発達障害の特性を持つ子どもが陥りやすい「二次障害」。その二次障害には「うつ病」や「適応障害」「不安障害」といった精神症状以外にも、身体に症状が現れる「身体症状」(心身症)もあります。今回はその「身体症状」と分類される疾患や症状などについてご紹介をしていきたいと思います。
二次障害とは?
「二次障害」あるいは「二次的な障害」とも呼ばれるこの状態は、発達障害を持つ子どもが周囲からの理解を得られ辛い環境の中で、繰り返し叱責や注意をされ続けた経験や、特性からのストレスなどを何度も経験していくことで自己肯定感などが下がり続けて起こり得る二次的な障害のことを指します。
しかし、発達障害を持つ人に必ず二次障害が発症する訳ではありません。周囲からの理解や支援を得ることができれば、回避することも可能とされています。また、例え二次障害が発症したとしても、しっかりとした対処法や周囲のサポート次第では軽減されていくこともあります。
発達障害の特性そのものは完全に治ることはありませんが、本人の悩みごとや困りごと、二次障害などを軽減することができれば、日々の生活の中で笑顔が増えることは間違いないでしょう。
身体症状(心身症)とは
二次障害として現れる身体症状には以下のような様々な症状があります。
- 頭痛
- めまい、不眠
- 腹痛
- 食欲不振
- チック(思わず起こってしまう素早い動きや発声)
- 皮膚疾患など
人によって、これら以外の様々な症状が現れることもあります。身体症状が現れても、最初は体調が悪いのかな?とあまり気にならないのですが、繰り返し不調が現れることで気付く場合も多くあります。
身体症状が現れるきっかけとは
心的な事や、社会的要因などから来る身体的な疾患の発症や悪化は心身症と呼ばれています。次の日に何か不安な事、心配な事があって眠れなかったり胃が痛んでしまう。人によっては、蕁麻疹やヘルペス、アトピーといった皮膚疾患が現れたり、気管支喘息などが起こってしまう。皆さんも1度は似たような経験をしたことがあるのではないでしょうか?
発達障害の特性があることで、他者より出来ない事が多かったり、学校や職場などで他者とのコミュニケーションや対人関係での失敗経験を多く経験してしまうことがあります。
そして「頑張っているのに何もうまくいかない」「また失敗したらどうしよう・・・」「またからかわれる・・・」といったネガティブな感情が積み重なってしまい、結果として「自分はダメな人間なんだ」「どうせ自分が悪いんだ」と自分を責めてしまいます。
こうなると自己肯定感がどんどん下がってしまい、身体的、精神的に不調が現れてしまいます。
身体症状といった二次障害を起こさないようにするためには?
これをすると絶対に二次障害は起こしません!と言い切れるものは残念ながらありません。ですが、日々の子どもへの接し方であったり、言葉の選び方や態度などを気を付けたり、子どもへの理解を正しく行うことはとても重要です。
これは親御さんの接し方が悪い、間違っている!と言っているわけではありません。日々、子育てをされている親御さんには感服するばかりです。ですが、子どもの何かを変えたいと思ったならば、まずは親御さんの行動から変えていかなければ子どもが変わるきっかけを作るのは難しいことです。
そのために、様々なトレーニング方法や学ぶための物がたくさんあります。お住まいの自治体や支援機関などの相談窓口や専門家に相談することで、子どもや親御さんの環境に合った適切なサポートを案内してくれることがあります。他にも発達障害支援に関する資格を学び、子どもへ実践してみることも良いでしょう。
発達障害支援に関する資格も複数あります。以下の記事にて詳しく紹介していますので、良ければこちらもご覧ください。
外部リンク
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また、「適度に休む」ことがとても大切です。
発達障害という特性があると、職場や学校といった他者と関わることが多い場面で、どうしても自分のできない部分を指摘されることが多くあるため、ストレスを感じる機会があります。それ以外にも作業に対して集中しすぎてしまう特性がある場合は、仕事などに対して真面目に取り組みすぎて、ストレスを溜め込んでしまうこともあります。
そのため、適度に休んでストレスから解放するタイミングが必要になってきます。特性によっては、いつ休めばいいのか分からないからやりすぎてしまう方もいらっしゃいます。ですので、職場であれば上司などに、学校ならば先生や相談員の方へその旨を事前に伝えておくことで、計画的に休むタイミングを作ることができます。
休む際には、本人がリラックスできるような環境作りをすると効果が高まることが期待できます。触感グッズなどを使うとストレス軽減の効果が期待できますので、試してみてはいかがでしょうか?
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そして、生活リズムを整えることも大切です。これは発達障害がない方も含めてですが、多くのうつ病などの精神疾患者は生活リズムが乱れているようです。例えば寝る時間と起きる時間がバラバラな不規則な睡眠習慣を続けていくと、生活リズムが崩れて不眠を招いてしまう可能性があります。
眠れないことで、考え込む時間が長くなりネガティブな思考に入りやすくなったり、眠れないこと自体が心配、不安と感じてストレスを抱え込んでしまう原因になることがあります。
まずは起きる時間を一定の時間にすることから始めてみてはいかがでしょうか?人間は朝に光を浴びて脳に届けられるとメラトニンというホルモンの分泌が止まります。メラトニンは14時間から16時間ほど経過すると再び分泌され始めるようです。メラトニンが分泌されると休息に適した状態に体が導かれて、眠気を感じるようになっていきます。そのため、自然と眠りにつきやすくなり睡眠習慣を改善しやすくなります。
気になることがある時には
特定の事柄の前日などに体調不良といった身体症状がみられて、二次障害かな?と思うことがあったり、何か心配なことや不安なことなどがある時には発達障害で治療を受けている主治医にまずは相談をしてみましょう。主治医がいないという場合には精神科や心療内科、専門医などを受診してみてください。
いきなり受診することへ抵抗がある方はオンライン上で気軽に行えるセルフチェックをしてみてはいかがでしょうか?
外部リンク
発達障害ナビ 発達障害セルフチェック
チェックリストはあくまでも簡易的な診断補助ツールであり、診断を確定するものではありません。これによって受診の必要などが出なかった場合でも、悩みや不安が続く場合や周囲の方で気になる方がいるようでしたら、医師や各種支援機関などに相談してみることをおすすめします。
【まとめ】 発達障害によって引き起こされる二次障害 身体症状とは
ここまで二次障害「身体症状」について紹介をしてきました。
人によって同じ症状が現れることも、まったく違う症状が現れる可能性もありますし、重度が違ったり他の症状も併発していたりと、状況はまったく違うことが多々あります。
そのため、気になることが続くようでしたらかかりつけ医や支援機関、専門家などに相談してみましょう。日常生活における対処方法で参考になることがあったり、特性に合わせた環境を見つけるきっかけにもなるでしょう。
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