今回は、発達障害児の問題行動を4つに分類し支援していく方法についてご紹介していきます。今回のお話は「行動分析」のお話になりますので、発達障害児に限らず定型発達のお子様にも摘要することができる内容になっています。是非最後までご覧ください。
行動分析とは
行動分析というのは、行動分析額という学問で、スキナーが行動主義に基づく心理学の一体系として発表しているものになります。要するに、人間又は動物などの行動を分析する学問です。具体的には環境を操作することで行動がどれほど変化するのかという事をまとめているものです。そこから行動の原理や法則を導き出しています。
この行動分析額を人間や動物の様々な問題行動の解決に応用しているものが、応用行動分析(ABA分析)というものになります。応用行動分析ときくと、発達障害児の療育や支援でよく用いられている手法になるので聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
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子供の問題行動にも目的がある
子供が問題行動を起こしたときにまず考えて欲しいことがあります。
それは「発達障害の特性が故に、出来ないのか。それともわざと問題行動を起こしているのか」
この点です。このすみわけは非常に重要になります。特性上どうしてもその子にとっては難しいことであるにもかかわらず「わざとやっている」と判断し、対処してもうまくいくとは思えません。またその逆も然りです。そのため、これから紹介する問題行動の4つの特徴を見ていく前に、子供の様子をしっかりと観察し、どうしてもできないことなのか、わざと問題行動を起こしているかを判断してください。
この記事では、あくまでも意図的に起こしている問題行動についての対処法をここで紹介していきます。発達障害に関する特性に関しては、他の記事で紹介していますのでそちらを参照頂けると良いかと思います。
参考記事
3歳・4歳・5歳児に現れる自閉スペクトラム症とADHDの特性
それでは、問題行動の4つの分類を紹介していきます。
- 注目
- 獲得
- 逃避
- 感覚探求
以上となります。これらの行動に対する他者の反応から子供は「こうすれば自分の思い通りになるのか!要求が通ったな!」と感じるようになります。これを「誤学習」と言ったりしますね。一度誤学習をしてしまうとそれを改めることは労力を伴います。本人としてはそれが楽しいことであり気持ちの良いことだったりするため、それを手放させるというのはかなり大変です。変化を嫌う発達障害児であればその苦労はさらに大きくなると言えます。そのため、これから紹介していく4つのパターンに当てはまると判断した際には、その場で適切な行動に変えるよう都度矯正をしていくようにしましょう。
注目の獲得
これは注目やかかわりが少ない状況で、その行動を起こすと、周囲の人の注目やかかわりを得られるという心理となります。この問題行動をABCフレームに当てはめてみましょう。ABCフレームというのは以下のようなものです。
A)どんな状況・場面だったのか
B)どんな行動をしたのか
C)どんな結果が得られたか・避けられたか
このようなものがABCフレームとなります。例えばこの注目の獲得をABCフレームにハメてみると、
A)誰にも関心を寄せてもらえない
B)みんなの前で大騒ぎをする
C)クラスメイトから注目を浴びた
このようになります。皆さんの学生時代を思い返してもらうと当てはまる事例を思い出せるのではないでしょうか。きっと注目の獲得をするために、授業中に騒いでいるタイプの子がいたと思います。この行動分析がわかっていれば、「迷惑な奴だな」と思うだけではなく、きっと内心は寂しいんだろうなと思えたり、家庭環境はどういう状況なんだろうかと思うことができるのではないでしょうか。注目の獲得を目的としている子からすれば、そういう理解者がいて理解者が自分に注目をしてくれるだけでも、問題行動は減っていくという事になります。
それは先ほど紹介したABCフレームのAが無くなるからです。Aはきっかけとなる事なので、ここが無くなれば問題行動が無くなるという事になります。
物や活動の獲得
これは欲しいものを得ることや、自分の要求を通すために行われる行動になります。これも先ほどのABCフレームに当てはめてみましょう。
A)欲しいおもちゃが手に入らない
B)その場で泣きさけび動かない
C)おもちゃを買ってもらえた
このようなものが獲得を目的とした問題行動の起こし方になります。このような場面も幼児にはよく見られるでしょう。また発達障害の特性を持っている子供も、こだわりが強かったり、その場の空気を読む行動が難しいために、このような行為を行ってしまうことが多くなるでしょう。発達障害の特性を持つ子の場合は、多少対応が異なりますが、特性を持つ子だからと言ってそれが問題行動ではないとは言い切れません。どこかで意識をして意図的にこの行為をしている可能性も十分あり得ますから、しっかりと状況を見極めるようにしましょう!
