発達障がい児にあらわれやすい二次障害(精神疾患)とは何か

発達障害の特性があると様々な困難や苦労があるかと思います。今回はその中の1つ「二次障害」について紹介していきたいと思います。

二次障害とは?

まず、二次障害とは発達障害などで周囲からの理解を得られ辛い環境などで繰り返し注意された経験や、不安な経験をすることから自己肯定感が下がり起こり得る二次的な障害のことを指します。二次障害には「内在化障害」と「外在化障害」の2つに分類されます。

  • 内在化障害・・・自分に対する苛立ちや精神的な葛藤などが自分に向けて表現され、自分自身に大きく影響を及ぼす精神疾患や症状のことを指します。
  • 外在化障害・・・他者に対して影響を及ぼすものを指します。自分のことを誰にも理解されない、自分では努力をしているのに怒られてしまうなどの経験から、他者に対して問題行動を起こすことで発達障害の葛藤を表現しています。また、外在化障害は内在化障害と併せて起こる可能性もあります。

次は二次障害として起きやすい障害をご紹介していきます。

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1.うつ病

発達障害の二次障害の中で最も多いと言われているものがうつ病です。症状としては気分が落ち込んだ状態が続き無気力にある。どんな事をしていても楽しくない、生きているのが辛いと感じる、外が怖く家から1歩も出たくない、何に対してもすぐ怒ってしまう、身体がだるいと感じる、動機が激しい、食欲不振、不眠などが挙げられます。

これらのような精神症状や身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じます。うつ病は気分障害の1つですが、うつ病の他にうつ病との鑑別が必要な双極性障害(躁うつ病)があります。詳しい症状などは次の項目でご紹介しますが、うつ病と双極性障害とでは治療法が大きく異なりますので、専門家による判断が必要となります。

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2.双極性障害(躁うつ病)

うつ病だと思いながらも極端に調子がよくなって活発になる時期がある場合は、うつ病ではなく双極性障害(躁うつ病)の可能性があります。双極性障害では「ハイテンションで活動的な躁状態」と「憂うつで無気力なうつ状態」を繰り返す傾向があります。躁状態では、眠らなくても活発に活動できる、次々とアイディアが浮かんでくる、自分が偉大な人間だと感じる、大きな買い物やギャンブルで散財することがあるといった症状が見られます。

躁状態の時はとても気分がよく、活動ができるため本人に自覚が無いことが多いです。そのためうつ状態の落ち込んだ時に病院に行ったり相談するため中々気付かれにくい特徴があります。

注意欠陥多動性障害(ADHD)の方は衝動・突発性が強い特性や、興味関心をコントロールできない特徴があります。そのため、とても良い感覚で居られる時と非常に落ち込む時という気分の山と谷を味わいやすくなります。これは双極性障害の波と似ているため周囲も、そして本人でさえ見分けがつきにくい状態になることがあります。

3.引きこもり

過去に発達障害をきっかけとしたいじめや、他者とのコミュニケーション上でのトラブルなどから他者と関わることへの恐怖や拒否感から外へ出ることを拒み、引きこもりになってしまうケースがあります。

また、近年増えている事例として、自分が発達障害だとは知らずに様々なこと(パニックになりやすい、複数の作業ができないなど)の原因は自分が悪いと思い込み、自信を喪失してしまい引きこもりになってしまうというケースもあります。そのため発達障害として適切な支援や対応などを受けられずに、余計に悩みすぎてしまい他の症状を併発する可能性もあります。

4.摂食障害(拒食症・過食症)

摂食障害は、何か大きく自信を失ったりするような出来事をきっかけとして、ものを食べられなくなりある程度痩せてしまっても食事量を増やすことができずに更に痩せていくケースや途中から突然大量の食事を摂るようになり過食に移行するケースなどがあります。

どのパターンでも共通しているのが一種の依存症であり、食べない・または食べ続けることで精神の安定をはかっている状態だとされています。一過性で終わることは少なく、慢性化していくパターンが多くあります。食べられない場合はまだ気付きやすいこともありますが、食べすぎる場合は本人でも自分が摂食障害と認識できない場合がありますので、周囲がよく見てあげることで、気付くことも少なくありません。

ただし、拒食症の場合は周囲に気付かれないように人前では同じように食事をしていても、あとで隠れて吐き出していることもあります。

5.睡眠障害

発達障害の中でも自閉スペクトラム障害(ASD)と注意欠如多動性障害(ADHD)は併存することが多く、睡眠障害を合併しやすいことが知られています。

睡眠障害の特徴は寝つきが悪い、ベッドや布団に行きたがらない、睡眠の途中で目が覚めてしまう、睡眠リズムが不規則になる・昼夜逆転する、朝起きられない、起床した時に疲労感がある、日中に眠気を感じるなどが挙げられます。また、睡眠が不安定になることから不登校に繋がってしまったり、授業中の居眠りや集中力の低下といったものも表れやすいとされています。

6.頭痛や腹痛といった身体症状

この他の症状に関しても同じことが言えますが、本人が受ける過剰なストレスやトラウマが引き金となって、これらの症状が表れることがあります。発達障害の特性があることによって、周囲の大人(親族・教師など)から過剰に叱られ続ける、同世代の子どもたちから仲間外れにされたり、からかわれる、学校の勉強についていけないなど日常生活の中で失敗や挫折を味わうリスクが高くなります。そこから本人は自信を失い自己肯定感の低下から身体的な症状が表れることがあります。

また、身体症状のような二次障害は健常児でも起こりやすいものがあります。ですが、単純な体調不良ではないためすぐには治り辛く、周囲から段々と否定的な目でみられて理解を得ることが難しくなってしまうことがあります。そのため更に周囲との関係性が悪化しストレスの増大、自己肯定感の低下などが起きて症状も重くなってしまうという悪循環に陥ってしまうこともあります。

7.統合失調症

統合失調症はこころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきやすいものです。統合失調症には健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状(幻覚や妄想など)と、健康なときにあったものが失われる陰性症状(意欲の低下、感情表現が少なくなるなど)があります。

統合失調症が二次障害として表れる前には、睡眠障害や聴覚過敏、何かに対して常に焦っているような気持ちになったり、気分の浮き沈みが激しいなど様々な精神的な不調が表れてくるようです。そのきっかけは、本人がストレスを長期間過度に感じ続けたことが原因になることが多いようです。

8.外在化障害として表れるもの

主に暴力、家出、非行などが多く表れます。これらは小学校低学年など比較的小さいうちからこうした行動が目立つ場合も一定数あるといわれています。

特に周囲から理解を得られず、叱られたりする経験などを重ねていくうちに、周囲の大人だけではなく社会に対しても非常に反抗的な態度や行動の問題をとってしまう反抗挑戦性障害(否定的、反抗的、不従順の行動を繰り返し起こす病気)や素行症(行為障害とも呼ばれる他者の基本的な権利を侵害する行動を繰り返し起こす病気)に進行するケースもあります。

【まとめ】発達障がい児にあらわれやすい二次障害(精神疾患)とは何か

以上が発達障害で表れやすい二次障害の紹介でした。どの症状に関しても共通しているのは、過去他者とのコミュニケーションの失敗やいじめなどの経験がトラウマとなっているものが多くあることです。もし二次障害の傾向が見られるようでしたら、お近くの精神保健福祉センターや児童相談所、子育て支援センター、発達障害者支援センター、かかりつけのお医者様などにご相談してみてはいかがでしょうか?親族の方など誰にも悩みを言いだせずに1人で抱え込んで悩むとマイナスの思考に陥り易いものです。まずは相談から始めてみることで解決の糸口に繋がるかもしれません。

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