日常生活を過ごしていく中で、人は様々なストレスと向き合う機会が非常に多くあります。人間関係のストレスであったり、環境の大きな変化によるストレス、仕事上のストレスなど例を挙げるとキリがありません。
今回はその環境の変化によるストレスがきっかけとなって、日常生活に大きな影響を与える適応障害について紹介をしていきます。
適応障害って何?
適応障害とは特定の出来事や環境の変化などに対して、上手く適応することが出来ずにストレスを強く感じることがあります。
人はストレスを受けた時に、落ち込んでしまったり、夜に寝ようとしても眠れなくなったりといった症状が現れることがあります。基本的には短期間でおさまるのですが、あまりにもストレスが強くなってしまうことで、日常生活や社会生活を送る上で支障をきたすほどの影響をあたえることがあります。このようにストレスに対して強い反応をみせるのが適応障害で、精神疾患の1つです。
ストレスを強く感じている状態の時には、強い不安を感じて過剰に心配になったり、抑うつ症状神経が過敏になったり、行動に変化が現れることが特徴とされています。
また、ストレスとなる出来事がハッキリしていることが多く、そのストレスの原因が取り除かれたり、ストレスの原因から離れることで、その症状が比較的短期間で回復する場合もあります。
ですが、環境によってはストレスの原因となる物から、中々離れることが出来ないことがあります。そして慢性化してしまうこともあります。
適応障害の症状とは?
適応障害には精神と身体にそれぞれ症状が現れます。以下は一例にはなりますが、よく見られる症状を挙げていきます。
- 精神的症状
抑うつ、イライラしたり、神経過敏、過度な心配、不安になる、集中力や思考力の低下が見られるなど
- 身体的症状
全身に倦怠感を覚えたり、涙もろくなる、頭痛、腹痛、不眠など
- 問題行動
無断遅刻や無断欠席などを頻繁に行う、器物を破壊したり、喧嘩をする、引きこもるなど
あくまでもこれらの症状はよく見られるというだけで、人によって様々な症状が起こり得ます。そのため、この症状が出ているから適応障害、この症状はないから適応障害ではないと決めつけるのはやめておきましょう。
外部リンク
参考:医療法人社団五稜会病院 適応障害・不適応状態について
適応障害のサインや前兆ってあるの?
先程、症状で挙げたものなどが2週間以上続くようならば、それは適応障害のサインかもしれません。
それ以外にも食欲がない、2週間以内に体重が2kg以上増減した、死にたいと思う、めまいや立ち眩みがあるなど様々なサインが出されている可能性があります。
ですが、これらは他の精神疾患でも挙げられるサインでもあります。もしも、現在進行形で症状が現れており、悩んでいる、辛いと感じているのならば、一度医療機関の受診をするのは決して悪い手ではありません。適応障害と診断されると決まった訳ではありませんし、診断されたとしても医師や専門家と一緒に回復するまでの道を探すこともできます。
適応障害の治療とは?
適応障害から回復する上で大切なのは「ストレスの原因から離れる」ことだとされています。ストレスの原因から離れることで、特別な治療や薬物療法などを必要とせずに回復する例もあります。
職場でのパワハラなどが原因ならば、転職や退職、休職をしたり、身近な人(家族や恋人など)からの暴力が原因ならば、そこから離れるなどが挙げられます。ですが、簡単に離れることは難しいという場合ももちろんあります。
その場合には、心理療法(カウンセリング)が行われることが多くあります。カウンセリングの中で、問題に対する考え方や感情を整理することが目的とされています。その他にも、認知行動療法によって、ストレスに対する適応力を高めたり、問題解決療法などが用いられることもあります。
また、適応障害の症状が重い場合には、薬物療法によって気分の安定を促し、治療のサポートをする場合もあります。これはあくまでもサポートとして使われるようです。
適応障害の原因となるストレスは人によって異なる
では、どんなことが原因となって人はストレスを感じて適応障害になるのでしょうか?
まず挙げられるのは以下のような出来事です。
- 大切な人が癌と診断された
- 睡眠不足が原因
- 学校で友達との付き合いが上手くいかない
- 部活の先輩や顧問が嫌
- 学年が上がったことによる環境の変化
- 職場での人間関係で悩んでいる
- セクハラやパワハラ
- 夫婦関係・義理の親との関係性の悩み
これらはストレスを感じやすく、また原因としてはイメージがしやすいものではないでしょうか?
