「新社会人はうつ病に注意!」こんなフレーズを聞いたことはありませんか?
新しい生活環境や、新しい職場での仕事が始まると、最初のうちは中々慣れないことが続きます。その中で、自分の思い描いていた社会人としての生活と、それとは全く違う現実の差でストレスを感じてうつ病や適応障害などの精神疾患になる方が多くいます。
ですが、こうした精神疾患になる方は何も新社会人だけではなく、すでに何年も働いている社会人でもなる可能性があります!
今回はそんな社会人がどうして精神疾患になってしまうのか、またその予防などを紹介していきたいと思います。
社会人の精神疾患は増えつつある?
厚生労働省から公開されている患者調査から作成されたグラフを引用させていただきます。
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参考:厚生労働省 第4回あらたな地域医療構想等に関する検討会より
こちらは、平成14年頃からの統計になります。精神疾患を有する総患者数は年々増えているのが分かるかと思います。このグラフを見ると全体的に増えており、社会人以外も含まれている物にはなりますが、社会人のみが減っているとは考えづらいでしょう。
年々増えつつあるうつ病や適応障害、依存症といった精神疾患にならないためにも、日ごろからの予防や、精神疾患に対する正しい知識を学ぶことが重要でしょう。
なぜうつ病や適応障害といった精神疾患になるの?
精神疾患の原因には色々な要因があります。現代でも様々な研究が行われていますが、その原因はこれ!とはっきり言えるまでにはなっていません。
ですが、その中でも関係があるとされているのは、脳の構造や機能の異常、心理的な要因(不安やトラウマなど)、社会的要因(学校や職場、家庭などの環境)、時代背景と技術の発展などによるライフスタイルの変化などが挙げられます。
この中でも社会人の場合は社会的要因によるストレスが大きく関わってくることが多いでしょう。
例えば新入社員の場合だと、学校を卒業し新しい環境(職場)へ変わり、新しい物事(仕事)を始めます。今までとは違う環境、人間関係、人によっては引っ越しなどを行い、生活環境も大きく変わることでしょう。
そんな中で慣れない仕事をすることで、分からない事、出来ない事などが多くあります。そういった環境の変化に慣れないことで、ストレスを感じやすく、またストレスの発散が出来ずに溜め込んでしまいがちです。
そして夜眠れない、常に不安が取れないといった症状が出始めて気づいた時にはうつ病や適応障害・・・なんてことは決して珍しい話ではありません。
では、新社会人を終えてすでに何年も働いている人ならば精神疾患にならないのか?といえばそんな事はありません。
厚生労働省から出ている令和3年の労働安全衛生調査によると、「現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は53.3%」となっていることが分かります。その中でも、仕事の量、仕事の質、対人関係などが主な要因で、これらで強いストレスを感じているが多いのです。
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参考:厚生労働省「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)」結果の概要
更に、年齢を見てみると20代前半だけではなく、どの年代でも、そして性別に関係なくストレスを感じていることが多いのも分かります。
つまり、これらでストレスを感じて溜め込んでしまえば、それは精神疾患へと繋がることは全く不思議ではありません。真面目にずっと働いていた人やいつも明るく笑顔が絶えない方が、ある日突然うつ病になったといわれてもおかしくはないのです。
そのためにも、日ごろから自分のストレスがどのようになっているのか、どこまでいったら限界なのかといったことを知ることはとても大切なことなのです。
どのような精神疾患にかかることが多いの?
- うつ病
- 適応障害
- 依存症(アルコール依存・薬物依存など各依存を含む)
- 統合失調症
- 双極性障害など
これらの精神疾患が多くみられます。疾患1つ1つに特徴があり、どのようなきっかけでなるのか等が変わってきます。それらは別の記事にて紹介していますので、よろしければこちらの記事もご覧ください。
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うつ病やPTSDなどの代表的な精神疾患(精神障害)の特性やきっかけって何?
社会人が精神疾患になりそうな時のサインとは?
