発達障害児の療育はほとんどが間違っている?ここをチェック!

療育という言葉をご存じでしょうか?最近では広く目にするようになってきました。しかしひとくちに療育と言ってもさまざまな解釈をされている方が多いようです。そこで今回は発達障害児も通う習い事教室の取締役を務め、教育業に携わり10年以上の私が、本当の意味での療育とは一体どのようなものなのかを解説していきたいと思います。

発達障害児支援で使われる療育の定義とは

まず療育の定義を辞書で引いてみましょう。

心身に障害をもつ児童に対して、社会人として自立できるように医療と教育のバランスを保ちながら並行してすすめること。東京大学名誉教授の高木憲次によって提唱された概念で、「治療をしながら教育する」ことが大切であるという意味合いが込められている。すなわち「療」とは医療あるいは治療を意味し、「育」とは養育や保育もしくは教育を意味する」

日本大百科全書より引用

ここで最も大切なのは、この「バランス」という表現です。一般的に療育というと知育玩具を使ったりしてその子の特性をカバーしたり、ケーススタディを繰り返して特定のケースに対する対策をとったりするということが多く挙げられます。当然それも間違った行動ではありませんし、療育のひとつとしてみなすことが出来ます。

しかし、今確認したように大切なのは「療」と「育」のバランスをとることなのです。この点を逸している解説書やインターネット上の情報も散見されますので、その点は注意が必要だと思います。インターネットで「療育」と検索するとすぐにわかるのですが2つの意見に分かれます。それは、

  • 療育は早期にすべきである!
  • 療育は極力すべきではない!

このような情報のゆがみや嘘に閲覧者は困惑してしまうわけです。ある情報ではやるべきだと書いてあったのに、ここではだめだと書いてある。このような状況が現代社会だと非常に多くあります。発達障害児と日々向き合っている保護者の皆様にとってもこのような事態はストレスが溜まる一方でしょう。そのため私が一番お勧めしているのは、発達障害児支援に関する資格を取得することです。資格取得をすることで体系的に学ぶことができるため、偏った考え方を矯正してくれる効果があります。資格が必要かどうかと言う事よりも、体系的に学ぶことが出来るというメリットから資格取得を勧めています。

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療育のバランスが「療」に傾くと・・・

では、なぜそこまでこのバランスが重要なのかひとつずつ例を取りながら確認をしてみましょう。

まず「療」の方にバランスが傾くとどのようなことが起こりうるでしょうか。これはとてもシンプルで幼少期に「自分は発達障害である」という自己洗脳をしてしまうことにあります。幼少期は発達障害なのかどうなのかの判断が非常に難しいと言われています。それもそのはず。脳の発達には個人差があります。とくに12歳までの年齢ではかなり差があり、早い子と遅い子が生まれてしまうのです。

一般的には女の子の方が脳の成長が早いと言われていますよね。脳の発達のゆっくりな男の子の言動がどうしても以上に見てしまいがちなのです。そのため「発達障害では?」と心配になることも多くなり、診断を受ける。その結果発達障害の診断チェックに多くあてはまり、グレーゾーンもしくは発達障害と言われることに繋がる。このパターンが非常に多くあります。

ただしそういった子でも中学生、高校生になったらあまりその傾向が見られなくなったと言う事も往々にしてあります。これは経験則からその子が学んでいったと言う事もあるかもしれませんが、脳の成長が他の子に追いつき「差が気にならなくなった」というだけなのかもしれません。

まずこういったことがあり得ると言う事を理解してください。にもかかわらず早期に「療」のケアばかりしてしまうと、ありもしない発達障害をその子に植え付けてしまうことになるかもしれません。そしてそれが自己肯定感に繋がっていく。そして二次障害へという流れになってしまっては最悪です。

