PTSDと向き合う勇気! 日常生活とメンタルケア

みなさん、こんにちは!今回は「PTSD」について紹介したいと思います。タイトルにも挙げましたが「PTSD」という言葉を聞いたことありますか?今回は、PTSDについて理解を深め、日常生活の中でできるケアや治療法について紹介していきますので一緒に、PTSDと向き合う方法を探っていきましょう!

PTSDとは何か? PTSDの基本知識

PTSDの定義

まず、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder の略)は別名「心的外傷後ストレス障害」とも呼ばれ、精神疾患の1つになります。事故や災害、いじめなど、とても怖い経験をした後に起こることがあると起こる心の反応のことです。怖い記憶が頭から離れなかったり、不安になったりすることがあります。その中で、生死に関わるような体験や強い衝撃を受けたなど、怖い出来事を経験した後に起こる心の病です。

主な症状

主な症状には、そのつらい記憶が突然よみがえってくる「フラッシュバック」や、怖い夢を見る「悪夢」などがあります。また、その出来事を思い出させるものを避けようとしたり、イライラしやすくなったりすることのほかに、眠れなくなったり、集中力の欠如や様々なことに関心や興味を持てなくなる等の症状があります。

怖い体験をした直後にこうした症状が出現することはありますが、1か月以上続く場合、PTSDの可能性があります。

外部リンク
参考:厚生労働省(e-ヘルスネット)PTSDの症状と診断

トラウマとPTSD

みなさんも一度は耳にしたり、口にしたことがある「トラウマ」ですが、実はPTSDと大きな関係があります。トラウマは「心に負った傷のこと」です。そのため、自然と回復することもありますが、大きなトラウマ(心の傷)はPTSDを引き起こす可能性もあります。(大きな地震や津波などの自然災害、交通事故、いじめ、火事、虐待、性犯罪被害など)

また、自分自身が直接経験しなくても、家族や友達が危険な目に遭うのを目撃したり、ニュースなどで衝撃を受ける映像を見たりすることでもPTSDになる可能性があり、同じ出来事であっても誰もがPTSDになるわけではありません。

例えば、「犬に噛まれた」とことを例にした場合、「犬と一緒に生活をしていた人」と「そうでない人」、「犬が噛むことを知っていた」と「噛むことを知らなかった」、「誰かがすぐに助けてくれ、大事に至らなかった」と「自分一人しかおらず、傷を負った」などの場合では、犬に対しての知識や経験、状況が異なるため、「同じ噛まれた」という事象に対して感じる結果が変わります。このように、その人の性格や状況・環境、周りのサポートなどによっても心に与える影響は大きく変わってきます。

 

PTSDが日常生活に与える影響

PTSDは日常生活にもさまざまな影響を与えます。学生であれば、学校に行くのが怖くなり、友達と話すのも苦手になった。また、勉強に集中できなくなったり、成績が下がった。などの影響がありました。ほかにも、「家族との関係がおかしくなった」「新しいことに挑戦する勇気や意欲が出なくなった」などの例があります。

また、不安を和らげるために、お酒やたばこ、頼ってしまう人もいます。場合によっては「二次障害」へとつながるケースです。二次障害とは元々ある障害や問題(一次障害)が原因となって、新たに別の問題(二次障害)が生じることを指します。例:PTSDが原因(一次)で自傷行為(二次)であるオーバードーズやリストカットをするようになったなど。大切なのは、これらの変化に気づいて、適切なケアを受けること。一人で抱え込まずに、周りの人に相談してみることも大切です。

 

日常生活でできるセルフケア方法

人によって原因や症状の強さも様々です。その中の解決方法の1つとしてストレス管理があります。ここでは日常生活の中で、実践できるストレスケアを紹介したいと思います。

ストレス軽減!?マインドフルネス

マインドフルネスという言葉を聞いたことありますか?簡単に言うと、「今この瞬間に集中すること」です。PTSDの症状は過去の怖い記憶にとらわれがちですが、マインドフルネスは今に意識を向ける練習をします。例えば、フラッシュバックが起こった時などに、過去の出来事に引きずられることを防ぎ、現在の安全な状況に意識を戻すことができます。実践方法としては、深呼吸に集中する瞑想がおすすめです。初めは難しく感じるかもしれませんが、少しずつ練習していくと、不安な気持ちが和らいでいくのを感じられるようになります。スマホアプリなどでガイド付きの瞑想を試してみるのも良いでしょう。

