ゲームをやると依存症になるって本当!?ゲームとメンタルヘルスの関係性とは?

近年では技術の進歩やスマートフォンの普及などと共に、様々なゲームに触れる機会がとても増えました。ゲームは子どもだけではなく、大人でも広く親しまれています。それに伴って、ずっとゲームをやっていて何もしない、宿題ややるべきことをそっちのけにしてゲームをする。睡眠時間を削ってゲームをするなんて話も珍しくありません。

そして、健康への悪影響も出始めており、軽視できないようになってきました。今回はそんなゲームと依存症について見ていきたいと思います。

ゲーム障害(ゲーム依存症)とは?

WHO(世界保健機関)では、ICD-11でゲーム行動症(Gaming disorder)を新たな精神衛生疾患として認定しました。同義語として「ゲーム障害」も使われるようになりました。

ゲーム障害とは、インターネットやゲームなどに没頭して日常生活や健康に支障をきたす状態を指します。ゲームのしすぎで寝不足になり体調不良になりやすくなった、人とまったく話さない状態が続くようになったなど様々な状態があります。

また、少し話は逸れますが、香川県ではネット・ゲーム依存症対策条例(ゲーム条例)として1日60分(休日は90分)を上限とし、スマホの使用は21時までとするといった条例が2020年に制定されました。

この条例についてはとても注目度があり、当時ニュースやテレビ番組、ネットニュースなどを始めとして様々な場所で話題となっていました。この条例についての効果の有無などは議論されている最中です。そのため、一旦賛否などは置いておきます。

ですが、ゲームがどこまで悪影響を与えるのかなどを、多くの人が気にしているという点は事実でしょう。

外部リンク
参考:ICD-11 Beta Draft

※リンク先は海外のホームページとなります

 

今の自分のインターネットへの存症度はどのくらい?

こちらは厚生労働省のゲーム障害についてから引用させていただきます。インターネットへの依存度を測ってみましょう。こちらはおおよそになりますので、参考程度にお考えください。

  • インターネットに夢中になっていると感じますか?
  • もっと満足を得るためにネットを使う時間を長くしないといけないと感じますか?
  • ネット使用を制限したり、時間を減らしたり、完全にやめようとしても上手くいかなかった経験はありますか?
  • ネットの使用時間を短くしたり、完全にやめようとした時、落ち着かなかったり、不機嫌や落ち込み、またはイライラを感じますか?
  • 使い初めに意図したときよりも長い時間オンラインの状態が続いてますか?
  • ネットのために大切な人間関係、学校のことや、部活のことを台無しにしたり、あやうくしそうになったことはありましたか?
  • ネットへの夢中のしすぎを隠すために、家族、学校の先生やその他の人たちに嘘をついたことがありますか?
  • 問題から逃げるため、または絶望的な気持ち、罪悪感、不安、落ち込みといった嫌な気持ちから逃げるためにネットを使いますか?

これらの5点以上にあてはまる場合は依存が疑われ、3~4点の場合は不適応使用、2点以下の場合は問題ない範囲の使用とされています。

外部リンク
参考:厚生労働省 ゲーム障害について

 

ゲーム障害の特徴

ICD-11ではゲーム障害の特徴としては、

  • 自分でゲームのコントロールができない
  • 他の生活上の関心事や日常の活動よりもゲームを優先する
  • 何かしらの問題が起きてもゲームを続ける、もしくはより多くゲームをする
  • 個人、家族、社会、教育、職業などの機能分野において著しい障害を引き起こしている

としています。

自分ではもう辞めて他の事をしなければいけないと思っていても、ずっとゲームをしてしまう。仕事や学校に行かなければいけないのに、夜遅くまでゲームに没頭していて朝起きれない、ゲームのことで注意されると怒ったり、喧嘩になったりするなどの問題もあります。

 

ゲームに依存するほどのめりこむきっかけは?

ではなぜ、ここまでゲームにのめりこんでしまうのでしょうか?のめり込むほどプレイするくらい元々ゲームが好きだったのでしょうか?