精神疾患になりそうなサインには以下の物があります。
- 夜眠れない、寝てもすぐに目が覚める
- 食欲がない、過剰にある
- 原因不明の体調不良(頭痛・腹痛・胃痛・吐き気など)
- 常にイライラしている、怒りやすい
- 不安や恐怖が常にある
- 疲れが取れない
- 動悸がする
- 全身のだるさや倦怠感など
こういった症状が続くようならば、それは精神疾患のサインかもしれません。
もちろん、悲しい出来事や心配になるような出来事があった時にはこういった症状が出るのは普通の反応ですので、ご安心ください。特にそのような出来事が無かったにも関わらず、これらが長く続いている時には一度精神科や心療内科といった医療機関を受診しても良いかもしれません。
精神疾患の予防に必須なメンタルヘルスとは
ここまでは精神疾患についての紹介をしてきました。そして、ここからはメンタルヘルスについて紹介をしていきます。メンタルヘルスとは「こころの健康状態」を指します。こころが軽い、穏やかな気持ち、やる気が沸いてくるといった「健康状態」があります。
そして、健康状態があるということは「不健康状態」つまり、不調の時もあるということです。日常生活や社会生活を過ごしていく上でストレスから逃れることはできません。
嫌な事があって気分が落ち込む、ストレスを感じることは自然な反応です。ですが、その気分が落ち込んだ状態などはストレスが続いてしまいます。そのストレスが続くとメンタルヘルスはどんどんと悪くなってしまいます。メンタルヘルスは周囲の人が見ただけでは中々分かり辛いため、周囲からは気付かれにくいという欠点があります。
そして、周囲に気軽に相談できるという方は少なく、なんとなく悪い状態が続いているだけ、いつかは良くなると思ってその生活を続けているうちに、精神疾患が発症なんてことがあります。
そのためにも自分のメンタルヘルスを大切にしてあげましょう。精神疾患はこころが弱い人がなるものなんて誤解がありますが、そんなことはありません。誰でもなり得るものです。
メンタルヘルスケアをしよう
ではメンタルヘルスを不調にしないためにもどうすればいいのか?というと、メンタルヘルスケアを行いましょう。
メンタルヘルスケアとは、働く人の心が健やかにいきいきと働けるような気配りと援助することと言われていますが、なにも働く人に限定したものではありません。自分のメンタルヘルスを守るためにも、ヘルスケアを行いましょう。
セルフケアには様々な方法がありますのでいくつか紹介をしていきます。
まずは軽い運動です。軽い運動をすることで、ネガティブな気分を発散させたり、こころと体をリラックスさせて睡眠リズムを整える作用があるとも言われています。
睡眠リズムが整うことで、夜しっかりと寝ることが出来、次の日に疲労を持ち越さないようにすることもできます。散歩や軽いランニング、ダンスやヨガなど有酸素運動などがおすすめですが、無理にたくさん行う必要はありません。20分ほど出来ると良いですが、まずは出来る範囲で行いましょう!
次に今の気持ちを書き出してみましょう。自分の口に出しながら、実際に手を動かして紙に書いていきます。この時に書く物は単なる文字の羅列でも、文章でも、イラストでも落書きでも何でも構いません。
悩みや気持ちの整理をすることができますので、手を動かすことをメインの目的として行ってみましょう。そして書いた物は誰かに見せる必要もありませんので、好きに書いてみましょう!
最後に失敗をしたら笑ってみましょう。失敗した時にはつい自分を責めてしまいがちです。ですが、人間だれしも間違いや失敗をしてしまうものです。そんな時に落ち込むのではなく、笑ってやってしまったと受け入れてみましょう。もちろん反省を行うのは良いことですよ!
そして、次に同じような機会になった時に失敗しなければいいのです。笑うことでこころが軽くなり、力が抜けて良い方向へと進むこともありますので、是非試してみてください!
【まとめ】新入社員だけじゃない!ベテラン社員でもなり得る精神疾患とメンタルヘルスケアとは
今回は新入社員だけではなく、ベテランの方でもなり得る精神疾患について紹介をしてきました。年々増加傾向になりつつある精神疾患にならないためにも、自分のメンタルヘルスと向き合い、日々のメンタルヘルスケアを行うようにしましょう。
もし自分に余裕がある時には、周囲の人に少し目を向けてみてください。もしかしたら、辛い思いをしているけど話せない人がいるかもしれません。そんな人の話を聞くだけでも、心は楽になり、ストレスを軽減することにもなります。そして、今よりも少し良い環境へと変わり、ストレスが少なくなるかもしれません。