精神疾患には様々な種類があります。例えばうつ病や依存症、心的外傷後ストレス症(PTSD)などが挙げられますが、これら1つ1つによって原因や症状、治療にかかる時間や気を付けるポイントなどが変わってきます。今回は代表的な精神疾患や精神障害についてご紹介していきたいと思います。
精神疾患(精神障害)になりやすい人の特徴とは
精神疾患になるきっかけには遺伝などの「生物的要因」や、日常生活におけるストレスやトラウマなどの「環境的要因」、幼少期のトラウマや不安などが影響する「心理的要因」などがあります。ですが、それ以外に精神疾患になりやすい人の特徴や性格があります。
例えば「真面目」「責任感が強い」「完璧主義」「会社などで他者からの評価が高い人」はうつ病になりやすいといわれています。人からの頼み事を断れずに大量の仕事を抱え込んでしまったり、柔軟な対応ができずに上手くいかない事で自分を責めてしまう、そしてストレスを溜め込んでしまうなんて事が多くあります。
他にも「内気や控えめ」「人と付き合うのが苦手」「傷つきやすい人」は統合失調症になりやすいといわれています。これは人からの言動に傷つきやすいことでストレスを感じやすく、そのストレスの発散が苦手な傾向が多いことから統合失調症にかかりやすいといわれています。
もちろん、これらの特徴が当てはまらなくても精神疾患になる可能性はあります。もしも精神疾患の症状が現れて、それが長引く時にはもしかしたら心からのサインかもしれません。
代表的な精神疾患とその特性の紹介
ここからは代表的な精神疾患についての特性や症状などを紹介していきます。
うつ病
この名前を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか?うつ病は、気分障害の1つといわれています。
うつ病のきっかけに最も多いとされているのが「環境的要因」です。家族や親友など親しい人の死や、健康や仕事、財産といった大切な物を失う、人間関係や家庭内のトラブルなどが挙げられます。他にも先程挙げたように性格的な要因もあります。
うつ病になると、いつもならストレスを発散できる行為や、していると楽しかったり喜びを感じることに対して何も感じなくなってしまいます。何をしても気分が落ち込んでいて、憂鬱な気分が続いています。
身体的に自覚しやすい症状としては、疲れているのに全く眠れない、寝てもすぐに目が覚めてしまう、食欲が急に無くなる(もしくは急に増える)、疲れやすくて元気がない状態が続いているなどが挙げられます。
依存症
依存症は特定の何かに心を奪われて「やめたくてもやめられない状態」です。依存する対象は様々で、代表的な物に「アルコール」「薬物」「ギャンブル」などが挙げられます。コロナ禍によって自宅で過ごす時間が増えたことや、スマートフォンやインターネットの普及したことで、ゲームにのめりこむ子どもが増えている現状もあります。その他にも特定の物質ではなく「特定の行為や過程」に依存することもあります。
依存症のきっかけはちょっとした楽しみや気分転換でやっていたことや、ストレスの発散だったことがエスカレートしてしまうことです。ストレスの発散のために軽くアルコールを飲んでいたのに、どんどんと量が増えてしまい、最終的にはそれがやめられないといった話は聞いたことがある方も多いでしょう。
これには脳内の神経伝達物質であるドーパミン(快感を感じる物質)が関係していると言われており、何かしらの行為で高揚感を感じるとドーパミンの分泌が活発になり、その状態を求めるがあまり必要以上に繰り返してしまいます。
そして、依存している対象を大切にしすぎてしまうあまり、他のことを疎かにしてしまうようになります。段々と睡眠時間や食事などを削って夢中になってしまい、体調不良になってしまう。アルコールを買ったりギャンブルをするために、借金を重ねてしまうこともあります。
双極性障害(躁うつ病)
うつ病と近い症状を持ちながらも、極端に調子が良くなる時がある。そんな症状がみられるのが双極性障害(躁うつ病)です。ハイテンションでとても活動的な状態といわれる「躁状態」。そして憂鬱で無気力な「うつ状態」。この2つの状態を繰り返します。稀にこの2つの状態が同時に発生することもあります。