また、マインドフルネスの実践は、PTSDの症状軽減に効果があることが多くの研究で示されています。例えば、2015年に米国医師会が発行する医学誌JAMAで発表された研究(※1)では、PTSD症状のある退役軍人116名を対象に、マインドフルネスに基づくストレス低減法(MBSR)の効果が調査されました。その結果、マインドフルネスを行った49%に効果がみられ、33%はPTSDの診断基準を満たさなくなったという結果もあります。

外部リンク
※1 Polusny MA, et al. Mindfulness-Based Stress Reduction for Posttraumatic Stress Disorder Among Veterans: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2015 Aug 4

※リンク先は海外サイトとなっています

 

PTSDに効果的な治療法について

続いて、現在PTSDの治療法として行われている療法を簡単にではありますが、紹介したいと思います。

トラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)

トラウマ焦点化認知行動療法と小難しい名前がついていますが、簡単に言えば「怖い経験について少しずつ話し合いながら、その出来事に対する考え方を変えていく」療法で下記のような流れで治療を行なっていきます。

  1. 怖い経験について少しずつ話す練習をします。
  2. 不安になったときにリラックスする方法を学びます。
  3. 怖い経験について、違う見方ができないか考えます。
  4. 家族といっしょに、お互いの気持ちを理解する練習をします。

例えば、交通事故で怖い思いをした人が、車を見るだけで怖くなってしまうとします。この治療では、少しずつ車に近づく練習をしたり、「全ての車が危険というわけじゃない」と考える練習をしたりします。

眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)

こちらもと小難しい名前や名称ですが、簡単に言えば「目を動かしながら、怖い記憶を整理する」療法で下記ような流れで治療を行なっていきます。

  1. 安全な場所で、治療者(先生)と向かい合って座ります。
  2. 怖い記憶を少し思い出します。
  3. 先生の指やライトを目で追いかけて、左右に目を動かします。
  4. これを繰り返すことで、怖い記憶が少しずつ整理されていきます。

このように目の動きを使ってPTSDの症状を軽減する治療法です。

また、ここで紹介した「トラウマ焦点化認知行動療法」「眼球運動による脱感作と再処理法」の2つは米国政府機関である米国退役軍人省が運営するページでも、子供や10代の若者に対しての有効な治療法として紹介されています。

外部リンク
参考:U.S. Department of Veterans Affairs “National Center for PTSD” June 20, 2024

※リンク先は海外のサイトとなっています

ただし、どちらの治療も効果が認められてはいますが、大きなポイントはゆっくりと進めることです。無理な治療とならないよう、焦らずゆっくりと進めることが治療のポイントとなります。

フォーカシング(クライエント中心療法)

フォーカシングは、クライエント中心療法(自身が本来持っている自己理解と問題解決の能力を引き出すことに重点を置いた療法)の1つで、体の感覚に注目しながら自分の気持ちを理解していく方法です。例えば、不安を感じるときの胸のざわざわした感じや、リラックスしているときのお腹のあたたかい感じなど、体の感覚に耳を傾けます。PTSDの場合、怖い記憶が体に残っていることがあります。フォーカシングを通じて、その感覚に優しく寄り添い、少しずつ解放していきます。この方法は、自分のペースで安全に内面と向き合えるのが特徴です。

 

【まとめ】PTSDと向き合う勇気! 日常生活とメンタルケア

今回は紹介したPTSD(心的外傷後ストレス障害)は怖い経験(トラウマ)をした後に起こる自然な反応です。特にPTSDと向き合う=「トラウマに立ち向かうこと」になるので、ものすごく勇気が必要です。ここで大切なのは、一人で抱え込まないこと。つらい時は周りの人に相談してください。また、PTSDについての理解は日々進化しています。新しい治療法や支援の形が常に研究されています。

これからもメンタルヘルス(心の健康)に関心を持ち続け、自分自身や大切な人たちのために、学び続けていきましょう。