精神科や心療内科の違いって何?カウンセリングとは何をするの?

進学や進級、就職や引っ越しなどで慣れている環境から新しい環境へと移行した時や、同じ環境の中でも人間関係を始めとした様々な出来事でストレスなどが積み重なったり、悩みを抱えてしまうことは誰にでもあります。

悩みだけではなく、身体面に「寝ても疲れが取れない」「イライラしやすい、いつまでもイライラしてしまう」「頭痛や腹痛、吐き気などが繰り返し起きる」などの影響が出てしまうことがあります。それを放置してしまった結果、うつ病になってしまったなんてケースも少なくありません。

ですが、そんな状態になった時に病院に行こうとしても「精神科」と「心療内科」のどちらに自分は行けばいいのか悩んでしまって行動に移すことが出来ないといったことがあります。結果、受診が遅れてしまい症状が重くなってしまうことがあります。

今回はこの精神科と心療内科の違いや、カウンセリングでは何が行われるのかなどを紹介していきます。

 

精神科と心療内科の違い

精神科とは「うつ病」や「統合失調症」などを始めとした精神疾患を扱う診療科です。気持ちが落ち込んだり、寝られない、イライラするといった症状で悩み受診することが多くあります。つまり「心の病気」を専門としているといえます。

対して心療内科は「心身症」という心で起こる体の病を中心に扱う診療科といわれています。心身症に含まれるのは「胃潰瘍」や「気管支ぜんそく」といったものから、頭痛や腹痛なども含まれます。つまりストレスや悩みなどの原因から起こる「体の病気」を専門としてるといえます。

心身症は発達障害の二次障害としても現れることがあり、こちらの記事でも紹介していますのでご覧ください。

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また、「メンタルクリニック」というものもあります。これは「診療所」に分類されており、医療法でベッド数が19床以下またはベッドがない施設を診療所、20床以上を病院と定めています。メンタルクリニックではメンタルヘルスの問題で悩んでいる方を対象としており、精神科・心療内科どちらも取り扱っています。

そのため、どちらに行けばいいか分からない!という場合には両方が併設されているメンタルクリニックを受診するのも1つの手段となります。

そして似た名称に「神経内科」があります。こちらは精神科や心療内科とは違ってメンタルヘルスではなく、脳などの中枢神経や末梢神経の疾患を専門とする診療科ですので、間違いのないようにお気を付けください。

外部リンク
厚生労働省 こころを専門に診る病院の種類は?

 

精神科では具体的に何をするの?

まず始めに精神科・精神神経科といった名称があります。この2つはほぼ同義とされており、どちらかが書いてある場合や併記されている場合がありますが、こころの病を診ている医療機関と捉えて問題ないでしょう。

精神科ではる薬物療法や面談、各種心理療法(カウンセリング)が一般的に行われています。心理療法については、カウンセラーが担当することもあります。

精神療法とは薬を使わずに、言葉を交わしたり絵画や音楽ダンスなどを通して症状の苦痛などの問題を解決していく治療法です。精神療法にはストレスなどで固まって狭くなった考えや行動を改善するための認知行動療法や、現在の対人関係に焦点を当てて理解し、適切に対処する対人関係療法など様々なものがあります。詳しくは今回の記事では紹介しきれませんので、改めて別の記事にて紹介していきたいと思います。

また、精神科で行われる治療とカウンセリングはどちらも話を聞くから同じじゃないの?という疑問がよくあります。治療では病気を治すことを目的としています。その目的のために心理療法や薬学両方が行われます。

対してカウンセリングでは病気だけではなく、それ以外の幅広い悩み事や問題の解決を目的としています。薬物療法は行わず対話などを主に行い、問題の整理をして解決への糸口を探していきます。

外部リンク
e-ヘルスネット(厚生労働省) カウンセリング/心理療法

 

心療内科では具体的に何をするの?