それがそうとは限らないのです。辛い現実での出来事からの逃げ場所としてゲームをプレイしたり、心の隙間を埋めるためにゲームをする、対人関係が上手くいかずに居場所が見つからない時にゲームに出会ったなど、色々なきっかけがあります。

ゲームをプレイしていく中で、難しい物をクリアした時に得られる「達成感」や、それをクリアした時に貰える「報酬」を獲得すると、脳内でドーパミンが分泌され、強い快感を得ることができます。そうしてのめりこんで行くきっかけとなります。

また、インターネットの環境整備が進み、今では誰もが気軽にオンラインゲームをプレイしやすい環境となっています。その結果、現実世界の人間関係とはまた違う人と接するようになり、新しいコミュニティが形成されます。このコミュニティで社会的つながりを得ることができ、現実で感じていた孤立感を和らげることができます。これものめりこむきっかけの1つとなります。

そして、今では様々なゲームが提供されています。どのゲームもとても作りこまれており、魅力的で没入感のあるゲームも多く、プレイする人を引き付けるような仕組みになっています。

ゲームをプレイしている時は時間を忘れて長時間プレイすることも多く、オンラインゲームでは、仲間や対戦相手といった人とコミュニケーションを取ることもあり、ゲームだけではなく、そういった楽しみを得ることも出来ます。

こういった様々な出来事が、現実の生活で感じていた不安やストレスを和らげることで、ゲームやインターネットへの依存が高まっていくことがあります。

 

ゲーム障害については意見が分かれている部分もある

確かに海外ではゲームにのめりこみ過ぎて、長時間ゲームを続けた方が死亡した事例もあります。また、1日の大半をゲームをして過ごすことで、身体的健康に大きく影響を与えることは間違いありません。(睡眠時間の減少や、運動不足、生活リズムの乱れなど)

ですが、医療関係者やゲーム産業団体、行政など様々なところから意見が出されて議論がなされています。先程挙げたゲーム条例も、今なお話し合いがされているような段階です。

また、ゲームが悪いという訳ではありません。ゲームが子どもに良くない影響を与えるなんて話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?銃で撃ちあうゲーム、強盗をするゲームといった少しイメージの良くないゲームが増えています。そのゲームによって、子どもの価値観に悪影響を与えて、良くない行動をしやすくなる(窃盗や暴行に対して嫌悪感が薄れるなど)なんて話もありました。ですが、それは物事の一方向を見た話でもあります。

実際にゲームをプレイしている人は、銃で人を撃つのが目的ではなく、オンラインプレイで人と競い合ったり、協力したりして楽しみ、自分と歳の離れた人と接することで新しいコミュニケーションを学んだり、普段とは違った環境で成長する機会を得ることもできます。

もちろん悪い影響が全くないとは言いません。少なからず、そういった世界を知るきっかけになることは間違いありません。そういったきっかけから憧れるようになる可能性もあるでしょう。そして、長時間プレイすることによって健康状態に悪影響を与えたり、社会生活を送る上で影響を与えることもあるでしょう。

ですが、それと同等かそれ以上に良い影響があることも間違いありません。難しい課題へのトライアンドエラーを繰り返して試行錯誤していく中で、挑戦する力を育んだり、達成した時の喜びから自己肯定感が高まることもあります。

そして、ゲームをすることはメンタルヘルスへ良い影響を与えるという研究もあります。ゲームをプレイすることで幸福度の恒常やうつ抑制に繋がったり、ストレス解消になるといった効果が期待できます。

外部リンク
参考:ビデオゲームとウェルビーイングの因果関係が明らかに~日本の自然実験が示すゲーム習慣のポジティブな効果~

そのため一概にゲームをダメと否定して取り上げてしまうのではなく、上手く時間を調整するようなルールを家庭内で一緒に決めたり、ゲームだけが逃げ場所にならないように、環境を整えることが良いでしょう。

 

【まとめ】ゲームをやると依存症になるって本当!?ゲームとメンタルヘルスの関係性とは?

今回はゲーム障害について紹介をしました。ゲームを長時間やってしまうとすぐに依存してしまうという訳ではありません。ですが、健康的な影響があることは間違いありません。

そのためにも、ゲームだけが楽しい、ゲームにしか興味がないといった事態を避けて、様々な経験や体験をすると良いでしょう。

ゲーム以外にも楽しいことや、自分にとって居心地のいい居場所が見つかることで、没頭することが減ることもあります。そして、適度にゲームを楽しみ、日常生活や社会生活が充実していくと良いですね!