精神疾患って何?効果的なメンタルヘルスケアの方法とは?

近年、精神疾患にかかる人は増えつつあると言われています。実際に厚生労働省から公開された令和6年度版労働白書によると、精神疾患の外来患者数は平成29年のデータでは約389万人に対して、令和2年では約589万人まで増加しています。

外部リンク
令和6年版厚生労働白書

ですが、精神疾患とはどのようなものがあるのか?なぜ精神疾患になるの?注意点などは?と聞かれると中々すっと答えられないことがあります。そのため精神疾患を抱える方との接し方に不安があり、うまく支援が出来ないということがあります。

今回の記事では精神疾患の基本的な情報から、どのようなメンタルケアの方法などがあるのかを紹介していきたいと思います。

精神疾患とは

まずは精神疾患の定義から見ていきましょう。

 

精神疾患の定義としては「精神機能の基盤となる心理学的、生物学的、または発達過程の機能障害によって引き起こされた、個人の認知、情動制御、または行動における臨床的に意味のある障害群」とされています。

DSM-5より引用

また、「精神疾患」と「精神障害」、そして「精神病」という3つの名称があります。厳密にはそれぞれ違うものを指すのですが、特に精神疾患と精神病は同じように扱われることが多くあります。

精神疾患とは症状や状態のことを指しますが、精神障害では精神疾患によって日常生活に支障をきたす状態のことを指します。また、精神病は幻覚・妄想系の精神疾患の総称で使われることが多かったのですが、病名として単独で使われることは今では少なくなっているようです。

 

精神疾患にはどんなものがあるの?

代表的なものを紹介していきます。中には精神疾患ではなく精神障害や精神病などに分類されるものもあります。

  • 依存症
  • うつ病
  • 強迫性障害
  • 摂食障害
  • 双極性障害(躁うつ病)
  • てんかん
  • 統合失調症
  • 認知症
  • パーソナリティ障害
  • 発達障害(神経発達症)
  • 不安症
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 不眠症(不眠障害)
  • 高次脳機能障害

これらが挙げられます。さらに細かく見ていくと、依存症にはアルコール依存症や薬物依存症、ギャンブル依存症など、高次脳機能障害には記憶障害や注意障害など、発達障害には自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)など様々なものがありますが、今回は大きな分類のみを挙げました。

これらの1つ1つの症状や特性などは今後改めて別の記事にてご紹介していきます。

 

精神疾患になる原因やきっかけは?

精神疾患の原因ははっきりと解明されてはいません。遺伝は原因の1つと考えられていますが、これ以外にも様々な要素が挙げられます。例えば、脳の構造や脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが原因ともいわれています。

ですが、これらは「生物学的要因」といわれており、その他にも「環境的要因」や「心理的要因」が挙げられています。環境的要因には日常生活におけるストレスやトラウマ(虐待やいじめ、事故や自然災害)であったり、生活環境があまり良くないことによるストレスが影響する場合もあります。心理的要因では幼少期のトラウマや不安が後々影響することもあります。

これらの要因はトラウマがきっかけの場合はPTSDになりやすい、人間関係のストレスの場合は適応障害やパニック障害になりやすいなどもあります。

 

精神疾患にかかった時の注意点やポイントは?

精神疾患にかかった時には「十分な休養をとること」そして「焦らない」この2つがとても重要になってきます。十分な休養をとることで、心と身体の両方を休めましょう。長期の休養を取ることに抵抗を感じる方もいますが、休養を取れていないことで身体的にも精神的にも追い詰められ、知らず知らずのうちにストレスを抱え込み精神疾患に繋がっていることも少なくありません。

また、「焦らない」とはどういうことなのか。精神疾患は治療を始めてもすぐに治るものではありません。そのため精神疾患とはとても長い付き合いになります。治療を続けていく中で、調子が良い時もあれば、調子が悪くなってしまうこともあります。本当に良くなっているのか?治らないんじゃないか?と思うこともありますが、そこで焦ってはいけません。無理をせずに少しずつゆっくりと治療を進めていきましょう。

不安になってしまう時は自分が相談しやすい相手に気持ちを伝えるようにしましょう。病院の先生や、家族、友達、それ以外にもいのちの電話など相談窓口などがあります。

身近な人が精神疾患になってしまった時の注意点としては、本人を責めない、本人が話しやすい環境を整える、否定や批判をするのではなく、問題や困りごとに対して一緒に解決する方法を考える、ご家族などは主治医と本人の様子や症状の変化などの連絡をこまめにとるなどが挙げられます。

また、感情をコントロールできずに暴れてしまう方もいるので、本人が暴れるようだったら無理に抑えつけずに避難することも大切なことです。何を言っても火に油を注いでしまってますます怒ってしまう場合や、落ち着いた後に傷つけてしまったのを見て更に落ち込んでしまうことなどがあります。

 

効果的なメンタルヘルスケアのやり方とは?

ストレスは誰にでもありますが、ため込んでしまうことで身体的にも精神的にも崩れてしまうことがあります。そのため、ストレスと上手な付き合い方を身に付けましょう。

まずは生活習慣を整えることが大切です。バランスの取れた食事や適度な睡眠や運動を出来る範囲で行うようにしましょう。しなければいけないと考えてしまうと、出来なかった時に自分を責めてしまうことに繋がってしまうこともあります。1個ずつ今日はよく眠れたな、今日は運動ができたなと気楽な姿勢で取り組んでみましょう!

ストレスが溜まってしまった時の、自分なりの発散方法やリラックスをする方法を確立することも大切です。人によって方法は様々で、運動をすることでストレス発散になったり、誰かと話す、ゆっくりと深呼吸を行う、趣味に没頭するなどが挙げられます。

筆者の場合はカラオケや散歩、お風呂にゆっくりと浸かる、音楽を流しながらぼんやりと窓の外を眺める、猫や犬などの動物の写真を見るなどを行っています。

ですが、何をしてもすっきりしない、身体や心の不調が長く続くような場合には専門家に相談してみましょう。

 

精神疾患や心の不調で悩んだ時の相談先とは?

病院や医療機関以外にも様々な相談先があります。もしお悩みでしたら以下の機関に一度相談することで解決に繋がることもあります。

外部リンク

パブリネット 全国の保健所・保健センター

厚生労働省 全国の精神保健福祉センター

一般社団法人 全国のいのちの電話一覧

厚生労働省 まもろうよこころ 電話相談窓口

 

【まとめ】精神疾患って何?効果的なメンタルヘルスケアの方法とは?

ここまで精神疾患についてどのような物があるのか、きっかけや原因となるもの、そしてメンタルケアの方法などを紹介してきました。

精神疾患には様々なものがあり、症状によって特性や注意点などが大きく変わってきます。ですが、どれも治療にはとても長い時間がかかるものがあれば、一生付き合っていかなければいけないものもあります。

そのため焦らずにゆっくりと出来ることを1つずつ行っていきましょう。また、自分なりのストレス発散方法や相談できる相手などを見つけていきましょう!