テレワークの増加と共に増えた精神疾患 メンタルヘルスの問題とその対策は?

新型コロナウイルスが流行ってから、テレワーク(在宅勤務)で働く方はとても増えました。これによってコロナウイルスの感染拡大を防ぎつつ、出勤し辛いような状況でも業務を継続させることができるようになりました。

ですが、テレワークには多くのメリットがある一方、メンタルヘルス(心の健康)に対してマイナスの影響が現れてしまうようにもなりました。今回はテレワークとメンタルヘルスが悪くなることによって現れる、精神疾患との関係性について紹介をしていきたいと思います。

なんでテレワークは増えた?

総務省から出ている令和5年版情報白書を見てみると、2020年から倍増ともいえる数でテレワークの導入が増えています。

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参考:総務省 情報通信白書 テレワークの実施状況

これは記事冒頭でも挙げましたが、新型コロナウイルスの流行が大きく影響しています。また、国からテレワークの推進を行ったり、助成補助金など様々な取り組みが行われているのも影響しています。

2024年12月現在では、新型コロナウイルスが5類感染症へ移行したこともあり、行動制限なども無くなったことからテレワークをやめ、以前のように会社へ出社し、仕事をする企業も増えてきました。それでも、新型コロナウイルスが流行する前よりも、確実にテレワークで働いている方は増えています。

 

テレワークでメンタルヘルスが悪くなる理由とは?

では、なぜこのテレワークでメンタルヘルスへ悪い影響が出てくるのでしょうか?

それは人によって「孤独感」を感じたり、ストレスが増えたり、不安感が高まってしまうなどがあるからです。テレワークによって自由に仕事が出来るようになったのになんで?と思われる方もいるでしょう。それぞれ詳しく見ていきましょう。

孤独感や孤立感を感じることで精神疾患へとつながる

これはテレワークでの働き方が影響していると言われています。基本的にテレワークで仕事をする際には、「1人で行う」ことが多くなります。

もちろん、たまにwebカメラなどを使いお互いの顔を見ながらミーティングや会議などを行います。それでも、実際に対面したり、上司や同僚などが横にいて、仕事をしていた時よりもコミュニケーションを取る回数はとても少なくなるでしょう。

こういったことが孤独につながり、孤独感を覚えていきます。そして、孤独感が強くなることはメンタルヘルスへと悪影響を及ぼすことがあります。

そして、孤独感が強くなることはうつ病や不安障害といった精神疾患へのリスクが高まることがあります。コミュニケーションが減ることで、モチベーションの低下やストレスの増加に繋がることもあり、この当たりは難しい問題ともなっています。

長時間の労働や過労が悪影響を及ぼす

テレワークは自宅で仕事をする方がほとんどでしょう。その場合に何が起きるかというと、プライベートと仕事の境界線が曖昧になりがちです。いつもは、スーツや職場での服に着替えて、通勤して、職場で仕事をします。この中で意識が切り替わったり、そもそも職場なのでプライベートの何かを行うといったことがありません。

ですが、自宅で仕事をすると、1人で行うならば普段着で、いつも生活している空間での仕事になります。

上手く切り替えられればいいのですが、つい業務時間を大幅に超えて長時間労働をすることが増えてしまいます。それは、強い疲労感やストレスを無意識のうちに溜め込んでしまう原因にもなります。また、メンタルヘルスに悪影響を及ぼしてしまいます。

職場からのサポートの減少

職場で上司や同僚と一緒に仕事をしていると、業務上の悩みやストレスがあると一息ついたり、ちょっとした時間に相談したりする時間が自然と発生します。ですが、テレワークでは意識して自分から声をかけたりする必要があります。

それによって相手の時間を奪ってしまうと考えてしまう。そもそもコミュニケーションが減少しているので、そのような機会がなく、問題やストレスなどを1人で抱え込んでしまいます。

