日常生活や社会生活を送る上で、絶対に避けられないのがストレスとの付き合いです。ストレスと上手く付き合うことが出来ないと、精神的に負担がかかり、やがてそれが身体的にも現れ始めて、気づいた時には気分障害という精神疾患になってしまいます。
今回はその気分障害についての詳細を詳しく掘り下げたり、よく聞くうつ病や双極性障害などといった精神疾患の違いを見ていきたいと思います。
気分障害ってどんな精神疾患?
人は不幸な出来事や悲しい出来事などがあると、気分が落ち込んだり、嘆いたり、ふさぎ込んだりするのはごく自然な反応です。
それは一時的な物で自然と回復する傾向にあります。ですが、回復せずに長期的に悲しみから抜け出せず、過度に気分がふさぎ込んだり、逆に喜びで過度に気持ちが高揚する、またはこの両方を示す感情的な障害を示す障害を気分障害とされています。
また、気分障害とは感情障害とも呼ばれることがあります。
気分障害は現在日本で一番多い精神障害とされており、厚生労働省の患者調査や、そのデータをまとめている第4回新たな地域医療構想等に関する検討会の資料7を見ると、令和2年の時点で気分(感情)障害の人数は約169.3万人、次に統合失調症が約73.7万人とされています。
前回の調査が平成29年に行われていますが、その時よりも気分障害は約45万人、統合失調症は約10万人増加しているのが分かります。
外部リンク
参考:厚生労働省 第4回新たな地域医療構想等に関する検討会 資料
そして、この気分障害には2つの精神疾患が含まれます。それは「うつ病」と「双極性障害」の2つです。聞いたことがある方も多いでしょう。確認の意味も込めてそれぞれの症状などを見ていきましょう。
また、ストレス性気分障害という精神疾患を耳にしたことがある方もいるかもしれません。こちらは、適応障害を指しています。適応障害も精神疾患の1つですが、症状や違いなどがありますので一緒にしないようにしましょう。
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うつ病とは
うつ病は聞いたことがある方はとても多いでしょう。生涯有病率が約15人に1人とされており、日本だけではなく世界中でかかる人が増加傾向にある気分障害です。
主に、以下のような症状が挙げられます。
- 何をしていても楽しいと感じられない
- 身体的・精神的に疲労感が抜けず、常に何もする気力が沸かない
- 食欲が過度にある/全くないことにより、短期間での急激な体重の増減
- 不安や心配などが常にあり、夜まったく眠れない。もしくは寝てもすぐに目が覚める
- 自分の存在に価値を感じられなくなる、自己肯定感の低下
- 命を絶ちたい、自殺の方法を考える など
このように精神的にも身体的にも症状が現れますので、周りの人もいつもと違うと変化に気付ける場合も少なくありません。
双極性障害(躁うつ病)とは
双極性障害と聞くと聞き覚えのない方も多いでしょう。躁うつ病とも呼ばれているこの病気は、極端な気分の変化が交互に現れます。気分が高揚した状態を躁状態、気分が落ち込んでいる状態をうつ状態と呼ばれています。
躁状態では以下のような症状が挙げられます。
- とても元気で何日も寝ずに活動を続ける
- まったく疲労を感じない
- 自信過剰になってしまい、他者のアドバイスを受け付けなくなる
- 何でもできるという気になる
- 衝動的に借金などをしてでも買い物をしてしまう など
うつ状態では以下のような症状が挙げられます。
- 気分がとても落ち込む
- とても疲れやすくなる
- 自信がなくなり、何もできなくなる
- 考え方がとてもネガティブになる など
このように2つの状態ではまったく逆の症状が見られます。躁状態では、むしろ良い事もあるのでは?なんて思う方がいるかもしれませんが、そんな事はありません。
自分に自信がありすぎることで、他者との口論になったり、コミュニケーションで他者を傷つける可能性があります。また、無理な買い物で破産してしまったりすることもあります。
気分障害の治療法とは?
