます。上記は極端な例になりますが、タイピングで意識を割かれてしまうと本来集中すべき仕事に集中できずにミスが出てしまうこともあります。

どの程度のレベルを目指すかは、その人の障害の特性によって変わってきますが、手元を見ても良いので、ストレス無くタイピングができるようになると良いでしょう。

以下の記事にてタイピングの練習について紹介していますので、よろしければご覧ください。

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タッチタイピングを最速でマスターするための3つの練習法

次に「Word/Excel/PowerPoint」といったオフィスソフトを使えるか否かです。使えると言ってもどのレベルまでいけたら使えると言ってよいのか分かりづらいでしょう。そこでよく基準とされている資格が「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(通称MOS)」です。

一般レベルと上級レベル(エキスパート)がありますが、まずは一般レベルの取得を目指していきましょう。一般レベルでは基本的なソフトの使い方、ソフトごとの特性を活かしたファイルの作成方法などを取得できます。

上級レベルでは、ソフトのより高度な機能を使うことになります。その為、まずは一般レベルの取得後、まだ余裕がありそう、楽しく勉強ができてもっとやってみたい、目指している職業で必要ならば上級レベルを目指してみることをおすすめします。

MOSという資格を目指すことで、それに向かって勉強もしやすくなり、資格を取得できた時には達成感や、自分もやれたんだ!という自信につながり、自己肯定感も高まることでしょう。

MOSの勉強をするためには独学で勉強をする、もしくはパソコン教室などに通って勉強をする等の方法があります。どちらの方法でも良いのですが、独学の場合は何か分からない事があった時に教えてもらえる人がいないため、そこで終わってしまう場合があります。そのため、パソコン教室へ通うことをおすすめします。

私共マナカルではパソコンの基本的なスキルを伸ばすITスキル養成コース、最近小学校の授業でも行われているプログラミングコース、そしてコミュニケーション力を学ぶことができるコミュトレコースがあります。お近くの教室はこちらから探すことができますので、ご覧ください。

プログラミングが学べる文京区、静岡市、磐田市、豊橋市、豊川市、岡崎市、安城市にあるマナカルの公式ページはこちら

 

実際にどんな仕事があるの?

今回は2024年3月25日時点で障がい者求人をしている企業から名前を伏せて一部を紹介させていただきます。

 

・企業A

職種:グループホームの支援スタッフ

仕事内容:パソコンによる業務の記録(文字入力ができれば可)

 

企業B

職種:事務

仕事内容:

・輸出用書類の作成、チェック

・データ入力・登録

・取引先への問い合わせ等

 

企業C

職種:事務

仕事内容:事務業務全般

・データ入力

・加工

・スキャン

・仕分け

・封入確認作業

・社内メール便の受取、仕分け、発送等

 

その他にも学習塾の講師、一般事務、営業事務など様々な職種の求人情報がありました。職種によって要求されるスキルは違い、先程例に挙げた物は入力できれば良い物から、専用のソフトに入力をする物まであります。以上の事から見てもパソコンスキルを鍛えておくことは将来の不安を1つ取り除くきっかけになると言えるでしょう。

また、少し話が逸れますが、基本的なパソコンスキル以外の分野で、絵を描くのが得意!画像や動画の編集などもしてみたい!という人は、更にそちらを勉強していきましょう。こちらの分野も人気が出て人も増えていますが、障がい者雇用という枠の中で基本的なパソコンスキルを扱えた上で、パソコンでイラストが描けます!動画編集もできます!というのはかなりのアピールポイントになることでしょう。

 

特性によってはタッチタイピングが出来ない?

発達障害の1つ自閉スペクトラム症(ASD)の特性の1つに、手先の不器用さが挙げられます。指先が思った通りに動かず、違ったキーを入力してしまったりすることもあります。

ですが、他者よりは時間がかかってもタッチタイピングは出来るようになったという話もあります。また、完全に手元を見ないようにする必要はありません。無理をして自分を追い詰める必要はありませんので、多少確認しながらでも文字の入力が出来れば良いのです。タッチタイピングはあくまでも出来れば良い程度で考えておきましょう。

 

パソコンスキルを鍛えることは療育にも繋がる?

近年ではパソコンスキルと発達障害の相性の良さが注目されています。ITスキルに特化した療育施設もできています。

パソコンスキルを鍛えていくことで発達障害の特性によるこだわりの強さを活かしたり、新しい「好きなこと」や「得意なこと」を発見するきっかけになったり、今まではできなかった頭の中のイメージをパソコンを通して表現(デジタルペイントや3Dプリンターなど)し、見てもらえることで成功体験が積み重なり、自己肯定感が育まれていくこともあります。

 

【まとめ】発達障がい児にこそおすすめする「パソコンスキル」とは

ここまで発達障がい児におすすめするパソコンスキルについて紹介をしてきました。

新たなコミュニケーションツールになる、スキルを鍛えることで障害を持っていても将来就職する可能性が出来る、障害の特性上自宅から出ることが中々難しくてもリモートワークをすることができるなど様々な点から発達障害とパソコンスキルの相性の良さが見られました。

早い内からパソコンと触れ合うことで、正しい知識を学び、楽しくスキルを鍛えていくことができます。もし興味が沸いたり、お子さんがパソコンに対して関心を持っていたらまずは体験から始めてみてはいかがでしょうか?