外で手すりなどに触れたら菌が手につくから手を洗う、鍵をかけたか不安になって確認しに戻る、火の元が気になって確認しに行く・・・そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか?
ですが、それが強い不安となり何度も何度も繰り返し行い、日常生活や社会生活に強く影響を与えている場合、もしかしたら「強迫性障害」の可能性があります。
今回はこの強迫性障害について紹介をしていきます。
強迫性障害って何?
強迫性障害とは不安障害の1つで、精神疾患になります。強い不安やこだわりが日常生活に大きな影響を与える病気です。冒頭でも触れましたが、家の戸締りが不安、火の元が不安で何度も何度も確認しても安心することが出来ない。手を何度も何度も洗ってもまだ汚れている気がして止められないといった症状が挙げられます。
これらは何度も確認しているはず、洗っていると自分では分かっているのです。でも、分かっていても止められない、やりすぎだと思っているのに止まらないのです。
また、精神疾患と聞くと治らないの・・・?とかんじる方がいますが、強迫性障害は適切な治療を行えば、回復が期待できる病気とされています。そのため、自分はもう良くならないんだ・・・となって自己判断で終わらせずに、医療機関を受診し専門家に相談して治療を進めていきましょう!早期発見、早期治療は精神疾患にも有効な手段です。
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強迫性障害の症状「強迫観念」と「脅迫行動」とは
強迫性障害には特徴的な症状として「強迫観念」と「脅迫行動」があります。強迫観念とは「頭から離れない考えのことで、その内容が不合理だと分かっているのに頭から離れないこと」です。脅迫行動とは「強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行動」です。自分ではやりすぎ、無意味、だと分かっているのに止められません。
代表的な強迫観念と脅迫行動と一部紹介します。
- 不潔恐怖と洗浄
汚れや細菌感染への恐怖から過剰に手を洗ったり、入浴や洗濯を繰り返す。ドアノブや手すりなどを不潔に感じて触ることが出来ない。 - 加害恐怖
誰かに危害を加えたかもしれないという不安が心を離れずに、新聞やテレビなどに事故や事件として出ていないか確認したり、警察や周囲の人に確認したりする - 確認行為
戸締りやガス栓、電気器具のスイッチを過剰に何度も確認する - 儀式行為
自分の決めた手順で物事を行わないと、恐ろしいことが起きるという不安から、どんな時でも同じ方法で仕事や家事をしなくてはならない - 数字へのこだわり
不吉な数字・幸運な数字に、縁起をかつぐといったレベルを超えてこだわる - 物の配置、対称性などへのこだわり
物の配置にこだわりがあり、必ずそうなっていないと不安を感じる
これらが頻発して、確認行為で時間がかかって約束の時間に遅刻してしまうなどの日常生活や社会生活に影響が出ている場合は、強迫性障害の可能性がありますので、念のため受診をすることを考えましょう。
強迫性行障害の症状が現れた場合には?
出来る限り早く最寄りの医療機関を受診するようにしましょう。早期発見し、早期に治療を開始することが出来れば、進行を防ぎ重症化を回避することにも繋がります。
また、強迫性行動には周囲を巻き込む可能性があります。汚いから消毒しろ!とアルコールなどで消毒、石鹸での手洗いを何度も強要したり、火や戸締りを家族や周囲の人に何度も何度も行うなどがあります。
これを繰り返していくと少しずつ周囲の人との人間関係が上手くいかなくなって孤立してしまい、その孤独感やストレスなどで更に悪化してしまうこともあります。自分の中ではちょっと気にしすぎなだけ、病気というほどではない!と思っていても、周囲の人からするとそうではないかもしれません。強迫性障害ではないと診断されれば、それで安心することができますので、受診を考えてみてはいかがでしょうか?
