はじめてのメンタルケア セルフチェックで分かる気分障害と心の健康

本格的に冬を感じてきましたね。体の調子はいかがでしょうか?怪我などもなく元気!という方も体の調子ではなく、心の調子はいかがですか?現代社会では、学校や職場、仕事や人間関係でのストレスで心が疲れやすい環境にあります。誰でも日々心の健康状態は変化するもので、悪くなっている場合には早めに気づいて対処することが大切なんです。

今回は心の調子が悪くなった際に発症する「気分障害」の基礎知識から簡単なセルフチェックの方法、対処法などをお伝えしていきたいと思います。

メンタルヘルスの基礎知識 〜 気分障害ってなに?

誰にでも「調子の良い日」と「悪い日」はありますよね。気分障害は、その波が大きすぎたり、長く続いたりして日常生活に影響が出てくるなど、感情や気持ちの変化が通常よりも大きく、長く続く状態を指します。実は、気分障害はとても身近な心の不調で、厚生労働省の調査によると、日本人の約15人に1人が何らかの気分障害を経験するとされています。決して特別なことではなく、誰にでも起こりうる病気なんです。

気分障害の主な種類

15人に1人なのに、「気分障害なんて言葉聞いた事ないし、周りにそんなひといなかった。」と思った人もいるかもしれません。気分障害は総称であり、皆さんにとって馴染みのある「うつ病」も気分障害の1つになります。気分障害の代表的なものとして、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、持続性抑うつ障害(気分変調症)があります。それぞれの特徴として

  • うつ病:気分の落ち込みが2週間以上続き、何事にも興味や喜びを感じられなくなる状態です。集中力や決断力が低下し、自己評価が著しく下がることも特徴
  • 双極性障害:うつ状態と躁状態を繰り返すのが特徴です。躁状態では普段以上に活動的になり、気分の波が大きくなってコントロールが難しくなります。また、睡眠時間も大きく変化することがある
  • 持続性抑うつ障害:比較的軽度な抑うつ状態が2年以上続く状態を指します。日常生活は何とか送れるものの、継続的なつらさを感じ続けることが特徴

 

気分障害のサインと症状

気分障害の症状は、感情面、身体面、行動面、思考面など、様々な形で現れます。

その他の変化として、今まで楽しめていたことに興味が持てなくなったり、些細なことでイライラしやすくなる。自分を責めがちになり、考えがまとまりにくくなることも特徴です。また、行動面では仕事や学業の能率が下がったり、趣味や楽しみをやめてしまったりすることも。外出が減り、身だしなみにも無関心になるなど、感情や見た目だけでなく日々の生活にも影響が出てきてしまうのが特徴です。

なぜ気分障害は起こるのか?

気分障害の発症には、脳内の神経伝達物質の変化やホルモンバランスの乱れ、遺伝的な影響など様々な要因が絡み合っています。強いストレスやトラウマ体験が関係することもあれば、完璧主義的な性格傾向や自己評価が低い人が気分障害になりやすいとされています。そのため、仕事や学業の負担、人間関係の問題、生活環境の変化、経済的な不安など、日常生活におけるストレスが大きく影響します。さらに、人によっては季節や天候の変化、生活リズムの乱れ、運動不足などが引き金となることがあります。

外部リンク
参考:厚生労働省 こころもメンテしよう

参考2:MSDマニュアル 気分障害の概要

参考3:国立精神・神経医療研究センター うつ病とは

参考4:国立精神・神経医療研究センター 双極性障害(躁うつ病)

 

気分障害のセルフチェック

自分の心の健康状態を知ることは、メンタルケアの第一歩です。特に気分障害は、早期に気づいて適切なケアを始めることが何より大切です。誰にでも起こりうる心の不調なので「まだ大丈夫」「自分は大丈夫」と思っても、気になる症状があれば、早めに気づいて対処することで、より良い状態を取り戻すことができます。

あなたの心の健康度をチェック

という事で気になる方は早速やってみましょう!最近2週間の状態を振りながら、あまり深く考えすぎず、当てはまる項目があれば直感的にチェックしてみて下さい。

 

【心と気持ちの変化】

□ 気分が落ち込み、憂うつな感じが続いている

□ 何をしても楽しめない、やる気が出ない

□ 不安やイライラが強く感じられる

□ 自分は価値のない人間だと感じる

□ 周りの人に申し訳ない気持ちが強い

【からだの変化】

□ 眠れない、または眠りすぎる

□ 食欲が明らかに減った、または増えた

□ 疲れやすく、体が重く感じる

□ 頭が重い、または頭痛がする

□ 胃腸の調子が悪い

 

みなさんいかがでしたか?上記10項目のうち、3項目以上当てはまり、その状態が2週間以上続いている場合は、心の健康状態に注意が必要かもしれません。

  • 症状が徐々に強くなっている
  • 仕事や学業に支障が出始めている
  • 人付き合いを避けるようになった
  • 休息を十分取っても回復しない

など、このような状況がある場合は要注意のサインかもしれません。

より詳しいメンタルチェック

健康度チェックに加えて、日常生活での変化も確認してみましょう。

生活リズムの変化では、普段より早く目が覚める、または朝起きるのが特につらい。夜中に何度も目が覚める。食事の時間が不規則になった。活動量の変化では、外出が減った、趣味的な活動をしなくなった、入浴の回数が減った、身だしなみを整えなくなった。また、家族との会話が減った、友人との連絡を避けるようになった、SNSの使用が著しく増えた(または減った)などはありませんか?

