こんにちは、今回は特別支援学級や特別支援学校の状況について確認をしていきたいと思います。こう思ったのは、知人から「地元の○○小学校だけど、今特別支援学級が5クラスもあるらしいよ」という話でした。「え?そんなに増えているの!?」と驚きましたので、日本の現状を調査していきたいと思います。このデータは令和元年に文部科学省が発表しているデータとなり、比較的新しい情報です。是非参考になさってください。
特別支援教育の定義について
まずは国の定義から確認をしていきましょう。こういったものはまず定義をしっかりと押さえることが非常に重要です。
障害のある子供については、障害の状態に応じて、その可能性を最大限に伸ばし、自立と社会参加に必要な力を培うため、一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な指導及び必要な支援を行う必要がある。
このため、障害の状態等に応じ、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級 、通級による指導等において、特別の教育課程、少人数の学級編制、特別な配慮の下に作成された教科書、専門的な知識・経験のある教職員、障害に配慮した施設・設備などを活用した指導や支援が行われている。
特別支援教育は、発達障害のある子供も含めて、障害により特別な支援を必要とする子供が在籍する全ての学校において実施されるものである。
ここで3つの括りが明確になりました。それは特別支援学校、特別支援学級、通級という括りです。次はこの3つについて明確にしていきます。
①特別支援学校
障害の程度が比較的重い子供を対象として教育を行う学校。公立特別支援学校(小・中学部)の1学級の標準は6人(重複障害の場合3人)。対象障害種は、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱(身体虚弱を含む)。⇒平成19年4月から、児童生徒等の障害の重複化等に対応した適切な教育を行うため、従来の盲・ 聾・養護学校の制度から複数の障害種別を対象とすることができる特別支援学校の制度に転換。
②特別支援学級
障害のある子供のために小・中学校に障害の種別ごとに置かれる少人数の学級(8人を標準(公立))。知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害の学級がある。③通級による指導
小・中学校の通常の学級に在籍する障害のある児童生徒に対して、ほとんどの授業(主として各教科などの指導)を通常の学級で行いながら、週に1単位時間~8単位時間(LD、ADHDは月1単位時間から週8単位時間)程度、障害に基づく種々の困難の改善・克服に必要な特別の指導を特別の場で行う教育形態。対象とする障害種は言語障害、自閉症、情緒障害、弱視、難聴、LD、ADHD、肢体不自由及び病弱・身体虚弱。
増える対象児童数
ここからは、先ほど確認した「特別支援学校」「特別支援学級」「通級による指導」の3つに分けてみていきたいと思います。結論から言うと、平成19年(2007年)から41万人も対象児童が増えています。知っての通り、日本の児童数は減少傾向にあるにもかかわらず、この増加量はとても多いものだとお分かりいただけるでしょう。では3つの分類ごとの統計を紹介します。
特別支援学校
通学児童数 7万2千人(H19年比で1.2倍)
文部科学省「日本の特別支援教育の状況について」により引用
特別支援学級
通学児童数 23万6千人(H19年比で2.1倍)
文部科学省「日本の特別支援教育の状況について」により引用
通級による指導
通学児童数 10万9千人(H19年比で2.4倍)
文部科学省「日本の特別支援教育の状況について」により引用
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不足する特別支援学校
統計で分かったとおり、特別支援教育を必要とする子供たちは年々増加傾向にあります。子供の人口は減っているので、児童に対する割合でみると、年々すごい勢いで割合も増えていることがわかります。しかしこれからもこの数は増えていくだろうことが予想されます。それは効率の特別支援学校の教室はまだまだ不足傾向だからです。つまり、学校側の体制が整えば、更にそこに通学する子は増えるという事です。
文部科学省「日本の特別支援教育の状況について」により引用
このデータからもわかるように、ほとんどの都道府県で体制は不十分であることがわかります。都心と愛知、静岡の不足が目立ちます。これは私の考えですが、これだけの不足がある状態で、十分な数になるのはいつなのかと言えば、たぶん一生訪れないという事です。流石にこの数に対応することは難しいと言わざるを得ません。
体制が整わないという事はどういうことか。その先には恐ろしい未来があります。本来特別支援学校に行くべき子供が行けず通常クラスに通学する。するとやはり授業についていくことができなかったり、うまく他者と関わることができずいじめや嫌がらせの対象になる。それが不登校に繋がり、引きこもりに繋がるという流れです。これは何も大袈裟な話ではありません。その子の適切な居場所が作れないというのは本当につらいことです。皆さんも肌に合わなかった職場や交友関係というものが一度はあったでしょう。その中に独りぼっちで9年間はいなければいけない。そう考えたら恐ろしくありませんか?大人であれば自分で判断し、引っ越したり、転職したり、付き合う人を変えることができますが、義務教育に縛られる子供たちはなかなかそうはいきません。そのため私はこのデータを見て、日本の障害者に対する対応の遅さに本当にいらだちを覚えました。(すみません、余談が過ぎました)
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特別支援教育をする先生はプロ?
特別支援学校の教員になるには「特別支援学校教諭免許状」が必要です。ただし、一部例外もあり、この辺りは私たちでは踏み込めないグレーな部分があります。また特別支援学級や通級の指導をする教員の方については、「特別支援学校教諭免許状」を有する法令上の規定はないとなっています。そのため簡単に表現すると以下のようになります。
- 特別支援学校=教員免許+特別支援学校教諭免許状(一部例外あり)
- 特別支援学級・通級=教員免許
このようになります。実際にどの程度の割合で「特別支援学校教諭免許状」を持っているのかについて確認してみましょう。
文部科学省「日本の特別支援教育の状況について」により引用
どうでしょう。本来義務付けられている特別支援学校では約8割の保有率。義務付けのない特別支援学級では約3割の保有率。正直十分とは全く言えない数字ではないでしょうか?特別支援学校や特別支援学級に通わせるという決断は、ご両親にとって非常に大きなものですし、子供にとっても人生の分岐点になる可能性すらあります。
しかし、実際に行ったら通常の教員免許しか持っていない先生であった。。。。そのため専門知識に乏しく適切な支援が望めない。なんてことになったら、何のために特別支援学校や学級に入れているのかという話になりますね。一度通い始めたらそう簡単に変えることはできません。そういったことを考えるともっと整備をしっかりして欲しいと私は感じます。
こういう現状から、民間の療育関係の資格を取得される先生方も多いようです。児童発達支援士や発達障害児支援士の口コミでも「学校の教員をしていますが、、、、」という口コミをよく見かけます。もちろん民間資格なのでどうなの?という部分はあるかもしれませんが、努力の姿勢がある先生であることに違いはないので、そういった先生にあたればラッキーだと思います。ただ子供の人生を左右することが「ラッキー」かどうかで決まるのはいかがなものでしょうか。
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いかがだったでしょうか?
今回の記事をまとめると、
- 特別支援教育を受けている子は年々増えている
- 特別支援学校はかなり不足している
- 専門資格を有した先生も不十分である
以上のことがわかりました。このことを理解したうえで、自分で何をするかです。私はいまま厳しいことも伝えてきましたが、国が悪いとも思っていません。もちろん責任はあると思いますが、すべてを任せるというのも話が違います。保護者と学校とともにベストを尽くすべきだと思います。学校で良い経験ができなくても、保護者の働きかけが上手だったから成功したという人は無数にいます。そのことからも、保護者自身がスキルアップをすることも重要だと思っています。是非参考になさってくださいね!
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