そして診断された場合は、早く治そうと焦らないようにしましょう。精神疾患の治療には時間がかかります。早く治そうと焦ってしまうと、治らないことにストレスを感じますし、治らないからといって諦めて途中で止めてしまうこともあります。自己判断ではなく、医師や専門家と相談しつつゆっくりと進めるようにしましょう。
強迫性障害の原因やきっかけとは
強迫性障害の明確な要因というものは特定されていません。脳内の神経伝達物質の調節障害や、脳のある部分の活動性の異常が影響していると言われています。
他にも、もともとの性格や対人関係や仕事上のストレス、受験や妊娠・出産などのライフイベントが発症のきっかけになっている傾向があるようです。様々な要素と、心理的要因、その人のストレス状況、強迫性パーソナリティ(規則や手順、形式などへのこだわりなど)といったものが相互作用し、発症に至ると考えられています。
外部リンク
参考:NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター OCD(強迫性障害)
強迫性障害を予防するメンタルヘルスケア
ここでは治療法を紹介するのではなく、日常生活の中で出来るメンタルヘルスケアの方法を紹介します。普段から行うことで、予防にもなりますし、強迫性障害と診断された後でも、ストレスを溜め込まない工夫になるかもしれません。
まずは食事や睡眠、適度な運動といった生活リズムに気を付けましょう。身体的に不調だと、精神面にもあまり良い影響は与えません。朝にしっかり起きて朝日を浴び、バランスの取れた食事を取り、夜は遅くまで起きずに寝てしっかりと休みましょう。
周囲へ助けを求めるのも有効な手段です。確認行為など、自分だけでは不安を感じるのならば、一緒に確認してもらったり、自分で管理するのではなく周囲の方にお願いして、自分は関わらないなどの方法もあります。
自分なりのストレス発散の方法を見つけましょう。人によってストレス発散の方法は様々です。体を動かす、湯舟にゆっくりと浸かる、自分が趣味などに没頭する時間を作る、何もせずに空を眺めるなど、何でも構いません。自分にあった方法が見つけましょう!
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強迫性障害と上手く付き合っていくためには
これはどの精神疾患にでも言えることですが、まずは病気、今回で言うと強迫性障害を受け入れることから始まります。といっても受け入れるまでには、人によって様々な葛藤があります。
私は生まれつき身体障害を持っていますが、自分のことをしっかりと理解し、受け入れるまでには時間がかかりました。とても辛く、何で人と違うんだろう、自分には出来ないことがあるんだろうと思うこともありましたし、今でもたまに思うことがあります。ですが、受け入れることで気を付けなければいけないこと、周囲にもっと相談していい、頼っていいと思えるようになりました。
時間がかかってもいいですし、すぐに受け入れろという訳ではありません。少しずつそれも自分の1つだと思えると、少し楽になるかもしれません。
そして、その後は自分のことをもっと知ってストレスとの付き合い方を学びましょう。自分はどのようなストレスに対して弱く、どういう事をしたりされるとストレスが溜まるのか、どのような事をすればストレスの発散や、ストレスを溜めづらくなるのかなどです。生活していく上で不安やストレスは絶対に感じることがあります。それらをどのように発散していくのかはとても大切です。
強迫性障害は「性格が真面目な人」や「少し融通がききにくい人」「探求心が強く1つの物事を追求したい人」などがなりやすいとも言われています。この個性や性格はとても素晴らしいものです。自分はこんな性格をしていると知ってるだけで、このままいくとストレスで潰れてしまうな、無理しすぎて疲れが溜まるなと予測することも出来ます。
予測できればストレスや不安を少し回避できるようにもなります。そしてストレスなどが減れば再発防止や予防にもなります!
周囲の人が強迫性障害だった場合には
周りからしてみると何をそんなに不安に感じているんだ、ばかばかしいと思うかもしれませんが、本人はばかばかしいと思っていても、どうしても気になって強い不安を感じています。そのため強く否定などはしないようにしましょう。
ですが、強迫性障害の治療のために、医師などから脅迫行為に協力するのは控えてくださいと言われる可能性があります。その場合は、「もう十分確認したから、私は大丈夫だと思う」と伝えて、その行動に付き合いすぎないようにしましょう。
【まとめ】精神疾患を知る 強迫性障害の症状とメンタルヘルスケアとは
ここまで強迫性障害について紹介をしてきました。もし、該当することがあって悩んでいた場合には、医療機関へ受診しても良いでしょう。初診は時間がかかりますので、なるべく早く予約を取ることをおすすめします。
そして、今強迫性障害で悩んでいる方は自分1人で抱え込まずに、周囲の方や医師などの専門家などに相談しながら、焦らずにゆっくりと治療を行いましょう。