心療内科では心身症を主に対象としているため、一般の内科でも行うような身体検査や血液検査なども行います。

医師との問診の中ではいつからその症状はあるのか、最近起きた変化などストレスの原因となりそうなものはあるか、他の病院へ通院しているかなど様々なことを聞かれます。そのため聞かれてすぐに自分の中でまとめて答えられないと思う場合には、事前にまとめたメモなどを用意しておくと、スムーズに受け答えができるのでおすすめです。

その他にも今後のことについて不安なことや、気を付けたほうがいいことなど聞きたい事がたくさん出てくる場合がありますので、その辺りも事前にまとめておくと良いでしょう。

一般的な治療法としては、症状に合わせて薬物療法が行われることがありますし、心理療法が行われることもあります。

 

カウンセリングって何?メンタルヘルスケアとの違いとは?

ここまで心理療法(カウンセリング)という言葉が何度か出てきました。カウンセリングは心理療法や精神療法を指していますが、「相談・助言」という意味を持つ言葉でもあります。よく〇〇カウンセリングといった言葉を聞くこともあると思いますが、そちらでは相談や助言といった意味で使われています。

よくある勘違いなのですが、カウンセリングを受ければアドバイスを受けてすぐに解決方法が見つかると思いがちなのですが、そうではありません。カウンセリングでは医師やカウンセラーが心の悩みを聞き、専門家としての視点から指導や援助を行うことがあれば、話をまとめるだけのこともあります。

悩んでいる方に対して適した方法で行うことで、問題点の整理ができたり、解決への糸口を探ることができます。そのため、悩みを抱えた人が自分自身で困難を乗り越えることができるようにするためのサポートといえるでしょう。

カウンセリングは「臨床心理士」や「公認心理士」と言われる資格を持つ医療従事者によって行われます。一対一でのカウンセリングや、ご家族などが同席して行われる場合もあります。

心の悩みを解決するというと、メンタルヘルスケアが思いつきます。カウンセリングは心の悩みから不調になってしまった後にそれを解決するために行われるのに対して、メンタルヘルスケアはストレスを予防・軽減し不調を防ぐことが目的として行われます。

 

身近に心の不調や悩みで苦しんでいる人がいた時は

心の病気は自分で気付きやすい不調(頭痛や吐き気、腹痛など身体的なものなど)と、自分では気付いてないうちに「疲れた、だるい」と繰り返し言ったりすることでご家族や友達、上司や同僚などの周囲から気付かれる場合があります。

自分で気付いて受診する場合はいいのですが、周囲の方が気付いた場合には「いつもと違っておかしいよ、精神科や心療内科に行こう」と直接的に言うのはやめておきましょう。おかしいから精神科などに行こうと言われた時、自分ならどう感じるか考えてみると否定したくなりませんか?よほど自覚していない限りは、普通は行きたがらずに否定することが多くあります。

何かの病気かもしれないから、病院を受診してみようと言ってみましょう。「おかしい」という言葉は厳禁です。

最初から精神科などに行くのではなく別の科を受診して相談していくうちに精神科に行くといったケースもあります。そのため、まずは受診することが大切です。

 

【まとめ】精神科や心療内科の違いって何?カウンセリングとは何をするの?

ここまで精神科と心療内科の違い、そしてカウンセリングでは実際にどのようなことをするのかをご紹介してきました。名前が似ていたり微妙に違っていたりで、分かり辛い点が多くあります。そのため、お悩みの症状に合わせて医療機関などに実際に電話をして聞いてみるのが良いでしょう。

予約制になっている事も多く、すぐに受診できずに数週間空くなんてこともあります。実際に私も初めて精神科病院を受診した時は2週間ほど待った経験があります。ですので、長く続いている時にはなるべく早く相談してみることをおすすめします。

自分にあった医療機関がなくとも、症状を伝えることで他の医療機関を紹介してもらえることがありますので、辛い思いが続いて苦しんでいる場合は我慢せずにまずは相談をしてみましょう。