ですが、人の心理は複雑で、何も悲しい出来事や辛い出来事ばかりが原因になるとは限りません。嬉しいことがストレスの原因となることがあります。例えば以下のようなものが挙げられます。
- 結婚をした
- マイホームを買い、引っ越した
これらの出来事は一般的には嬉しい出来事として受け入れられることが多いでしょう。ですが、結婚相手と同じ家で過ごすことや、親族との付き合い、引っ越した先の周辺環境によるストレスなど、様々なストレスの元となるものが隠れています。
これらをどのように受け止めて、ストレスと感じるかどうかは人によって異なります。受け止め切れて、ストレスを回避することができる方もいれば、ストレスが強すぎて受け止め切れずに、適応障害へとなってしまう方も当然います。
そのため、なんでそんな出来事が?と思ったとしても、決してそのように口に出して伝えてはいけません。伝えられた本人は、自分が悪いんだと責めてしまい、余計に悪循環へと陥ってしまう危険性があります。
適応障害の予防になるメンタルケアとは?
適応障害を予防するためには日々のメンタルケアを行い、メンタルヘルス(こころの健康)の調子を崩さないようにすることがとても大切です。そのためにも、日常生活の中で行えることをいくつか紹介していきたいと思います。
- 定期的な運動
散歩やジョギングといった運動などで、体を動かすことで、精神的な健康を維持するための1つの要素となります。無理に取り入れようとせずに、日常生活の中でちょっと散歩する時間を作ったり、ヨガなどを行うことでストレスを解消することが出来るかもしれません。
外部リンク
参考:厚生労働省eJIM ストレス関連疾患に対するヨガ利用ガイド
- 適度な休息
学業や部活、仕事などに追われていると、つい休む時間を削ってしまいがちです。ですが、休息を取る時間は非常に重要で、体も心も休ませる必要があります。回復していない体と心はストレスに対して非常に弱くなってしまいます。
そのため、適度に休息を取るようにし、睡眠時間をなるべく削らないようにしましょう。
- 生活リズムを整える
朝起きて朝日を浴びる、夜はあまり遅くまで起きずになるべく毎日同じ時間に寝る。基本的なように感じますが、意外と簡単に崩れてしまうのが生活リズムです。ここが崩れてしまうと、身体的な不調にも、精神的な不調にもかかりやすくなってしまいますので、なるべく生活リズムを整えるようにしましょう。
- 趣味などのリラックスする時間
趣味に没頭する時間や、一息つけるリラックスできる時間を作ることで、ストレスの解消へと繋がります。休息と同様で、忙しいとつい「今そんな事をしてる暇はない!」と後回しにしてしまいがちですが、ストレスが溜まり続けてしまいます。心の余裕へと繋がる大切な時間ですので、なるべくとるようにしましょう。
- 信頼できる人とのコミュニケーション
自分の悩みや不安を打ち明けることが出来る相手がいると、話を聞いてもらえることがメンタルケアに繋がります。困った時に頼れる相手は、身近にいる家族だけではなく、自治体の相談窓口や医療機関、専門家などでも構いません。周囲に誰もいないと感じた時には、そういった機関を頼ることは決して悪いことではありません。
この項目では頻繁に「なるべく」という言葉を使いました。それは、やらなければいけない!と思っていることが出来ないと、それによって自分を責めてしまい、ストレスの元となってしまうことがあるからです。メンタルケアが原因になってしまっては元も子もありません。そのため、出来なかった時は出来なかったから次はやろう!程度に考えておくようにしましょう。
【まとめ】精神疾患を知る ストレスによって引き起こされる適応障害とメンタルケアとは
今回は適応障害について紹介をしてきました。適応障害は環境や生活の変化から生じるストレスによって引き起こされる精神疾患です。
適切な治療やケアを受けることで回復が可能な病ですので、普段からメンタルケアなどを行ってストレス管理をしていきましょう!そして、症状が長引いて辛いと感じている時はなるべく早く医療機関などを受診するようにしましょう。