様々な記事やニュースなどを見ていくと、発達障害の特性を持つ人はその人の得意なことを活かしていこうという記述をよく目にします。これは当ブログでも伝えていることですが、この「得意なこと」が無いことで将来に対して不安を感じてしまうケースがあります。
今回はそんな得意なことが無いけどどうすればいいんだろう?と悩んでいる方に向けた記事となります。
発達障がい者は得意なことが無いといけないの?
そんなことはありません。もちろん得意なことがあれば、それを伸ばして活かしていく未来が見えてきます。
ですが、もしかしたら得意なことが無いと悩んでいる方は、自分の得意なことには「まだ気付いていない」だけかもしれません。
どうしても苦手なことのほうが目に見えやすいため、たくさんの苦手なことや出来ないことに隠れてしまって得意なことに気付くことが遅れてしまい、自分には得意なことなんて無いんだと思っているだけかもしれません。
得意なことを見つけるためには
ではどうやって得意なことを見つけるのでしょうか。見つけるためには様々な経験を積んでいくことが必要になります。
発達障害という特性を持っていることで、きっと様々な物事が上手にできない、人並みにできなくて周囲から劣っていると感じてしまい嫌になってしまった経験が何度もある方も多いかと思います。人が得意なことは全員が最初からとても上手に出来た!という訳ではありません。もちろん中にはそんな方もいますが、少数でしょう。
得意なことがある方は思い出してみてほしいのですが、最初はきっとその物事や活動をやっていると「楽しい」から始まったのではないでしょうか?そして楽しいからそれを「続けることができて」続けているうちにそのスキルが養われて「得意なこと」へと昇華されていった経験がありませんか?
私はパソコンを使った作業を得意としていますが、初めたての頃は何も上手くできませんでしたが、ただ楽しいと感じていました。それを長い間続けているうちに周囲から誉めてもらったり、凄いねと言われることがあって「あ、自分はこれが得意なんだな」と認識できるようになりました。
最初は得意なことを見つけようとするのではなく、様々な活動や体験などを行うことで少しでも「楽しいこと」や「好きなこと」を探していきましょう。出来るだけ一分野にこだわらずに、広い範囲で体験をしていくことをおすすめします。
その中で興味を持ち続けていく中でスキルが育っていき「得意なこと」が見つかるきっかけになります。もし合わなかったと思ったら変えて他のことを探しても良いでしょう。
ですが、特性上どうしてもできない分野であったり、苦手な分野があるかと思います。そちらに関しては触れてみることは良いのですが、無理強いしてやらせるなんてことは無いようにお気をつけください。それが「楽しくない」と感じてしまうと、体験活動自体を楽しくないと感じてしまう可能性があります。そうなると好きなことを見つけることが大変になってしまうでしょう。
健常児と一緒に混ざるのはちょっと抵抗があるなんて方には、発達障がい児向けの体験活動を行っている所もあります。下記サイトにて全国発達障害の方向けのイベントがまとめられていますので、よろしければご覧ください。
得意なことを探す時に気をつけること
この時に、注意していただきたいのは「周囲と比べる必要はない」ことです。比べるのは過去の自分だけにしておきましょう。他者と比べることは劣等感を植え付けて、自己肯定感の低下、やる気の低下などマイナスの方向に働くことが多くあります。
ですが、過去の自分と比べることで前よりもこんなことが出来るようになった!前はこれだけ時間がかかっていたけど、もっと早く出来るようになった!と成長を感じることができます。これは本人だけの考え方ではなく、周囲の方も同じように考えておくことが大切です。周囲の声のかけ方1つで子どもへの影響は良い方向にも悪い方向にも転がる可能性があります。
子どものやる気を引き出す子どもとの接し方については過去の記事にて書いておりますので、よろしければ併せてこちらもご覧ください。
また、当ブログでは発達障がい児支援に関する資格を過去に何度か紹介しています。その中でも最近受講者数が多い児童発達支援士では、発達障害に関することや子どもへのアプローチ方法などを学ぶことができます。詳しくは下の記事にてご紹介していますので、ご覧ください。
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発達障害でお悩みの方にお勧めの児童発達支援士資格とは
得意、不得意を検査で調べる
こちらは体験や活動を通して探していくのではなく、様々な機関で行われている検査を通して自分の得意、不得意を調べるというものです。
1.WAIS-IV知能検査、WISC‐Ⅳ知能検査
こちらは世界各国で行われているウェクスラー式知能検査といわれるものです。長い歴史がある知能検査で、国内では児童期と成人期に多く行われています。
検査を受ける方の年齢によってWPPSI(幼児用2~7歳)WISC(児童用5歳~16歳11ヶ月)WAIS(成人用16歳~90歳11ヶ月)と別れています。どれも公認心理士や臨床心理士などの専門家と1対1で個別に行われます。言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の能力を数値だけではなく、他人と比べて自分の能力がどのくらいの位置にあるのかという結果まで出るそうです。
また、結果だけではなく、検査中の様子を見て日常生活などへのアドバイスや参考になるものを紹介してもらえたりするため、非常に助けになったという声もあります。
この知能検査は教育支援センター・児童相談所・学校・医療機関など様々なところで受けられます。発達障害者支援センターで確認ができますので、お住まいの場所の発達障害支援センターにお問い合わせください。
外部リンク
国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害者支援センター一覧
検査費用がかかり、場所によっては予約がいっぱいで受けるまでに時間がかかることもある点にはご注意ください。
2.一般職業適性検査
こちらはハローワークや障害者職業センターなどで受けられる9つの「適性能(知的能力、言語能力、数理能力、書記的知覚、空間判断力、形態知覚、運動共応、指先の器用さ、手腕の器用さ」を測定するものです。検査後に結果が出てから、その説明とアドバイスが職員から行われます。自分の特性を客観的な視点から見たアドバイスを受けたり、質問ができます。
対象者は中学生~成人(45歳程度)で様々な職業に対する適正を測ることができます。厚生労働省が設置した施設(ハローワークや障害者職業センターなど)で行われるため費用などはかかりませんが、お住いの地域によっては対象となる施設が少ない可能性があります。対象施設があるかどうかをお調べの上、お問い合わせください。
外部リンク
高齢・障害・求職者雇用支援機構 地域障害者職業センター
【まとめ】得意なことが無い発達障がい者はどうすればいいの?
今回は得意なことが無いことで悩んでいる発達障害の方向けに紹介をしてきました。
得意なことが無いからといって焦る必要はありません。ちょっと興味があるな、やってみたいなって思ったことがあったら、それを続けてみてください。それが楽しくて長く続けているうちに気付いたら得意なことが増えています。
得意なことが増えて、皆さんが少しでも笑顔で毎日を過ごせるようになることを願っています。