ですが、気分障害は適切な治療を行うことで改善が見込める病気です。治療法には、「薬物療法」と「心理療法」が主に行われています。
薬物治療では抗うつ薬や気分安定薬、抗精神病薬などを用いて症状がひどくなる前に使用されることが多いようです。薬は医師の元で、指示された量を適切に飲むことが大切です。
自分の判断で今日は平気だから減らそう、今日はいつもより大変だから増やそうといったことをするのは、大変危険です。不安なことや心配なこと、こういった時はどうすればいいかなどはしっかりと担当医や専門家に相談した上で、一緒に考えるようにしましょう。
また、心理療法では認知行動療法や対人関係療法などが行われています。本人の考え方や物事の受け取り方を変えたり、対人関係に関する認知を変えていくことで、ストレスなどを軽減したり、感情のコントロールを行えるようにすることなどが目的として行われていきます。
気分障害を予防するためには?
気分障害の原因はとても複雑です。まだこれといった明確に言い切れるものは現代でも判明していません。遺伝的要因や環境的要因、神経の異常、心理的要因、生物学的要因などが様々な面で影響していると考えられています。
その様々な要因が重なった上で、「ストレスがきっかけとなって発症」している場合が多いと言われています。そのため、ストレスをどのように発散するのか、自分がどのような状況でストレスを感じやすいのかなどを把握して、常日頃からメンタルヘルス(心の健康)を守ることが予防につながるとされています。
メンタルヘルス(心の健康)を守るためには?
メンタルヘルスを守るためにはいくつかの方法があります。
まずは、毎日の生活習慣を見直してみましょう。夜眠れていますか?バランスの取れた食事は取れていますか?適度に体を動かして運動をしていますか?ここは健康を保つための基礎となる大切な部分です。
また、ストレスが溜まった時の発散方法は自分の中でありますか?この方法は何でも構いません。好きな音楽を聴く、ちょっと甘い物でも食べてみる、好きな本を読む、軽く散歩やストレッチをする、ヨガをする、深呼吸をする、空を見上げるなどたくさんの方法があります。
自分に合った方法が一番良いので、色々試してみることをおすすめします!ですが、お酒や煙草に過度に頼ってしまうと、依存してしまう危険性もありますので、ほどほどにしておきましょう。もしも制御できる自信がない時は、人に頼ったり、お酒や煙草をやめるのも一つの手段です。
そして、しっかりと休息はとれていますか?つい、忙しくて休憩できていなかったり、後回しにしていませんか?それはストレスや疲労を溜め込んでしまう原因になりやすいです。忙しい時こそ、一度しっかりと休憩をとって頭の中をスッキリさせましょう。その方がむしろ捗ることもあります。
上手くいかない時ほど、何かに囚われて問題点のみを見てしまってストレスを感じやすい状況になりがちです。一度、目を離して周囲の人に相談してみるのも良いでしょう。相談する相手は上司や同僚、友人、趣味仲間、家族など誰でも構いません。自分が信頼して相談できる相手を日頃から探しておきたいですね!
知り合いはちょっと・・・なんて方は自治体の相談所などもおすすめです!
いくつかの方法を挙げましたが、このようなメンタルヘルスを守るためには自分が無理のない範囲で行うようにしましょう。出来なかった時はまた明日やろう!今日はここまで出来た!と考える程度にしておき、出来なかったことを責めないことも大切です。
【まとめ】精神疾患の1つ 気分障害って何?うつ病や双極性障害との違いは?
今回は気分障害について紹介をしてきました。うつ病や双極性障害といった気分障害は年々増加傾向にあります。私は関係ない、なんてことはありません。誰がなってもおかしくないのです。
日頃からメンタルヘルスを守りつつ、もしもストレスが抜けない、疲れがぬけない、おかしいな?と感じた時には、一度心療内科や精神科などを受診しても良いでしょう。何も無ければ良いですし、何かあった場合は軽いうちに見つけることで、早期治療が出来ます。
重症化する前に見つけることはとても重要ですので、迷わずに相談しにいきましょう。