「療」にバランスが傾く一番の危うさはここです。十分に気を付ける必要があるでしょう。

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療育のバランスが「育」に傾くと・・・

次は「育」に傾いた場合を考えてみましょう。

発達障害という診断が下ったとしても「いや、私の子は絶対に違う!」と言い続ける保護者が一定数いることは事実ですし、そのお気持ちもその考え方も十分に理解が出来ます。しかし、その気持ちが余計に子供を苦しめてしまう結果になることもあることを知りましょう。

発達障害とは脳の障害です。つまりしつけや言い聞かせることでどうにかなることとならないこともあると言う事でしょう。障害、つまりうまく出来ない状態なのですから。にもかかわらず「こういう教え方をすれば大丈夫」「この教材を使えば出来るようになる」「右脳開発をすれば・・・」と教育上良いと言われるものを片っ端からやっても効果が出るわけもありません。

そればかりでなく子供が「親の期待に応えられない」という自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。さらには「これだけやっているのになぜできないんだ!?」と保護者自身も嫌になってしまったり、子供さんにあたってしまうこともありえます。その結果自己肯定感が低下して、二次障害へと繋がっていくという先ほどと同じような流れが出来上がってしまうのです。

日本の文部科学省は発達障害についてこのように定義づけています。

「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」

文部科学省のHPより引用

あくまでも「脳機能障害」なのです。足が片方ないという障害を抱えている方に「両足を使って早く走れ!」と言いますか?排泄が自分の意志で出来ない障がい者に「意志の力が弱いからおもらしするんだよ!」と言えますか?発達障害者に対して「教育」だけでどうにかしようというのは、ある意味今言ったことをやっているようなものなのです。

それでは双方ともに苦しいことが想像できるでしょう。「育」にこだわる危険性はここなのです!

発達障害児支援は「療」「育」のバランスを大切に

以上のように、療育のバランスをとることが非常に重要であることが分かったかと思います。ではいざ療育を学ぼうと思った時にはどうしたらよいでしょうか?

その一番の方法が先ほど紹介した資格を通じた方法だと思います。インターネットで情報収集することもいいことです。しかし一つ言えることは、インターネットの情報は自分が見たい記事しか見ていません。見たい文字しか読めていません。またインターネットはあなたの閲覧履歴に基づき、あなたに好まれる記事しか表面上にうきあがってきません。この状態ではバランスをとることはかなり難しいと言わざるを得ないでしょう。どこからが「療」でどこまでが「育」なのか不明確なように線引きが難しいです。

そこで唯一バランスを強制的にとれる可能性があるのが資格学習です。資格として世に出すためには、裏付けをとったり、医学的な見地からみたりする必要があり、ネット情報やいち個人が販売している書籍よりも、バランスがとれていることが多いです。当然どの資格でもお勧めというわけではありません。私の方で3つほど紹介している記事がありますので詳細はそちらをご覧ください。

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【まとめ】発達障害児の療育のほとんどが間違っている!?

以上で、発達障害児の療育のほとんどが間違っている!?についての解説を終わりにしたいと思います。

タイトルで書いた「間違っている」とまでは思っていませんが、「適切ではない」と思っています。その理由は今まで紹介してきた療育のバランスの観点からです。

健常児の子育てでも非常に苦労も不安も悩みも大きいものです。それが発達障害児の子育てとなればさらに考えるべきことは多くなるでしょう。それなのにネット上には偏った考え方ばかりが書いてあり、調べれば調べるほど保護者が苦しむことになることがあるのです。そして一家の太陽でもあるお母様がもしその状況になってしまうと、発達障害児であれ健常児であれ子供たちの気持ちまで暗く沈んでいってしまうでしょう。私も教育業に携わり10年以上ですが、どこの家庭も一番はお母さんです。子供は100%お母さんのことは好きと言います。お父さんのことは90%くらい(笑)そのくらい影響力が大きいのがお母さん。自信をもって子育てをするためにも正しい知識を得るようにしてくださいね。

今のままでも十分頑張っているお母さん、最後までご覧いただきありがとうございました!