今回は発達障害関連の資格で国家資格はあるのかどうなのか、そして今後国家資格が誕生することがあるのかについて独自目線で解説していきたいと思います。本内容につきましては、私なりの考えが中心となりますのでその点をご理解いただいたうえでご覧ください。
発達障害関連の国家資格とは
結論から言いますと、発達障害関連の国家資格は現在(2023年4月)確認されていません。私がこのサイトで紹介している人気資格、児童発達支援士や発達障害児支援士、子ども発達障がい支援アドバイザー資格なども全て民間資格となります。現在はまだこの分野の国家資格はないというのが現状です。
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ただし言語聴覚士は国家資格
皆さんは「言語聴覚士」という資格を聞いたことがあるでしょうか?この資格は発達障害のことを専門に扱った内容ではありませんが、コミュニケーションや言語に関する資格となっており、国家資格になります。一般社団法人 日本言語聴覚士協会のサイトより詳細を引用します。
私たちはことばによってお互いの気持ちや考えを伝え合い、経験や知識を共有して生活をしています。
ことばによるコミュニケーションには言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関係していますが、病気や交通事故、発達上の問題などでこのような機能が損なわれることがあります。言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応します。
ことばによるコミュニケーションの問題は脳卒中後の失語症、聴覚障害、ことばの発達の遅れ、声や発音の障害など多岐に渡り、小児から高齢者まで幅広く現れます。言語聴覚士はこのような問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行います。
このような活動は医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士などの医療専門職、ケースワーカー・介護福祉士・介護支援専門員などの保健・福祉専門職、教師、心理専門職などと連携し、チームの一員として行います。
言語聴覚士は医療機関、保健・福祉機関、教育機関など幅広い領域で活動し、コミュニケーションの面から豊かな生活が送れるよう、ことばや聴こえに問題をもつ方とご家族を支援します。
https://www.japanslht.or.jp/what/より引用
この資格を学び資格取得したからといって、発達障害のプロフェッショナルになるかと言われたらそれは違いますが、発達障害の悩みのひとつである「コミュニケーション」に関する分野の知識習得にはなるというイメージです。
なぜ発達障害の資格に国家資格はないのか
ここからは完全に私の考え方によるものになります。
なぜ発達障害の資格に国家資格がないのか、その理由は「まだ研究段階だから」というのが正直な所なのではないでしょうか。そして日本の研究が進んでいるとはいえないという事情もあるでしょう。皆さんもご存じだと思いますが、発達障害の診断基準として有名なものは「DSM-5」と「ICD-11」となります。DSMはアメリカ精神医学会によるもの、ICDはWHOによるものです。
日本ではそれぞれを翻訳したものを利用しているという状態です。ちなみにDSMもICDも10年に1度くらい新しい版が作られ、バージョンが上がっていくのですが、その時に今までとは全く異なる分類分けをされているということが稀にあります。そのため、今後も内容が変更していった時に、国家資格の学習内容も大きく変わっていってしまうというリスクが伴うので、日本としては国家資格としてこれらを盛り込むのは少しやりにくさがあるのではないかなと考えます。
とはいえ、他の医学的な国家資格でも海外の指標や情報をもとに作られているものも当然あるので、上記の理由が全てだとは思いませんし、あくまでも私の推測の一つとなります。
いつごろ国家資格ができるのか
これはまさに神のみぞ知る。といったところですね。
私の知っているとある精神科医の話では、「精神医学会の中でも発達障害に関しては明確なエビデンスがまだまだ不足している状態」であると言います。そのため現在も研究が進んでいる途中だと言えるでしょう。そうなると、研究には数年から十年以上かかるものもありますから、2,3年以内に国家資格が登場するという予想は立てにくいといえるでしょう。早くても5年から10年後くらい。もしかすると一生この分野の国家資格は誕生しない可能性もあります。
さらにもし国家資格が誕生したとしても、皆さん全員が無条件で受験できるかといえば恐らくそうはならないでしょう。国家資格は学歴や経歴、保有資格などによって受験資格が付与されることが一般的です。そうなると大卒で学歴はOKだけど、未経験だからNGといったことが発生する可能性があります。そういったことを考慮しても、今後長くこの分野で活躍していきたいなと考えている方にとっては、民間資格である児童発達支援士や発達障害児支援士、子ども発達障がい支援アドバイザー資格などを受講し、それをきっかけに療育施設などに就職して経歴を作っていくということは有益ではないかと思います。
【まとめ】発達障害関連の国家資格はどれ?今後新しく誕生する可能性は
いかがだったでしょうか。
現状では発達障害関連の資格で国家資格が存在しないということをまずは認識していただき、今後いつごろ誕生するのかについて私なりの考えを書かせていただきました。私もこういったサイトを運営しているため、さまざまな団体から情報を収集しているのですが、現状では国家資格がどうという話は全く持って聞いたことがありません。そのため当分の間は現在と同じように民間資格を取得していく流れは変わらないでしょう。
民間資格についても、2022年にユーキャンから子ども発達障がい支援アドバイザーが誕生してからは新しい資格の誕生は私の知る限りでは見られていません。圧倒的受講者数を誇る児童発達支援士、大手が販売する発達障害児支援士、子ども発達障がい支援アドバイザーという資格で定着していくのかな?という感じがしてきました。やはり後発の資格となると、実績不足が否めないですので、いまあげた3つの資格を越えていくというのは至難の業になるでしょう。そういったことを考慮すると、今後も発達障害関連の資格を取得しようかなと考えた時はこれら3つの資格を中心に検討をされると良いと思います。
私も最新情報に目を光らせていきますので、今後もこのブログを是非ご覧ください。最後までご覧頂き有難うございました。
追記:2023年2月に通信講座・教育の開発運営提供を手がけている株式会社キャリアカレッジジャパン(本社:広島県広島市、代表取締役社長:横田正隆)は、「大人発達障害対応スペシャリスト資格取得講座」を新規リリースしました。大人の発達障害についての正しい知識を習得できるとともに、発達障害を持つ人へのサポートのプロとして、さまざまな職場で活躍できるようになる。とされています。発達障害関連の新しい資格がまたひとつ誕生したようです。
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