気分の波は誰にでもあると思う方も多いでしょう。もちろん人は嬉しいことがあれば気分が上がり、悲しいことがあると気分は落ち込みます。ですが、双極性障害ではその気分の波がとても激しいのです。
躁状態では自信満々で眠らなくても平気でずっと活動している。気が大きくなって、普段ではしないような買い物を何度もするといった行動が見られます。ですが、うつ状態になると途端に気分がとても落ち込んで、夜まったく眠れなくなります。自信満々に活動していた様子は見られなくなり、何も手につかない状態が続くといったことがあります。
きっかけは遺伝的な体質によって、神経伝達物質の機能が変化することだと考えられています。また、ストレスがきっかけとなることがありますが、直接の原因ではないといわれています。
心的外傷後ストレス症(PTSD)
PTSDはPost Traumatic Stress Disorder の略称で、心的外傷後ストレス障害と言われています。環境的要因が原因になって、その記憶がフラッシュバックすることがあります。例えば子どもの頃の虐待やいじめ、地震や火事といった災害、テロや暴動などが挙げられます。東日本大震災を経験してPTSDになり、今でも苦しんでいる方がたくさんいます。
とても強い恐怖やショックを感じたことで、自分の中でその出来事を落ち着いて整理することができず、「非常によく覚えている場面」と「覚えてない部分」が混ざり合うことがあります。何が原因でどうしてこうなったのか、どこまでが自分の体験したことで、どこまでが感じたことなのか、どこからが自分の考えなのかが分からないといった状態に陥ります。
そして、その経験をした場所と似た所を通った、いじめられた人と似た人と対面したなどの、ふとしたことがきっかけとなり、フラッシュバックが起きます。これはトラウマとなった出来事を思い出そうとしていないのに、何度も思い出したり、それに関する悪夢を見てしまう症状です。また、目の前でその状態が再現されている感覚になり、周囲の声が届かない状態になることもあります。
この状態を避けようとして、車や電車に乗れない、海や山に近付けない、火を使うことができなくなり、日常生活や社会生活の中で行動に制限がかかり、大きな影響を与えることがあります。
精神疾患になった後の対処法やなる前のメンタルケアは無いの?
精神疾患は決して治らない病ではありません。ですが、再発しやすい病としても有名です。症状が安定しても、その後にまた落ちることがあり、そのせいで精神疾患はもう治らないんだと諦めてしまうことがあります。
症状や本人の特性に合わせた治療を継続して行っていくことで、再発の防止も可能だといわれています。治療には長期間の時間が必要になります。すぐに治らないといって自分を責めるのではなく、焦らずに少しずつ治療を進めていきましょう。
また、精神疾患になる前にメンタルヘルスケアをすることで防げる場合もあります。自分に疲労がたまった時に起きやすい、心や身体からのサイン(体調不良や不眠など)を見逃さないこと、自分なりのストレスの発散の方法を知ることや、自分の心の内を話せる人を見つけることが大切です。詳しくは以下の記事で紹介していますので、よろしければご覧ください。
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【まとめ】代表的な精神疾患(精神障害)の特性とは?きっかけや原因など併せて紹介
ここまで代表的な精神疾患について紹介をしてきました。
ですが、今回の記事では紹介しきれなかった強迫性障害やパーソナリティ障害など様々なものがありますので、また別に記事にて紹介させていただきたいと思います。
精神疾患は誰にでもかかる可能性があります。ですが、決して治らない物ではありません。辛い状態の時に頼ることは決して悪いことではありません。もし、不調が続いているようならば、最寄りの医療機関などに相談することで原因が分かったり、悩みが軽減することがありますので、一度受診してみてはいかがでしょうか?