何時間も1つの物事に没頭したり、駅名や国旗などをあっという間に覚えて並外れた記憶力を見せる子などが稀にいます。このような子どもを「ギフテッド(Gifted)」と呼びます。最近ではニュースなどで取り上げられることも多く、目にしたことや耳にしたことはある方もいるのではないでしょうか?今回はこの「ギフテッド」について紹介すると共に、似ている点があると言われる発達障害との違いなどをご紹介します。
「ギフテッド」とは
生まれつきからとても知性が高く、特定の能力において突出した才能を見せる子どもが居ます。そのような子どもは「ギフテッド(Gifted)」と呼ばれています。これは生まれつきであり、後天的に努力したことで獲得する能力とはまた別のものになります。
ギフテッドの特徴として以下のような例が挙げられます。
- 幼少期から大人のような言葉を使い、論理的に話をする
- 数学の問題などを簡単に解き、高い理解力を示す
- 興味を持ったものに対して高い集中力で没頭する
- 知能が高く、周囲の子どもと話が合わずに孤立してしまう 等
上記以外にも、IQが高いことや感受性が強かったり、激しい感情を示すことなどがあります。もちろん当てはまる特徴は、子どもによって個人差があります。
「ギフテッド」を判断する方法とは?
判断する1つの方法として、発達障害の診断にも使われている「WISC検査」をギフテッドの診断としてもよく利用されます。この検査で知能指数を測定し、総合的なIQや「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの項目を測定することができます。
ギフテッドはIQが130を超えるとギフテットとされますが、人の知能にはIQで測る事のできない能力も含まれます。そのため、IQはあくまでも1つの目安で、「IQが130を超えていて」「特定の能力が突出していること」で判断されています。
また、ギフテッドには正式な定義がないと言われており、アメリカでは州によって様々な定義が用いられているようです。その中でも、多くの州が下記の定義を用いています。
『ギフテッド・タレンテッドの生徒とは、同じ年齢・経験・環境を持つ子供と比較して、著しく高いレベルを達成する、あるいはその可能性をうかがわせる子供。知的能力、独創性や芸術の分野において高い実行能力を示す、並外れたリーダーシップ能力を持つ、あるいは特定の学術分野で秀でている』
出典:(74th legislature of the State of Texas, Chapter 29, Subchapter D, Section 29.121)(英語版脚注)
そして、何故ギフテッドになるのかはまだ解明されていません。生まれつきの特性のため、遺伝の要因が大きいとされていますが、明確な結論は出ていません。
「ギフテッド」の2つの種類とは
ギフテッドは「英才型」と「2E型」の2種類に分類されます。
英才型は全般的に高い知能を持つ人を指します。認知能力や記憶力などが高く、学業において数学や国語を始めとした全ての科目で優秀なことが多くあります。周囲から見ても非常に優秀に見えるので、英才型のギフテッドは才能を伸ばすための機会が提供されやすいともいえるでしょう。
2E型はギフテッドと発達障害の特性の両方を併発している状態を指します。2Eとは「twice-exceptional」のことで「二重に例外な」「二重の特別支援を必要とする」といった意味があります。この状態は、ある特定の分野では突出した才能を見せますが、他の苦手な分野はとことん苦手といった一面を見せるのが特徴的です。(例:芸術やスポーツなどで素晴らしい才能を見せるが、国語や英語の読解が非常に苦手等)
間違いなく突出してる能力が見られるのですが、発達障害の特性が強調されることで、出来ないことや苦手なことばかり注目されてしまい、周囲の人が気付かない、ご両親や本人も気付かないケースがあります。
「ギフテッド」と「発達障害」の違いや共通点とは
ギフテッドと発達障害は定義や障害の特徴などが異なるものです。ですが、共通する事項も見られることもあります。先程紹介した2E型で発達障害の特性が強く現れていると、ギフテッドと診断されないことも多い場合があります。発達障害だけなのか、2E型なのかを正しく理解することが大切といえるでしょう。
ギフテッドと発達障害の共通点は以下の項目が挙げられます。
- 好きなことや興味のあることに対しての集中力が凄まじい
- 完璧主義で、人が気にしない細かな点が気になって解決できないと気が済まない
- 論理的思考力が高くて、物事の奥深いところまで考える 等
ギフテッドと発達障害の違いとしては以下の項目が挙げられます。
これらの共通点や違いはあくまでも目安としてお考えください。特性は子ども1人1人で大きく変わることがあるため、特徴が一部逆転してるケースも見られます。そのため、その子どもの個性に合わせた接し方や環境作りを行う必要があります。
ギフテッドの子どもへの関わり方とは
これはギフテッドや発達障害のどちらでも当てはまるのですが、周囲の方との関わり方がとても重要になってきます。「全ての能力で平均点を目指す」のではなく「苦手なことは大きな障害にならないように手助けを行い、得意分野を伸ばす」ようにすると良いでしょう。
例えば2E型の場合は、コミュニケーションなどで大きな障害となる場合があります。それらは周囲が手助けして、拒否感を覚えないようにしていきましょう。
環境作りとしてはまず、本人が安心して自分の居場所だと思える「居場所」を作るようにしましょう。周囲の子どもと話が合わずに、コミュニケーションがうまくいかず対人関係でストレスを感じるケースが多く存在します。担任の先生なども理解してもらえずに、学校というコミュニティの中で集団生活を送っている場合もあり得ます。ストレスが溜まっていくと、出来たことが出来なくなっていくこともありますし、それによって自己肯定感の低下にまで繋がる可能性もあります。
そのため、子どもの特性を理解し、子どものことを否定せずに興味を持ったことに付き合ってあげるようにしましょう。子どもが安心していられる場所があると感じれば、チャレンジ精神にもつながりますので、子どもの居場所を作るようにしましょう。
そして子どもが様々な物事に触れる機会を作るのも大切なことです。何が得意で何が苦手なのか、どんなことに興味を示すのか、これらを理解することで段々と子どもが自分で自分の才能を伸ばすこともできるようになる可能性があります。苦手なことを理解することで、他者に助けを求めることができますので、様々な物事にチャレンジしてみましょう!この時に、もし失敗をしたり出来なくて躓いたりしても否定はしないようにしましょう。
また、限界点を決めないようにしてあげましょう。学校ではどうしてもクラスの皆と足並みを揃えて勉強をする必要があります。そのため子どもがしたくてもできない、物足りないと感じてしまう場面があります。なので、自宅などでは子どもが興味や関心が向くことをできるようにしてあげましょう。
1つの物事に没頭して、大人が想像できないほどの集中力を見せることもあります。子どもを見守ってあげて、子どもが安心して集中できるようにしましょう。
【まとめ】突出した才能を見せるギフテッドと発達障害共通点とは?
ここまでギフテッドについて、発達障害の共通点などをご紹介しました。
ギフテッドと発達障害は似ている点があるものの、違うものです。しっかりと子どもの様子を見たり、専門家に相談して子どもの特性を理解してあげることで、苦手な面ばかりが注目されて生き辛さを抱えないようにしていきましょう!
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