不登校とはどんな子どもにでも起こりえることです。発達障害の特性を持つ子どもは不登校になりやすいといわれています。今回はその不登校について、現在の日本の不登校生徒数や、どうして不登校になりやすいのか、不登校を抜け出したきっかけなどを紹介していきたいと思います。
不登校の定義とは?
不登校とは、年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒で、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者とする。(ただし、病気や経済的理由、新型コロナウイルスの感染回避によるものを除く。)
※文部科学省 不登校児童生徒への支援に関する中間報告より引用
現在の日本の不登校生徒数とは?
まず文部科学省の不登校に関する統計データ(2020年度)のものを見ていきましょう。
外部リンク
文部科学省 令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果についてより引用
実際に発達障害の特性を持つ子どもの割合はどのくらいあるのでしょうか?
こちらの調査では不登校児の57%が広汎性発達障害や注意欠陥/多動性障害などの発達障害を有していたとの結果があります。
外部リンク
不登校と発達障害 不登校児の背景と転帰に関する検討
このことからも発達障害の特性を持つ子どもは不登校になりやすいのが分かるかと思います。
なぜ発達障がい児は不登校になりやすい?
発達障害の特性を持つ子どもは学校生活を過ごしていく中で様々な問題や困難に直面することが多く、不登校になる割合が高いとみられています。
何かの物事に対して生徒全員で取り組んでも、その子どもだけができなくてからかわれてしまう。集団行動にうまく対応できずに周囲にうまく馴染めずに一人孤立してしまう。本人の努力とは無関係に特性による忘れ物や失くし物が多く先生から叱責をされてしまう。特性を持っていることでからかわれる、いじめられてしまう。原因は様々ですが、こういった経験が繰り返し行われることで不登校へつながるケースが多いようです。
不登校になった子どもとの関わり方とは
どんなことがきっかけで不登校になったとしても、即効性のある対処方法というのはすぐには見つからないものです。きっかけはどこで見つかるか分かりません。ですが、不登校の期間に親子でぶつかりあってしまうと負の連鎖に陥ってしまいます。
まずはお互いのストレスが溜まらないように、親御さん自身の気持ちを客観視して見てみましょう。怒りや悲しみを抑え込むのではなく、その気持ちが沸いてくる理由や状況を認識することが大切です。
もちろん簡単なことではありません。子どもの不登校という大きな困難にぶつかり、気持ちは不安定になることでしょう。うまくいかずとも何度も行いましょう。もちろん、相談できる人や各機関を頼って相談しに行っても構いません。少し長い目で子どもの様子を見てあげましょう。
発達障がい児の体験談
ここからは不登校となった発達障がい児の体験談をご紹介したいと思います。
個人情報などがあるため多少修正やぼかした内容の体験談となりますが、ご了承ください。
中学校の時に不登校になったSさんの体験談
Q.不登校になったきっかけは?
A.障害の特性やうまく喋れないことでからかわれたり、いじめられたりした期間が続き学校に行こうとすると体調不良や嘔吐をしたり、涙が止まらなくなってしまい不登校になりました。
Q.不登校になった期間は?
A.中学2年生に上がった頃から早退が多くなり、6月から10月頃はほとんど学校に通っていませんでした。
Q.不登校だった時の気持ち(悩みや辛かったことなど)
A.学校に行かなくていいんだ!って思うと最初の頃はすごく気持ちが楽で、家で漫画を読んだりテレビを見たりして楽しんでいました。ですが、夜寝る時には学校の出来事を思い出して泣いたり眠れない日々でした。ただ、1週間くらいした時から漫画を読んだりゲームをしたり、ちょっと外に出て身体を動かしたりと何をしてもまったく楽しいと思えなくなりました。そこから休みが長引いていくうちに、親からもいつまで休んでいるの?と言われて何も答えることができずに、このままじゃいけないのは分かっている。けど、学校に行きたくないという不安や悩みが常に頭の中にありました。
Q.不登校の最中に親御さんはどう思っていたのか
A.最初はこんなに辛いんだったら学校は行かなくてもいいと思っていました。ですが休みが長期化していくうちに、どうしたら学校に行くんだろうと考えて子どもと話し合うことが多くなり悩みや、子どもの口ごたえなどでストレスが積み重なっていきました。何を言っても子どもは学校に行こうとしませんし、ついカッとなって言いすぎてしまった時は部屋から一切出てこずに話もしない時もありました。
Q.不登校を抜け出したきっかけは?
A.先生と数少ない友達のお陰でした。最初に担任の先生から電話がかかってきて、調子はどうだ?などと聞かれました。ですが、この時に学校に来いよとは一切言わずに話を聞いてくれるだけで、そうか、じゃあ「またS君と話したいから電話してもいいか?」と言われ電話は終わりました。次に先生と話した時は、「遅れてすまなかった。いじめた奴やからかった奴は全員説教しといた。もし会って何か言われたらぶん殴っていいぞ、俺が責任を持つから。」と言ってくれました。今考えると問題になる発言ですが、自分はすごい心が楽になった覚えがあり、今でもその時の先生の言葉や話し方は覚えています。また、その頃から言い合いをしていた両親も途中から自分の様子をずっと見守ってくれるようになりました。もしその時に色々言われたら、自分は絶対反抗していただろうし、今だからこそすごい感謝しています。その後、数少ない小学校からの友達が家まで来てくれて遊びに連れ出してくれて、別に学校行かなくても遊べるしいいじゃん。気が向いたら学校行こうぜ!と言ってくれたり、実際に学校に久しぶりに登校する時は一緒に登校してくれたりと、すごく助けてもらいました。
Q.抜け出した後どう過ごしたのか
A.最初は午前の半日のみ学校に通い、午後は早退して家で自主勉強をしていました。担任の先生がかけあってくれたようで、教科ごとの課題を用意してくれて、それを提出する、分からないことは教科ごとの先生に聞くようにしていました。いじめてきた相手と関係がうまくいくなんてことはありませんでした。でも関わることも無くなり気持ちは楽でした。その後は進級して同じ先生が担任をしてくれて、悩みや困ったことがあった時はすぐに頼れるおかげで不登校になることもなく中学校を卒業することができました。決していい思い出ばかりではない中学校生活でしたが、そのお陰で経験できたことや、助けてくれる先生や友達、両親の存在のありがたさを感じるきっかけになりました。
まとめ:【体験談あり】発達障がい児と不登校の関係性について
ここまで発達障害と不登校のことを紹介してきました。不登校というものは誰にでもおこりえるものです。何がきっかけとなって不登校になるかは分かりません。もし、お子さんが学校へ行く時の様子がおかしいなと感じたら、やんわりと話を聞いてみることで事前に対策ができる場合もあります。
不登校になった時、決してお子さんも親御さんも悪くはありません。自分を責めることはせずに、少し長い目で子どもの様子を見守ってあげましょう。
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