様々な記事やニュースなどで発達障害をはじめとして、身体障害、精神障害など様々な障害を持つ方は年々増えていると言われています。厚生労働省から調査の結果が公表されましたので、今回はそれらのデータを見ると共に、障害とどのように接していけば良いのかなどを紹介していきたいと思います。
※障害者手帳など一部単語につきましては公表されているデータの表記に合わせていますのでご了承ください
推計値の紹介
これは先日、厚生労働省から「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」の結果が公表されました。この調査は平成28年以来の調査となり、全国の国勢調査によって有効回答が集計をされています。まずはこのデータから見ていきましょう。
こうして見ていくと障害者手帳所持者は増えていますが、身体障害者手帳の所持者は減っており、療育手帳保持者は約18万人と精神障害者保健福祉手帳所持者は約36万人と増加しています。複数の障害者手帳を所持されている方は省かれているため、かなりの人数が増加したといえるでしょう。
なぜ少子化なのに障がい者は増加しているのか?
世間では少子化で騒がれているのに、なんで障がい者の数は増えているの?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?これには様々な要因があるため一概には言い切れないのですが、まず1つとして診断基準が変わったことが挙げられます。
2013年5月ごろにアメリカ精神医学会の診断基準DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)が改定されました。これは世界中で使われており、日本でもこのDSMを使った診断が一般的です。この変更により、グレーゾンや発達障害と診断とされなかった方でも発達障害と診断されるケースが増えました。
他にも以前は発達障害とみなされなかった症例であっても、生活をしている中で困りごとがあると支援対象となっているケースもあります。
また、発達障害に対する認知や理解が変わったことも大きな要因の1つと言えるでしょう。昔から発達障害は存在していました。ですが、昔は周囲からちょっと変わった子だなと思われて終わったり、特性上出来ないことを怠けている、努力が足りないからだと言われてしまって気付かれずに終わってしまうケースも多くありました。
ですが、年月が経ち、今ではそれらに対してもしかして・・・?と思い、お子さんが診断を受けたというお話を聞くことも増えました。それ以外でも大人になってから、気になることがあって診断を受けたら発達障害と診断されることも増えています。
ネットニュースを始めとした様々なメディアを見ていると発達障害、ADHD、ASDなどの単語を毎日のように目にします。このことからも理解や認知がかなり広がっているのだと感じます。
認知が広まったことが逆にデメリットに?
残念な話になってしまいますが、認知が拡がったことがメリットだけではなくデメリットにもなっている側面があります。
発達障害という言葉やその特性を少し知っていることで、発達障害の特性に類似したことが見られるとすぐに専門家ではない、深く発達障害について勉強している訳でもないママ友や知人などから「もしかして発達障害じゃない?」と言われてしまうことがあるそうです。これは一般の方だけではなく、学校や保育園などの現場で働いてる方の中でも増えているようです。もし発達障害だとしたら、早めに気付き適切な療育や、その子の特性に合わせた支援を行うことで、とても生活がしやすくなるでしょう。
ですが、違った時には酷く傷ついてしまい、自己肯定感が大きく下がったり、その方との関係性に亀裂が生じる可能性もあります。そのため、詳しく知らない方が安易に他者に発達障害ではないか?と伝えてしまうのは非常に危険な行為です。
正しい理解が必要
一口に発達障害と言っても、どの発達障害があるのか、他の発達障害と併発しているのか、どの特性が強く表れているのか、二次障害の有無など少し挙げただけでもこれだけの可能性があり、難しい話になってしまいます。ですので、発達障害に対して正しい理解をすることが必要です。
もちろん昔に比べて非常に理解が高まっています。認知も広くされ始めています。ですが、困っている方や悩んでいる方も増えているのが現状です。その方全員に手助けをするのは難しくとも、自分の周りにいる方の力になることが出来るかもしれません。そして、これが増えていくことで少しずつ今よりも様々な人が笑顔で過ごしていく世の中になっていくのではないでしょうか。
そのためにも、理解を更に深めていきましょう。理解を深める手段も様々な物があります。最初に1歩踏み出しやすい物としては、まずは国などの信頼できる所から出されている基礎的な情報を見ることが良いでしょう。
こちらは政府広報オンラインから出ている「発達障害って、なんだろう?」という記事になります。
特徴や気付くためのポイント、その後の行動について、また、相談する場所などが紹介されています。1つ1つの特性について詳しく書かれてはいませんが、最初に発達障害について知るためには分かりやすい物となっています。
次に更に詳しく知りたい場合には、書籍や資格などを利用して学ぶことがおすすめです。書籍では発達障害について詳しく知ることができます。そして資格では、発達障害の知識を深めるだけではなく、発達障害を持つ方へ対してどのように接するのが良いのか、また実際のトレーニング方法なども学ぶことができます。
以下の記事にておすすめの資格を紹介していますので、よろしければこちらもご覧ください。
発達障害は「障害」ではなく「特性」
これは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?発達障害は障害ではなく「特性」である。そしてその特性に合わせて適切な支援や理解がされることで個性へとなっていくとも言われています。
障害を持つ私の個人的な考え方でもあるのですが、障害を持つ本人やそのご家族など周囲の方々が前向きに、毎日を笑顔で過ごせるならどのような受け取り方をしても良いと考えています。その方が生まれ持った特性を活かし、自分にはこれが出来る!と見つけることが出来た時に今まで感じたことのない喜びを得ることができます。
事実として、私も諦めていたことが出来た時、そして誰かにとても助かったよ、ありがとうと言われた時には非常に嬉しく感じ、もっと出来ることを増やしたい!と思ったことがあります。この時に「自己肯定感」が高まったのだと後から理解しました。
生きていく上でこの自己肯定感はとても重要なものです。発達障害を始めとして、障害を持つ方はどうしても過去の経験から自己肯定感が低い傾向にあります。これが高まることで将来役立つことは間違いありません。そのためにも日常生活の中での接し方などが非常に重要になってきます。
【まとめ】発達障害の人は増えている?減っている?
ここまで発達障害を始めとした障害を持つ方の増加、減少の実際のデータや、なぜ増えているのか、そして発達障害を持つ方との接し方などを紹介してきました。
少しずつですが、昔に比べると環境はどんどん良くなっています。私も生活しやすくなったなと思う部分や、こんな所まで分かってくれる人がいるんだと感じて感謝することも少なくありません。
このように理解が高まっていくことで、確実に世の中に笑顔が増えています。たくさんの事が出来るようになる必要はありません。今よりも少しで構いません。少しだけ出来ることを増やして、理解を高めて今よりももっと笑顔で過ごせるような世の中にしていきましょう!