逃避
こちらは自分が望まない状況が訪れないよう逃げることを言います。こちらも同じようにABCフレームに当てはめてみましょう。
A)苦手な科目の授業がある
B)嘘をついてずる休みをする
C)嫌な科目を受けずに済む
いわゆるずる休みというものですね。子供の表情や様子をよく観察していればすぐにわかりますので、問題行動かどうかの判断をしましょう。ただし問題行動とわかったからと言って叱責をして無理やりでもやらせればよいかというとそれは違います。そこまでして子供が嫌だと思っている理由は何なのか?そこを見極めたり、子供に聞いたりして今後に繋げていくことが望ましいと言えます。この考え方はとても大切です。問題行動を見極める目的でこの記事を書いているわけではありません。見極めたうえで早期のメンタルケアを行うことや誤学習を正す目的で記事を書いています。その点を忘れないようにしてください。
感覚や刺激の獲得
こちらは爪を噛んだり、自分自身をつねったりという行為が当てはまります。ひどい場合には自傷行為に近いものまで考えられます。はたから見ると自傷行為は痛いことにみえるかもしれませんが、本人からすると自傷行為をすることでスッキリするということもあるようです。それは刺激を獲得しているのでメンタル的に落ち着くという意味もありスッキリという表現をされるのだと思います。
問題行動への適切な対処法
ここまで4つの問題行動のパターンをご紹介しました。どれもイメージできたものでしょう。それほどまでに皆さん自身、また学生時代のクラスメイトが当たり前のように行っているのがこのような問題行動なのです。その時にしっかりと正してくれる人がいればよいのですが、周りにそういう大人がいなければ誤学習をして、間違った感覚のまま大人になります。大人になるとそれでは誰も動いてくれず自分の要求が通らないことに気づきます。その時に、誤学習が治る場合もありますが、悪いパターンだと問題行動の強度を強めることになります。
あまり例にも出したくありませんが、ニュースに取り上げられるような殺人事件や誘拐事件の犯人の動機を見ていると、これらの問題行動の延長線上にあるという事がイメージできるのではないでしょうか。これは幼少期に適切な対処をされてこなかったからこうなったと言えます。
では先ほど紹介した4つの問題行動の適切な対処法はどのような物でしょうか。ひとつずつ簡潔にご紹介します。
- 注目➡(問題行動を起こした際)注目をしない、関心を寄せない
- 獲得➡(問題行動を起こした際)ものを買ったり、要望を通さない
- 逃避➡(問題行動を起こした際)逃げる行動をとらせない
- 感覚探求➡(問題行動を起こした際)社会的に認められるような行動に置き換える
このようになります。これが基本的な問題行動への対応方法となります。
しかし、先ほども少し伝えましたが、問題行動を起こすという事は、その子の中で何かフラストレーションがたまっていたり、ストレスが溜まっていたりする状況であることが多いのです。特に「注目」に関しては、保護者が生まれたばかりの赤ちゃんにばかり意識を向け、お兄ちゃん・お姉ちゃんには関心を寄せないという時によくおこります。また学校では優等生の子供にはあまり関心を寄せず、うるさくしている子供にばかり先生やクラスメイトが注目をしている状況でも起こり得ます。優等生だったのに、思春期ごろからぐれてしまったという子供が多いのはこういう理由もあります。
そのため、4つ端的に対処法を紹介しましたが、それはその場の対処法であり、根本的な対処法ではないことを理解してください。根本的な対処法に関しては、対話を繰り返すことで多くの場合は解決できると言えるでしょう。コミュニケーションをしっかりととってあげる。それだけでも子供のメンタルは大きく変わります。
【まとめ】子供の問題行動を4つに分類し適切な対応を
いかがだったでしょうか?お子様の問題行動で悩んでいる保護者もきっと多いことでしょう。
どこから手を付ければよいかは一概には言えませんが、ただ一つ言えることは、保護者や支援者自身がしっかりとスキルアップをして教育や子育てについて正しい理解をしていくという事はとても重要でしょう。そうでなければ、ご自身が自分の親からされたようにするしか方法がないわけですから。それがいけないとは言いません。しかし、ご自身が味わっている幸せ以上の人生を送って欲しいと願うのであれば、学ぶ必要があるのではないでしょうか。
学んだ時間はきっとあなたとお子様の実となるはずです。地道な道ですが、一歩ずつゆっくり歩みを進めていきましょう!
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