メンタルヘルス(心の健康)がますます重要視される現代社会において、心理カウンセラーの役割は非常に重要です。日本でも2015年12月より50人以上働く事業所にて、年1回以上のストレスチェック義務付けるストレスチェック制度が導入されました。また、先日読売新聞の記事にて、50人未満の事業所でもストレスチェックを義務付ける方針を決めたという記事が掲載されておりました。
外部リンク
読売新聞オンライン「働く人の「ストレスチェック」、全事業所に義務拡大へ…昨年度の労災認定は過去最多の883人」
今回は今後さらに必要とされるであろう心理カウンセラーになるための、流れや必要な資格、そしてメンタルケアのスキルを身につけるための方法について紹介していきたいと思います。
心理カウンセラーの役割や特徴
主な役割
心理カウンセラーの主な業務は、心の悩みを抱えた人、ストレスに耐えられなくなった人の相談に乗り、解決の手助けをすることです。具体的には、相談者との面談や心理テストの実施、問題解決策の提案などを行います。また、時には薬学的な治療をするなどのケースなどもあるので、医者や他の専門家と協力しながら、問題解決を解決していきます。
カウンセラーに必要なこと
人の気持ちを理解する力や、じっくり話を聞く能力や物事をよく観察する力、問題を解決する能力も必要になってきます。また、患者(相談者)のサポートが仕事ですが、自分自身のことも理解し、自身のメンタルケア(ストレスをうまく処理すること)も大切になってきます。
活躍できる場所
心理カウンセラーの活躍の場は多岐にわたります。医療機関、教育機関、企業の人事部門、福祉施設、そして私設の相談所などが主な就職先となります。また、特定の分野(児童心理、家族カウンセリング、うつ病治療など)に特化したスペシャリストとして活動することも可能です。また、通信技術の進歩やコロナウイルスによる外出制限がオンライン化を加速させた結果、以前よりもオンラインカウンセリングの需要も増加してきました。なので、時間や場所にとらわれず、様々な場所で活躍ができます。
心理カウンセラーを目指には
心理カウンセラーとなって働くには、しっかりとした知識と専門スキルが必要となります。学習方法と資格を取得するには2つの方法があります。
大学、大学院で専門教育をうける
心理カウンセラーを目指す第一歩は、大学で心理学を学ぶことです。心理学部や心理学科がある大学を選び、そこで、人の心の仕組みや行動について幅広く学びます。(基礎心理学や臨床心理学)例えば、子どもの成長過程、社会での人間関係、心の病気について学び、さらに統計、研究方法論も学ぶことで、科学的アプローチの基礎を身につけます。
また、国家資格である「公認心理師」になるためには、大学院に進んで必要な科目を履修するか、認定施設で2年間の実務に就いた人に試験の受験資格が与えられます。
公認心理師を目標にする場合には、必ず大学へいきましょう。
通信講座やスクールで学ぶ
「大学に行くのは難しい」「お金も時間もそこまで余裕はない」という場合には、民間の資格もあるので、スクールや通信講座で学ぶことができます。そのため、公認心理士を取得することに比べ、取得のハードルを下げることができます。ただし、「臨床心理士」は大学院を修了する必要があります。
以上2つが学習法と試験の取得方法になります。ただ、資格の取得はあくまで知識の証明です。そのため、実際にカウンセリングを体験することも大切です。可能であれば、勉強をしながら研修やセミナー、インターンシップやボランティアに参加し、インプットとアプトプットの実践ができるといいですね。
心理カウンセラーに関する資格
先ほど、少し資格の名前を出しましたが、心理カウンセラーになるための主な資格をいくつか紹介したいと思います。
公認心理師【国家資格】
2017年に誕生した日本で唯一の心理職の国家資格です。医療、福祉、教育、司法、産業など幅広い分野で活躍できます。公認心理師を受験するためには条件があり、大学と大学院で決められた科目を修めるか、大学卒業後の実務経験と講習の受講が必要となります。法的な裏付けがあり、社会的信頼度が高いのが特徴です。より詳しい情報は厚生労働省のページにて確認ができます。
臨床心理士【民間資格】
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。1988年(昭和63年)からスタートし、2024年現在で36年の歴史を持っています。臨床心理学の専門家として高い評価を受けており、2024年(令和6年)4月1日時点で、41,883名の「臨床心理士」が認定されています。心理療法や地域支援など、幅広い心理臨床活動に従事しており、公認心理師と併せて取得する人も多くいます。また、5年ごとの資格更新制度があり、受験するには、指定大学院での学習と実習が必要です。より詳しい情報は日本臨床心理士資格認定協会のページにて確認できます。
産業カウンセラー【民間資格】
産業カウンセラーは、日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格です。主に企業や組織のメンタルヘルスケアやキャリア支援を行う資格なので、会社で働く人たちのケア(仕事のストレスや将来の悩みなどの相談)やサポートする専門家です。資格取得には、協会指定の養成講座の受講と試験合格が必要ですが、大学院の修了といった受験条件はありません。随時、無料説明会や体験講座を実施しています。より詳しい情報は日本産業カウンセラー協会のページにて確認できます。
外部リンク
日本産業カウンセラー協会 産業カウンセラー養成講座とは
その他の関連資格
メンタルケアに関連する資格は他にもあります。例えば、認定心理士(日本心理学会)、学校心理士(日本学校心理士会)、精神保健福祉士(国家資格)などの資格があります。自分の目標に合わせて選ぶことや複数の資格を組み合わせることで、より幅広い活動が可能になります。
資格を取った後はどうするのか
働ける場所と専門分野
心理カウンセラーの就職先は多岐にわたります。医療機関(精神科クリニック、総合病院の心療内科など)、教育機関(学校のスクールカウンセラー)、福祉施設(児童相談所、高齢者施設)、企業、そして開業(個人クリニック)などが代表的です。また、スポーツ選手のメンタルサポートや、災害後の心のケアなど、特別な分野で活躍することもできます。
最新の心理療法や技法の習得
心理学や精神医学の分野は日々進化しており、新しい療法や介入技法が常に開発されています。例えば、インターネットやAIを利用したデジタルメンタルヘルスなど、テクノロジーと心理療法の融合にも注目が集まっています。イギリス国民保健サービス(NHS)ではうつ病や不安障害に対するオンライン認知行動療法(CBT)プログラムを提供しています。このように新しい知識や技術を積極的に取り入れることで、時代のニーズに応える専門家として成長し続けることができます。
【まとめ】心理カウンセラーになるには? メンタルケアに関する資格と取得方法
今回は心理カウンセラーになるための方法やそれに関連する資格などを紹介しました。
メンタルヘルス(心の健康)が注目される現代社会において、今後は今よりも心理カウンセラーの需要高まってくると思います。人々の心に寄り添い、幸せをサポートすることができる仕事の1つなので、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。