精神疾患には数多くの種類があります。今までの記事では精神疾患の概要を知るものなどが多くありましたが、1つ1つに焦点を当てて見ていきたいと思います。今回はその中の1つ「統合失調症」について紹介をしていきます。
精神疾患とは?
まずは精神疾患の定義から改めて確認をしておきましょう。
精神疾患の定義としては「精神機能の基盤となる心理学的、生物学的、または発達過程の機能障害によって引き起こされた、個人の認知、情動制御、または行動における臨床的に意味のある障害群」とされています。
DSM-5より引用
精神疾患の定義はいくつかありますが、こちらはDSM-5より引用させていただきました。
統合失調症の症状とは?
統合失調症には大きく「前兆期」「急性期」「休息期」「回復期」の4つがあります。それぞれの病期に合わせて症状などを見ていきましょう。
前兆期
前兆期では統合失調症を発症する前触れのサインが現れます。例えば、夜に眠れなくなったり、小さな物音などでも敏感になる「聴覚過敏」の症状が見られる、焦ったり不安になることがあります。
ですが、これらのサインは統合失調症のみに現れるサインではなく、うつ病などの他の精神疾患にも現れたり、疲れやストレスが強く溜まった時にも現れます。そのため、本人は寝れば治るだろうと思ったり、周囲が気付かないことが多くあります。
急性期
この急性期は統合失調症特有の「陽性症状」が目立つようになる時期です。陽性症状とは、幻覚(幻聴)などの現実にはあるはずのないものが、あるように感じられたり、現実にはありえない事を信じ込んだりします。
これらの症状からコミュニケーションを取っている中で、普段とは違った言動が見られることが増えてくるため、周囲も違和感を覚えるようになります。この時に周囲の方は、本人から妄想の内容などを聞いた時に、安易に肯定も否定もしないようにしましょう。
否定や説得をしても、本人はそれを現実だと信じているので、納得することはありませんし、言い争いになってしまうケースも少なくありません。不安に感じているという気持ちに寄り添うようにしましょう。
消耗期(休息期)
そして急性期が終わると、休息期へと移行します。休息期では主に「陰性症状」が現れやすくなります。陰性症状は、感情の起伏が乏しくなったり、やる気や元気が無くなり、自発的に行動を起こし辛くなっています。
急性期が激しい症状が多く現れる時期に対して、消耗期は急性期で疲れ切ったあとの状態です。しっかりと休息を取ることが大切です。激しい症状が落ち着いたからといって、まだまだ本調子という訳ではありません。
急性期の期間が長いと、消耗期も長くなる傾向があるので焦らずに休養を取りましょう。ここで急いでしまうと急性期に戻ってしまう場合もあります。
周囲の方から見ると、やる気がなかったり、だらけているように見えることもあるのですが、本人の意思の問題ではないので決して焦らせたり、強い言葉で責めたりすることのないようにしましょう。
回復期
回復期では徐々に症状が治まり回復に向かい始めます。少しずつやれる事も増えてきて、活動の幅も広がります。リハビリなどを開始するのもこの時期が多いのですが、ストレスや睡眠不足などから、再発に繋がる可能性もありますので油断はしないようにしましょう。
また、この時期になると認知機能障害が見られるようになります。認知機能とは記憶力、判断力、集中力、注意力など生活の中で物事を判断したり、遂行したりと社会的な生活を送るうえで重要な機能です。この機能に障害が出て、記憶力の低下や注意力の低下など様々な能力に低下が見られるようになります。
もし、前に比べて物覚えが悪くなった、注意力が落ちたなと感じる場合はそれを医師へ伝えるようにしましょう。
4つの病期にとそれぞれに現れる症状などを紹介しましたが、これらの病期は一方的に流れていくのではなく、逆行することがあります。そのため、落ち着いたからと少しくらい無理をしていいなんてことはありません。油断せずにしっかりと休み、身体にも心を休ませるようにしましょう。
統合失調症になるきっかけとは?
統合失調症になる明確な原因やきっかけという物は未だに明確にされていません。最新の研究では遺伝的な要因と環境的な要因(生活上の強いストレスなど)がきっかけになっているが組み合わさり、発症するのではないかと言われています。
統合失調症になりやすい人は?
統合失調症は主に10代から20代といった思春期、青春期に発病することが多いといわれています。そして、統合失調症は稀な病期ではなく男女関係なく120人に1人(約0.82%)が生涯で統合失調症にかかる可能性があると言われています。
日本では生涯有病率は0.59%と推定されたというデータも公表されています。
また、統合失調症にかかる人はもともとストレスに弱い傾向があるといわれています。
統合失調症の症状が現れた場合はどうすればいい?
本人の場合はできるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。早期診断、早期治療を行うことで重症化を防ぐことにも繋がります。前兆期で紹介した、ちょっとした音が気になる、テレビの音声などが不快に感じるなどの過敏症状、焦りや不安などが強く出るなどがあったら、まずは相談することから始めても構いません。
結果として何もなければそれで良いですし、もしも何かが見つかったのなら早期に見つけることが出来てよかったと安心することが出来ます。
本人ではなく、周囲の方ならばまずは統合失調について正しく理解を深めましょう。どのような病気なのか、本人にどのような症状が出ているのか、どのような治療を行うのか、気を付けるポイントなど医師や専門家にしっかりと聞いておきましょう。
今まで出来ていたことが出来ずに、焦ったり不安に感じることがあります。ありのままを受け入れてゆっくりと見守ることが大切です。
統合失調症にならないためのメンタルヘルスケアとは?
メンタルヘルスとはこころの健康状態を指します。このメンタルヘルスを大切にすることで、統合失調症を始めとした精神疾患の予防へと繋がります。上手にストレスとの付き合い方や自分なりのストレス発散の方法などを見つけていきましょう。
筆者のおすすめは、場所や時間などを気にせずに行える深呼吸や瞑想などの簡単な物から始めてみることをおすすめします!
他の具体的な方法などは以下の記事にて紹介していますので、是非こちらもご覧ください。
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【まとめ】精神疾患を知る 統合失調症の症状とメンタルヘルスケアとは?
今回は統合失調症について症状などを詳しく紹介してきました。
この病気は誰にでもなり得るものです。もしもなったとしても、その方を責めるのはやめましょう。決してその方に問題があったから発症した訳ではありません。
そして、治療にはとても長い時間がかかります。焦る気持ち不安が積み重なってしまった時は、医師や専門家、周囲の支えてくれる方、誰でも構いません。相談をして自分1人で抱え込まないようにしましょう。