発達障害は依存症になりやすい!?ASDやADHDとの関係性とは

発達障害を持つ方は日々の様々な場面の中で生きづらさや困難さを感じることが多くあります。年々、発達障害についての理解が拡がり少しずつ良くなっている物もありますが、どうしてもストレスや悩み事は尽きません。

そしてそのストレスや悩み事を解消するためであったり、発達障害の特性から「依存症」になりやすいと言われています。今回はこの発達障害と依存症の関係性や、発達障害の中でも特になりやすいものなどを紹介していきます。

 

依存症とは?

まずは依存症の定義について確認していきましょう。依存症とは「特定の物質や行為に頼ることをやめられない状態」を指します。

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参考:厚生労働省「誤解だらけの依存症」

ここで誤解しないでほしいのですが、依存症は「やめたくてもやめられない状態」であり、決して意思が弱い、だらしないからといった訳ではありません。そのため、「お前の意思が弱いからやめられないんだ!」といってもまったくの無意味で、むしろ本人が自分を余計に責めてしまい、そのストレスを忘れるために更にのめりこんでしまう危険性もあります。依存症は「病気」です。根性論で治ることはありません。

依存する対象は様々ですが、「アルコール」「薬物」「ギャンブル」「買い物」などがよく挙げられます。近年ではスマートフォンやインターネットが普及したことにより「ネット」や「ゲーム」などに依存するケースも少なくありません。

そして依存対象に重きを置いてしまい、食事や睡眠といった生きていく上で必要なことを疎かにして体調を崩したり、や他者とのコミュニケーションなどを疎かにして喧嘩が増えたりといった問題が起きていきます。また、アルコールやギャンブルを行うために借金を重ねてしまうなんてこともあります。

その問題が起きていて、自分や家族といった周囲の人の生活などへ強く影響が出ていてもやめられないのが依存症です。

 

発達障害と依存症の関係性 ASDとADHDの方は要注意!?

何故、発達障害を持つ人は依存症になりやすい傾向がみられるのでしょうか?それは発達障害の特性による困難さからうまれるストレスなどがきっかけの場合と、脳の特性に起因している場合があるといわれています。

発達障害には「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」などがありますが、この中でも特にASDとADHDは要注意です。

ASDの特性がある方の場合は、社会的コミュニケーションの難しさが挙げられます。特性により他者の気持ちを理解することが難しかったり、いわゆる空気がよめないといったことや、人に言われたことをそのまま受け取ってしまうこと、こだわりの強さなど様々な理由からストレスが溜まってしまうなどがあります。

そして、そのストレスから逃れるためにのめりこみ、気付いた時には自分ではやめられない状態になることがあります。この他にも、ASDの特性として自分の興味や関心のあることに没頭するというものがあります。この対象がもしも「アルコール」や「薬物」などの依存性が高く、危険なものになってしまった時、それは依存症に陥る危険性があります。

あくまでものめりこみ、自分の意思でやめられずに健康問題などのなにかしらの問題が起きている状態が依存症です。特性から何かに没頭している時や、アルコールなども嗜む程度ならば問題はありません。

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参考:自閉症スペクトラム障害に併存するインターネット依存症のスクリーニング、および介入の必要性

ADHDの特性がある方の場合は、ドーパミンの分泌量が調整し辛いという特性があります。ドーパミンは快感や多幸感などを与える神経伝達物質です。ADHDの特性上、ドーパミンが少ないことで脳内報酬系の活性が低く、やる気や快感などが感じ辛いといったことがああります。

ですが、本人が興味のある事に対してはドーパミンが非常に多く放出されることがあります。このドーパミンが非常に多く放出されている状態が「長く続く」ことが危険だとされています。アルコールや薬物、ゲームなどはドーパミンの分泌が刺激されやすいのですが、過剰に分泌されすぎることで刺激に対して耐性が出来てもっと強い刺激を求めるようになります。それが繰り返されていくことで「やめたくてもやめられない状態」、つまり依存症へとなってしまいます。

その他にも、ADHDの特性により日常生活を送っていく上で様々な出来事から、ストレスを感じる出来事や自己肯定感の低下が起きやすいことが多くあります。そのストレスを発散しようとして、アルコールやゲームなどにのめりこんでしまいやすいとされています。

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参考:注意欠如・多動症(ADHD)と依存症

 

依存症になった時はどうすればいい?

医療機関などを受診して、依存症と診断された時には、自分が依存している状態だと認めることが大切です。まだ受診をしていない場合は、なるべく早く医療機関を受診することをおすすめします。依存症を始めとして、精神疾患は時間が経つと進行してしまい、症状が重くなったり、他の精神疾患が併発することもあり得ます。

もしも、今自分の意思で辞められないことがあり、それが長期間続いていて、自分の健康など何かしらの問題がある場合にはお近くの医療機関を受診しましょう。

依存症は誰にでもなりえる病気です。ですが、一度何かしらの依存症になると、自分自身だけでその状態から抜け出すのは非常に困難とされています。そして、家族を始めとした周囲の方が止めようとしても、止められる物でもなく、それどころがさらなる問題へと発展してしまうケースもあります。

依存症は決して恥ずかしいことではありません。最初の一歩を踏み出すことはとても勇気が要りますが、1人で抱え込んでしまうと余計に自分を責めて負の連鎖に陥ってしまいます。最初は医療機関ではなく、精神保健福祉センターなどの相談窓口に相談する所から始めてみても良いでしょう。

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参考:厚生労働省 全国の精神保健福祉センター

依存症は「止め続けること」が大切です。ですが、1人では止め続けることはとても厳しく、ストレスが溜まりやすいでしょう。同じく依存症になっている方とコミュニケーションを取って、どのような対策をしているか話し合ったり、軽い散歩や深呼吸などのストレス発散を見つけることなども有効です。

 

周囲の発達障害の特性がある方が依存症になった時には

まずは、その方の発達障害の特性と依存症について正しく理解をしましょう。どのような特性があり、どのような事にのめりこみやすいのか、何の依存症なのかを正しく認識します。また、依存症から抜け出せない方を叱責したところで意味はありません。それどころか悪化させてしまうことがありますので、やめておきましょう。

依存症は再発しやすい病気です。大分良くなったから少しくらい良いでしょ!といって気軽に誘ってはいけません。それが再発のきっかけとなってしまいます。

そして、周囲の方は依存症の方の尻拭いをするのはやめましょう。本人に立ち直ってほしいという願いや愛情から、ギャンブルやアルコールなどで出来た借金などを肩代わりしてしまうことがあります。それは本人が問題に直面せずに依存している物を続けてしまうことになります。

ご家族の方が出来ることは限られています。ですが、医療機関に連れていことしても本人が否定したり拒否する場合も少なくありません。行政機関などに相談する場合は、本人を連れていかなくとも相談しにいくことができます。今後どうしていけば良いのかなど適切な対処法や、アドバイスを貰えることがありますので、こちらを頼ってみましょう。

 

【まとめ】発達障害は依存症になりやすい!?ASDやADHDとの関係性とは

ここまで発達障害と依存症の関係性や、なぜなりやすいのか、なった後の対処法などを紹介してきました。

依存症は依存しやすい物を1回やったからといって、すぐになる訳ではありません。繰り返していくうちに止めたくても止められない、それなしでは生きていけない状態となります。

依存症は一度なってしまうと完治しない病気ですが回復しない訳ではありません。止め続けていたのに、途中でやってしまった場合でも、そこからまた再開して止め続けることが大切です。失敗したといって自分を責めてしまうのではなく、次はどうすればいいのか、医師や専門家に相談をして続けるようにしましょう。