発達障がい児支援にかかせない「療育」ってそもそも何?

このブログでも何度も出てきている「療育」という言葉ですが、皆様は療育って何?と聞かれた時にスラスラと答えることができますか?

療育のやり方は分かるけど、目的や考え方などを説明するとなるとちょっと難しい・・・と感じる方もいるのではないかと思います。

今回はそんな療育について、改めて確認をしながら療育が行われている現場などの紹介をしながら見ていきたいと思います!

 

療育の定義とは?

まずは療育の定義を確認していきましょう。

『障害のある子どもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である。』

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参考:厚生労働省 児童発達支援ガイドラインより引用

 

また、日本大百科全書では以下のように記載されています。

『心身に障害をもつ児童に対して、社会人として自立できるように医療と教育をバランスを保ちながら並行してすすめること。東京大学名誉教授の高木憲次(1888―1963)によって提唱された概念で、「治療をしながら教育する」ことがたいせつであるという意味合いが込められている。すなわち「療」とは医療あるいは治療を意味し、「育」とは養育や保育もしくは教育を意味する。』

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参考:コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ) 療育の項目より引用

 

つまり、医療と教育をバランスよくどちらかに偏らないように、本人の特性に合わせて発達の適正を促していくともいえるでしょう。

 

療育と発達支援の違いとは?

同じく障がい児をサポートする時に、「児童発達支援(発達支援)」という言葉も多く使われています。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?こちらは障がい児本人だけではなく、その保護者や家族など周囲の方への支援を含めたサポートを指して使われています。

 

厳密には意味が違うのですが療育と重なる部分もあるため、同じように使われていることが多数あります。

 

療育を行う目的とは?

定義の時点でも少し触れていますが、障害を持つ子どもが社会人として自立して生きていくために身体的・精神的に発達を促すことを目的としています。

そのため、障害を持つお子さんやいわゆるグレーゾンと言われるお子さんが今困っていることの解決を目指したり、将来自立して生きていくために必要なことを学んだりすることがあります。

 

例:指先の細かな動きが苦手なお子さんの場合

大きな画用紙とクレヨンを用意し、絵を描きます。

自由に子どもに描かせても良いのですが、自由に好きに描いていいよと言うとむしろ混乱して困ってしまうので、一緒に「丸を描こうね」「三角を描こうね」と言いながらお手本を見せながら楽しんで行いましょう。

この時に子どもが何かを描いたら、実物と違ったとしても否定するのではなく、肯定してあげることを忘れないでください。子どもの中では何らかの理由があって、そのように描いているので、否定して正す必要はなく、楽しんで絵を描くことが大切です。

また、全く描けない場合は違う遊びを試してみましょう。粘土遊びやビー玉遊びなどもおすすめです。ただし、小さいお子さんは誤飲などには十分気を付けながら行うようにしましょう。

 

療育を行っている施設は?

療育を行っている施設として挙げられるのが「療育センター」です。

療育センターは児童福祉法で定められた事業を行っています。療育センターの中でも児童福祉法における支援は「障害児通所支援」と「障害児入所支援」がありますのでこれらをご紹介します。

 

障害児通所支援とは

基本的に診断や障害者手帳を必要とせず、医師から必要と認められ受給者証を持つ方が対象となります。

 

児童発達支援(児童発達支援センター・児童発達支援事業所など)

対象:6歳までの障害のある未就学児

生活に必要な動作の指導であったり、集団生活での適応を支援しています。

放課後等デイサービス

対象:小学校へ入学する6歳から高等学校を卒業する18歳までの障害のある就学児

放課後や学校の休みの日などに、生活能力を向上させるために必要な支援や、普段とは違う環境下での体験を通じて、子どもの特性や発達の段階に合わせて発達支援を行っています。

 保育所等訪問支援

対象:保育所や幼稚園、認定こども 園、学校(小学校や特別支援学校などを含む)、放課後児童クラブなど集団生活を営む施設 年齢は0歳から18歳までの障害のある児童

保育所・幼稚園・学校など子どもが普段通っている場所へ支援員が訪問し、必要な支援や環境整備などを行います。障害を持つ子どもが安心して集団生活を送るための支援をしています。

 

※基本的には身体障害、知的障害、発達障害のある児童が対象とされていますが、療育の必要性が認められた場合にはその児童も対象となります。

 

障害児入所支援とは

基本的には障害者手帳がなくとも児童相談所や医師などにより入所の必要性が認められた方が対象となります。

福祉型障害児入所施設

対象:身体障害、知的障害、発達障害を含む精神障害のある18歳未満の児童で児童相談所、保健センター、医師等から療育の必要性が認められた方

子どもの保護や、日常生活を送る上で必要とされる技能の訓練、知識の習得などを支援しています

医療型障害児入所施設

対象:自閉症児、重症心身障害児、重症心身障害児

福祉型障害児入所施設に加え、医療面での提供も行われています。

 

各施設の詳細な利用条件、利用料、などについては改めて別の記事にてご紹介したいと思います。また、受給者証についてはこちらの記事で紹介していますので、ぜひこちらもご覧下さい。

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療育は自宅でも行える

ここまで見ていくと療育は専門家がいる専門の施設でなければ行えないのでは?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、それは少し違います。専門家の元でどのような療育が合っているのかを相談しつつ、その施設でも自宅の日常生活の中でも同時に行っていくことが望ましいです。

どうしてもその施設に行った時だけだと、療育を行える機会が少なく、定着するまでに時間がかかってしまいます。もちろん難しい場合もありますし、そんな余裕が無いということもあります。

日々の家事や仕事などに加えて療育と意識してしまうと、親御さんがパンクして疲れてしまい、お子さんに感情的にあたってしまって負の連鎖に陥ってしまうこともあります。ですので、無理せずに出来る範囲でお子さんと一緒に楽しんで行える範囲の物を行うのが良いでしょう。

効果的に自宅で療育を行うために、お子さんの苦手なことを把握しておき、療育センターなどに行った時にスタッフさんへ相談しつつ、具体的な方法を決めていきましょう。

 

【まとめ】発達障がい児支援にかかせない「療育」ってそもそも何?

今回の記事では療育について定義から目的や具体的な方法、療育が行われている施設などを改めて確認をしてきました。

知っている方も多くいたかもしれませんが、見直すと初めて知ったことがあるかもしれません。知った当時とは制度などの変更があり変わっていることなどがあるので、定期的に見直すことをおすすめします。

私自身、この記事を書くにあたり改めて厚生労働省を始めとした様々な物を確認した所、言葉の使われ方や制度の変更を知る良い機会になりました。また、定期的にこのような情報発信をしていますので、よろしければぜひ他の記事も併せてご覧下さい。

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