発達障がい児に大切な非認知能力と社会情緒的能力とは

皆さんは、非認知能力という言葉をご存じでしょうか?では社会情緒的能力はいかがでしょうか?最近これらの言葉がインターネット上でもよく見られるようになってきました。これらは発達障がい児を育てるうえで非常に重要なものだと言えますので、一緒に確認をしていきましょう。

非認知能力とは?

まずは非認知能力の確認をしていきましょう。非認知能力とは「IQ」「学力」「記憶力」のように簡単に数値化できるものではないが、子どもの将来や人生を豊かにする一連の能力のことを指しています。これだけだとまたわかりにくい部分があるかもしれません。具体的にどのような能力があるかというと下記のようなものがあります。

  • 自尊心
  • 自己肯定感
  • 自己管理能力
  • リーダーシップ
  • 社交性
  • コミュニケーション力
  • 協調性
  • 忍耐力
  • 持続力
  • 熱意
  • 自制心
  • 勤勉性
  • 創造力
  • 問題解決力

などこのようなものが挙げられます。もっと細かくあげていくことも出来ますが、ここでは代表的な物だけご紹介いたしました。

ペリー就学前教育プログラムとは

非認知能力がどのように子供の将来を豊かにするのかという事を説明する際によく言われるのが「ペリー就学前教育プログラム」というものです。

このプログラムでは、経済的に余裕がなく幼児教育を受けさせることができない貧困世帯の、3,4歳の子どもを対象にした教育実験です。半分の子どもには週3回教室で授業を受けさせたり、週に1回家庭訪問し個別指導をしたりという教育を施しました。この就学前プログラムの教育を受けた子どもと受けなかった子どもで、その後の人生にどのような違いがうまれるかを40年にわたり追跡調査したのです。

すると就学前教育プログラムを受けた子どもと受けなかった子どもで、犯罪率・学校中退・留年率・所得・学歴・麻薬使用率などの項目で優位な差が認められたのです。

つまり就学前教育プログラムを受けたことで、人生が豊かになるという結論に行きついています。

この就学前教育プログラムを受けた子供たちは、IQが高まったから人生が豊かになったのでは?と思われそうですが、IQは10歳ころには他の子との差は出ていなかったとも調査結果が出ています。つまり就学前教育プログラムで「認知能力」が高まっていたのではなく、それ以外の能力「認知できない能力(=非認知能力)」が高まっていたという事が見えてきたのです。このことをからさまざまな研究がおこなわれ、今日の非認知能力という定義が生まれたとも言えるでしょう。

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社会情緒的能力とは

次に社会情緒的能力について紹介します。この言葉はOECD(経済協力開発機構)が認知的スキルと対比するスキルとして表現している言葉になります。OECDというのは国際的な機関でアメリカやヨーロッパ、日本など先進国の集まりです。その中では「認知能力と非認知能力」という表現ではなく「認知能力と社会情緒的能力」と表現しています。

結論から申せば、社会情緒的能力と非認知能力はほぼイコールの関係性だと思っていただいてよいでしょう。

社会情緒的能力を説明するときにも、先ほど紹介したペリー就学前教育プログラムの話が出てきます。そういった点からも着目している点は同一だと言えるでしょう。

社会情緒的能力を構成する3つの要素

  1. 目標の達成
  2. 情緒の抑制
  3. 他者との協働

これら3つの要素から構成されていると言います。目標の達成には「頑張る力」「熱意」などが必要になります。情緒の抑制には「自尊心」「自己管理能力」「忍耐力」などが必要でしょう。他者との協働では「社交性」「コミュ力」「協調性」などが必要となります。つまり、先ほど非認知能力で紹介した項目とほぼ合致するのです。

OECDが唱える社会情緒的能力の2つの特徴

1つ目は、社会情緒的能力は障害を通じて発達させることができるという事です。その土台が幼少期であることは紛れもないことなのですが、だからといって幼少期をすぎたら時すでに遅し、、、という事ではないという事です。希望を感じますよね。

2つ目は、社会情緒的能力は認知能力を支えると共に、認知能力に支えられているものでもあるという事です。つまり持ちつ持たれつの関係性があるという事です。

結局同じ意味という認識でいいの?

はい、私は同じ意味と捉えてよいと思います。当然学術的には、、、と反論される方もいらっしゃるかもしれませんが、発達障がい児によりより未来をあたえたいと考えている読者の皆様にとっては同じ意味と捉えて何の問題もありません。

現在日本ではどちらかというと「非認知能力」という表現が優位なような気がします。が、今後は社会情緒的能力の方が優位になるのではないかと思います。というのも「非認知能力」の「非」という表現は否定を意味する言葉であり、「認知能力じゃない能力」という表現になってしまうので、なんとなく印象が良くないと思うんです。文字にそこまで大きな意味合いはないかもしれませんが、情報として日本人に普及していく際には、やはり「非」という表現は広まりにくいのではないかと思います。

更に「非認知能力とは」と聞かれると案外答えに困ると思うんです。なんというか分かりそうで分かりにくい表現何ですよね。非認知能力って具体的にどんな能力なのかがパッと想像できない。人によっていうことがかなり変わる印象があります。それでは言葉として普及しないでしょう。

それに対して「社会情緒的能力」というのは非常にわかりやすいかなと思います。「社会」という言葉から「社交性」「協調性」「コミュ力」という言葉が浮かぶでしょう。「情緒」という言葉から「自分の感情をコントロールする」と浮かぶでしょう。それらのイメージがくっつくと「社会情緒的能力とは、社会の中で自分の感情をコントロールしながら、みんなでうまくやる能力のこと」という大まかなイメージが共有できると思います。共通の認識を抱きやすいという事からこちらの言葉の方が優位になるのではないかなーと勝手に予想しております。ただしこれは完全に私の考えなので、外れてもご了承くださいね。

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【まとめ】発達障がい児に大切な非認知能力と社会情緒的能力とは

いかがだったでしょうか。今回は非認知能力と社会情緒的能力についての解説をしてきました。どちらも同じ意味をもつことがお分かりいただけたでしょう。

発達障がい児にとってはこの能力を高めることが非常に重要になってくるわけです。ではどのようにすればこれらの能力が高まっていくのか。そのあたりはまた徹底的に解説した記事をUPしていきますので少々お待ちください。ここで紹介したペリー就学前教育プログラムのようにきっと子どもの未来を変える重要な要素になるでしょう。

今後も非認知能力・社会情緒的能力という言葉に対して、敏感に情報収集をして子育てや発達支援にお役立てください。

最後までご覧いただき有難うございました。

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