実は子どもにも多い心の病気 若いうちから必要なメンタルヘルスケア

年々増えている不登校や引きこもり。それのきっかけは学校に馴染めないことやいじめなど様々な理由があります。そしてその原因が更にきっかけとなって、心の病気にかかってしまっている可能性があります。

今回は学生時代に心の病気のきっかけとなってしまう理由などを見ていきたいと思います。

不登校や引きこもりは本当に増えている?

まずは実際のデータを見ながら、不登校や引きこもりの数が本当に増えているのかを見ていきましょう。令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果から以下のグラフを引用させていただきます。

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引用元:文部科学省 令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果

このグラフを見ると年々増加していることが分かると思います。実際の数値だと、国立・公立・私立の小中学校の不登校児童生徒数は約34万6千人、高等学校の不登校生徒数は約6万9千人となったようです。この数値は過去最多で、少子化が進んでいると言われているのに、不登校数が増えているのは重大な問題だとされています。

では、なぜここまで不登校は増えているのでしょうか?

大きな理由としてはコロナウイルス感染症の影響が強くありました。コロナ禍で集団生活を送る機会が減ったことにより、学校に上手くなじめなかった、周囲と仲良くすることができなかった、生活リズムが乱れたなどがあります。

それ以外にも、時代の変化による教育現場の変化などもあります。ですが、ここについて触れていくと話が大幅に脱線してしまいますので、また違う機会で紹介できればと思います。

では何に触れるかというと、「心の病気」の問題です。心の病気、つまりうつ病や不安障害、統合失調症などの精神疾患を指します。精神疾患というと発達障害も含まれることがありますが、発達障害は脳の機能や働き方の違いであり、脳の特性ですので今回は置いておきます。

小中学生の児童で精神疾患?と言われるかもしれませんが、児童精神外来を初めて受診するのは10-14歳が一番多いというデータもあります。私も調べてみて想像以上に多い事実がそこにありました。

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参考:厚生労働科学研究成果データベース 児童・思春期精神疾患の診療実態把握と連携推進のための研究

そして児童精神科外来を受診する疾患の理由としては、自閉スペクトラム症の38%ついで、不安障害、重度ストレス反応が29%となっていました。発達障害が増えているとのニュースなどが多い中で、その次に不安障害がくることを見ると、多いことが改めて分かるのではないでしょうか?

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参考:子どものメンタルヘルスの現状とEBPM

 

心の病気(精神疾患)の原因とは?

どうしてこれほどまでに子どものメンタルヘルスに問題があるのでしょうか?

これも様々な理由があります。まずその子ども自身の現在の家庭環境や育ってきた環境などが1つ目の理由です。離婚による親権争い、虐待、親や家族との死別などが子どもの心を大きく傷つけて多大なストレスを植え付けると共に、ストレスに対する耐性を下げることもあります。

また、思春期は心や身体が大きく育つ時期です。周囲の影響を受けつつ、1人の人間として自分を確立する大切な時期でもあります。

ですが、この時期は身体の成長に対して心の成長が追い付かないことがあります。様々なストレス(学校生活における人間関係、受験など)を上手くやり過ごす術を持たない子どもや、ストレスに対して耐性のない子どもは、強いストレスに潰されてしまい、精神疾患にかかりやすいと言われています。

そのためにも子どものうちから、メンタルヘルスの重要性を知り、自分がどんなストレスに対して弱いのか、どのような環境だとストレスを受けやすいのか、どのようなことをするとストレスが発散できるのかなどを学ぶ必要があります。

また、周囲の大人が子どもの様子をしっかりと見て、変化がないか、悩みを抱えていないかなどを観察し、もしも悩みがある場合には相談しやすい環境を普段から整えていくことも非常に大切です。

子どもに多い精神疾患とは?