そうして精神的に追い詰められてしまい、自分が孤立していると感じることも増えてしまい、結果としてメンタルヘルスが悪い方向へと向かってしまいます。

生活リズムの乱れと運動不足

出勤をしている時は、毎日決まった時間に家を出る必要があります。そのため、夜は朝起きれるような時間に寝て、朝は同じ時間に起きて、朝ご飯を食べ、様々な方法で出勤をします。

ですが、テレワークでは出勤という行為が無くなるため、朝の準備や通勤時間が無くなります。これによっていつもより遅い時間まで寝ることができるので、夜寝る時間が遅くなる、身体を動かす機会が減って、運動不足にもなりがちです。そうしてメンタルヘルスへと悪影響を及ぼしてしまいます。

こういったことによって、精神疾患へと繋がるようになってしまいます。日本ではテレワークによって引き起こす精神疾患で「テレワークうつ」や「在宅勤務うつ」などと呼ばれることもあります。

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参考:新型コロナウイルス感染症流行と労働者の精神健康 総説

 

テレワークによるメンタルヘルスへの悪影響を減らすためには

では、テレワークによって起こり得る悪影響をどのように減らしていけばいいのでしょうか。この項目では対策としての方法をいくつか紹介していきます。

コミュニケーションの回数を意識して増やす

コミュニケーションがどうしても減ってしまうため、意識してコミュニケーションを取ることが大切になります。これは、複数でのミーティングや会議という形を取ってもいいですし、1対1の面談、休憩ついでの軽い雑談でも構いません。

これによって現在の業務で抱えている不安や悩みの共有をして、1人で抱え込んでストレスを溜め込んでしまうことへの対策となります。

もしあるのならば、社内で使っているチャットツールなどで事前に行う時間などを決めておくと、声をかけることで相手の時間を奪ってしまうといった罪悪感を減らすこともできるでしょう。

仕事の時間とプライベートの時間を分離する

スマホのアラームなどを利用して、朝の業務開始時間、お昼などの休憩時間、就業時間などを意識して分離していきましょう。難しい場合には、自分の中で意識を変えるルーティンなどを決めると良いですね。

例えば、朝同じ時間に起きてご飯を食べて歯を磨き、服を仕事専用の物へ変えるなどをすると、意識の切り替えを行いやすいでしょう。そして、仕事が終わった後は服を着替えて、一息ついてリラックスしてプライベートの時間へと変えていきましょう。

休息をしっかりとり、運動を行う

ついつい1人でやることで集中しすぎてしまい、休息を取ることを忘れてしまった。そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。それを防ぐために意識して休息を取りましょう。先程も挙げましたが、スマホやパソコンなどでアラームを設定しておくと、休息の時間を取りやすくておすすめです。

また、運動は軽いストレッチや、時間を取れるなら散歩などをしてみましょう。身体を動かすことでストレス軽減にもつながりますし、適度な肉体的疲労があることで、夜まったく疲れがなくて寝つきが悪いなんてことも減らせます。

企業がメンタルヘルスへのサポートを整える

この項目は働いている人ではなく、企業側の項目となりますが、メンタルヘルスをサポートする仕組みを整えることが大切です。

外部の専門機関を提携したり、定期的なストレスチェックを行う、社内でのメンタルヘルスケアなどの情報を共有するなど様々な方法があります。働いている方が相談しやすい環境を整えておくことも効果的です。

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参考:厚生労働省 テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き

 

【まとめ】テレワークの増加と共に増えた精神疾患 メンタルヘルス問題とその対策は?

今回はテレワークによって増加した精神疾患の原因や、その対策などを紹介してきました。

テレワークは企業、労働者共に様々なメリットやデメリットがあります。その中でもメンタルヘルスへと与える悪影響は、放置してしまうと大きな問題へと発展してしまいます。

そうならないためにも、働いている本人も、企業もお互いに意識をして対策を取り、働きやすい環境を作っていくことが重要です。