発達障害と似てるといわれる愛着障害とは?

皆さんは「愛着障害」についてご存知でしょうか?発達障害と似ている部分があるため、その違いを正しく理解されずに適切な対応をされなかった経験を持つ方もいらっしゃると思います。今回は愛着障害について、また愛着障害と発達障害の違いや似ている部分についてご紹介をしていきたいと思います。

愛着障害とは

愛着障害とは親御さんを始めとした養育者との愛着が何らかの理由によって形成されることがなく、子どもの情緒や対人関係において問題が発生する状態などを指します。主に虐待であったり、養育者との離別などが原因として養育者と子どもの間に愛着ができなかったことによって起こりえるといわれています。

乳幼児期に養育者と愛着を築くことが出来ない場合、人を過度に恐れてしまったり、誰に対しても馴れ馴れしくしてしまうといったような症状が現れることがあります。

愛着とは?

では「愛着」とは何でしょうか。愛着は心理学の用語で、乳幼児が養育者との間に築く情緒的な絆のことを指しています。赤ちゃんが泣いた時に親御さんが「どうしたのかな?お腹がすいたのかな?眠いのかな?」と抱いてあやしたりするなど、赤ちゃんや子どもの出したサインに対して適切な対応を繰り返していくことで赤ちゃんの愛着が育まれていきます。

この愛着があることで子どもは「ここが自分にとって安心できる居場所」だと思い、他の人との関係や新しい経験などに踏み出していく勇気がもてます。つまり子どもが成長していくための土台といってもいいでしょう。

愛着障害の原因とは

愛着障害の原因としては、子どもと養育者の間に愛着がうまく築けないことが大きく関係しているといわれています。具体的に以下のような原因が挙げられています。

  • 養育者との離別、死別などで愛着形成の対象がいなくなる
  • 養育者が頻繁に替わる
  • 養育者によるネグレクト、無視、無関心
  • 身体的虐待を受けた
  • 養育者による厳格なしつけ、体罰を受けた
  • 兄弟との差別、優劣をつけられた
  • 褒められることが極端に少ない環境だった

もちろん他にも愛着障害につながる原因は様々あります。ですが、これらの出来事を乳幼児の子どもが経験してしまうと、安心感や自分の居場所を得ることができずに愛着が築かれず成長していくことになります。愛着が築かれずに育つと、社会に出てから人間関係でトラブルを起こしたり、自分の気持ちや考えをうまく伝えられない、人の目を過度に気にして疲れてしまうなどの生きづらさを感じてしまうケースが多くあります。

愛着障害の特徴や症状とは

愛着障害には「反応性愛着障害」と「脱抑制愛着障害」の2種類があります。

人に対して過度に警戒をするのが「反応性愛着障害」人に対して馴れ馴れしく接するのが「脱抑制愛着障害」といわれています。それぞれの特徴や症状などを見ていきましょう。

1.「反応性愛着障害」

反応性愛着障害の子どもは苦しくて助けが必要な時でも養育者や他者に頼ることができません。

<反応性愛着障害の特徴の一例>

  • 警戒心や恐怖心が強く、人を避ける
  • 人の言葉に深く傷つく
  • 髪の毛や皮膚をかきむしるなど、自傷行為がみられる
  • すぐに嘘をつく
  • イライラしていることや、おびえることが多い
  • ちょっとしたことで、ひどく落ち込む
  • 謝ることができない
  • 自己評価が低く、「どうせ自分はできない」と言ってチャレンジしない
  • 喜びや悲しみの反応が乏しい
  • 「嫌われたらどうしよう」と、いつもびくびくしている 等

2.「脱陽性愛着障害」

脱抑制型愛着障害の子どもは無差別に人に甘えようとします。注意を引くために誰にでも声をかけたりしますが、協調することができません。苦しい時には人から慰めてもらおうとしますが、特定の人に限らず相手を選びません。

<脱抑制型愛着障害の子どもの特徴>

  • 誰にでもしがみつく
  • 知らない人に対する態度を調節することができない
  • なれなれしい
  • 注意を引くために大げさな態度をとる
  • その場にそぐわない、空気を読めない行動をとる
  • 落ち着きがない
  • 乱暴な行動もしばしばとる
  • 過度にわがままである
  • 強情で意地っ張りである
  • すぐに嘘をつく

なぜ発達障害と似ているといわれるのか

知らない人に対しても衝動的に動いてしまったり、物忘れをしやすい、コミュニケーションでのトラブルが起きやすいなど「ADHD(注意欠如・多動症)」や「ASD(自閉スペクトラム症)」と似ているものがあります。

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発達障害は生まれつきなものに対して、愛着障害は養育環境などによる後天的なものです。ここが大きな違いともいえるでしょう。また、発達障害と愛着障害の両方を持っている方もいます。

愛着障害と自己肯定感

自己肯定感とは「ありのままの自分を肯定する感覚」のことを指すものです。愛着がうまく築かれなかったことで、自己肯定感を高めるための基盤が形成されずに成長していくため、愛着障害を持つ方は自己肯定感が低くなってしまいます。もしも、その状態が続きさらに本人にとって良くない出来事(他者とのコミュニケーションでの問題など)が続けておきてしまうと、うつ病や不安障害、心身症といった他の疾患の発症原因にもなりかねません。

愛着障害は克服できる?

愛着障害を克服するためには「安全基地」を作ることが必要とされています。安全基地とは精神的に安定し、保護される保証がある環境を意味します。「こころの拠り所」といってもいいでしょう。

今ある不安や心配、無力感や苦しみなどを受け入れてもらえる存在が克服の第一歩となります。幼い頃に養育者との愛着がうまく築くことができなくても、成長していくにつれ友達や恋人、先生などが愛着の対象となり絆を築くことは可能です。相手を信頼し、何かがあったら助けてくれる存在はとても大きいでしょう。

もちろん、安全基地は信頼できる専門家でも構いません。心療内科や精神科、カウンセラーに安全基地になってもらうことで日常生活の不安や恐怖などを定期的に吐きだせる環境を作ってみましょう。子どもが信頼を寄せる大人(安全基地)があることで、自分から周囲の環境へ関わっていくことで自発的・自主的な人間に成長するきっかけを作ることができます。安心して帰れる場所があり、困ったら助けてくれる安全基地があることがとても大切です。

子どもとの接し方

子どものことを想い厳しくしつけをしたり、子どもを怒鳴りつけてはいませんか?ですが、それをすることで愛着の形成ができなかったり、自己肯定感の低下を引き起こしてしまう可能性があります。

その他にも子どもを叱責して不快感を与えてしまうことで、「良い行動の習慣化」への道も遠のいてしまいます。習慣化は子どもの自主性や主体性を高めたり、しつけをする時にも重要な要素の1つになります。詳しくは下記の記事をご覧ください。

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【まとめ】発達障害と似てるといわれる愛着障害とは

ここまで愛着障害について、また発達障害と似ていることや違い、きっかけなどを紹介してきました。愛着障害は子どもだけではなく大人になってから苦しんでいる方もいます。もしお悩みの方がいましたら、お近くの心療内科や精神科などの専門家へ相談してみてはいかがでしょうか?信頼できる安全基地を作り、不安なことを吐きだせる場所を作ることが改善の第一歩になるかもしれません。

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