子どもの精神疾患として多いのは

  • 心身症(めまい・過呼吸・腹痛・吐き気などを含む)
  • 身体表現性障害(身体症状症)
  • 不安障害(強迫性障害・恐怖症など)
  • うつ病
  • 躁うつ病

などが挙げられます。

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参考:子どもの未来を考える人のための学校保健

うつ病や躁うつ病は近年増えてきたとされています。また、このほかにも太ることへの恐れから拒食症になってしまい、食後に自ら食物を吐いたり、下剤を乱用する場合もあります。そして病的なまでに痩せてしまうことで、身体にも精神にも強い影響を与えてしまいます。

 

精神疾患の予兆は?

精神疾患の予兆として多いのは、以下の物が挙げられます。

  • 食欲の不振、もしくは食べ過ぎる
  • 眠れない、寝すぎる
  • 疲労感が抜けない
  • 常にイライラしていたり、怒りっぽくなる
  • いつも元気な子が長い間元気がない
  • 口数が極端に減る
  • 体重が極端に減った、増えた
  • めまいや頭痛、吐き気などの原因が分からないまま不調が続いている
  • 気分が落ち込んでいる
  • 些細な事が気になり、不安になる

これらの様子が2個以上かつ、2週間以上続いてるのならば、一度医療機関に受診したほうがよいとされています。精神疾患は早期発見・早期治療を行うことで重症化を防ぎ、回復までの時間が短くなることがあります。

医療機関を受診することは恥ずかしいことではありません。即入院と言われることなんてほとんどありません。ですので、悩みが続いている場合には一度受診を考えてみてください。

また、精神科や心療内科などはすぐに受診できない事が多く、予約を入れても少し待つケースがありますのでご注意ください。

 

相談できる相手がいることでストレスの発散に

悩みや不安が相談できる相手がいない。そんな状態が長く続いていることがストレスの原因となっている場合があります。

基本的には周囲にいる大人、児童の場合は担任や学年主任などの教師を始めとして、保健室の先生や、ある場合には相談室などで相談をしてみましょう。もちろんご家族などに相談しても構いません。

ですが、近くにいる人だからこそ相談し辛いといった場合もあります。そんな場合には「子どものSOS相談窓口」を利用してみましょう!対面で相談できる窓口から、電話、そして今ではLINEで相談できるところもあります。以下のリンクは文部科学省のホームページになります。

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参考:文部科学省 子供のSOS相談窓口

 

子どものメンタルヘルスケアをしよう!

まずは子どもの状態を正しく知ることから始めていきましょう。子どもが話を出来る状態ならば、しっかりと話し合いましょう。その時に子どもの話を大人の意見で潰してしまったり、否定や注意、まして努力が足りないなどと言って叱ったりしてはいけません。子どもの悩みは大人からすると小さく感じるかもしれませんが、本人からするととても大きくて辛く感じているはずです。

まずは受け止めて、話を聞いているよという姿勢を示しましょう。そして子どもが何に対して辛い思いをしているのか、その原因に対して合わせたケアを行う必要があります。もしも身体症状や精神症状が出ているのならば、医療機関の受診・カウンセリングを受けることを視野に入れましょう。

これは一例ですので、その子に合わせて対応を変えていく必要性があります。また親御さんの場合は、自分を責めないようにしてください。必ずしも親御さんに原因があるとは言えません。

お子さんを支えていくのは1人だけで行う必要もありません。学校の担任やスクールカウンセラーに相談したり、お住まいの相談窓口、専門家に相談することも良いでしょう。親御さん自身も1人で悩まずに周囲に頼ってください。

 

【まとめ】実は子どもにも多い心の病気 若いうちから学ぶメンタルヘルスの重要性

今回は子どもに多い心の病気や、日本の現状などを紹介してきました。

子どもは素直に話してくれない事が多く、正しく状況を理解するのが大変難しい場合が多くあります。そのため、普段からどのように接しているかがとても大切になってきます。

普段から子どもが相談しやすい環境を作っていけると良いですね!