また、心の健康度チェックに加えて、日常生活での変化も合わせて確認するのがポイントです。セルフチェックを活用するコツとして、

  1. 定期的にチェックする 毎月1回など、定期的にチェックする習慣をつけましょう。状態の変化を把握しやすくなります。
  2. 記録をつける 可能であれば、チェックした結果を簡単にメモしておきましょう。時系列での変化が分かると、専門家に相談する際にも役立ちます。
  3. 環境要因も意識する 季節の変わり目や、仕事・生活環境の変化なども記録しておくと、自分の調子の波が分かりやすくなります。

セルフチェックの注意点とアドバイス

今回のセルフチェックはあくまでも目安であり、医学的な診断に代わるものではありません。

  • 死について考えることが増えた
  • すでに日常生活に支障をきたしている
  • 家族や周囲の人が心配している
  • 自分で色々やってみたが気分が改善しない

といった状態が続いている場合には、チェックリストの結果に関わらず、早めに専門家に相談することをお勧めします。また、チェック結果に不安を感じた場合も同様に、一人で抱え込まず、専門家に相談してみましょう!

 

心の健康を保つためのメンタルケアの方法

日々の生活の中でできるメンタルケアから、専門家に相談するタイミングなどを紹介したいと思います。様々な方法を組み合わせながら、時には一人で抱え込まず、ご自身に合ったケア方法を見つけていきましょう。

日常生活でできるセルフケア

まずは、日常生活の中でできるケア方法について紹介したいと思います。実は、基本的な生活習慣を整えることは、心の健康を保つための大切な第一歩です。いきなり全てを実践する必要なないので、できるものから始めてみましょう!

 規則正しい生活リズムを作る

心と体は、生活リズムと密接に関係しています。睡眠時間は特に重要で、毎日同じ時間に起きることを意識してみましょう。特に朝日を浴びることは、体内時計の調整に効果的です。目覚めたら、カーテンを開けて光を取り入れましょう。可能であれば、短時間でも朝の散歩を習慣にすると良いでしょう。また、食事も可能な限り決まった時間に取ることで、体内リズムが整いやすくなります。

 適度な運動を取り入れる

運動には気分を改善する効果があります。ジョギングやウォーキング、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす時間を作りましょう。運動は継続することが大切なので、「今日は5分だけ」という気軽な気持ちで始めるのがおすすめです。

 心の休息時間を確保する

一日の中で、心を休める時間を意識的に作ることが大切です。趣味の時間を持つ、音楽を聴く、深呼吸をする、お気に入りの場所でゆっくり過ごすなど、自分なりのリラックス方法を見つけましょう。

 

ストレスとの付き合い方

ストレスを感じるのは自然なことです。大切なのは、自分なりの解消法を見つけること。軽い運動や散歩、信頼できる人との会話、趣味の時間を楽しむなど、無理のない方法を見つけましょう。また、人との関わりも大切です。一人で抱え込まず、周りの人と適度なコミュニケーションを取ることで、心の健康が保たれやすくなります。ただし、交流に疲れを感じたら、休息を取ることも大切です。SNSの使用時間を決めておくのも良い方法でしょう。

専門家への相談

セルフケアを続けても症状が改善しない場合や、日常生活に支障が出ている場合は、専門家への相談を検討しましょう。最近では、自宅にいながら気軽に相談ができるオンライン窓口なども増えてきています。

主な相談できる専門機関は下記になります。

  • メンタルクリニック(精神科・心療内科):医師による診察、診断、必要に応じた治療
  • 心理カウンセラー:専門的なカウンセリング、心理療法
  • 公的な相談窓口:保健所の精神保健福祉相談、市区町村の相談窓口

初めての受診は誰でも不安だと思います。アクセスのしやすさ、診療時間、医師やカウンセラーとの相性もあります。近くに複数の機関があれば、複数行ってみて自分に合った医療機関を選ぶようにしましょう。

また、治療や相談を続けるコツは、無理のない通院計画を立てることです。診察時に伝えたいことは事前にメモしておくと安心です。また、可能であれば信頼できる人に付き添ってもらったりなど、サポートしてもらうのも良いと思います。

心理的な問題は昔に比べ、だいぶ改善されてきましたがまだまだ軽視されがちです。ですがメンタルケアは、決して特別なことではなく日々意識してほしいことでもあります。心の健康を大切にし、必要に応じてケアを受けることは、現代社会を健やかに生きていくために特に大切なことです。一人で抱え込まず、周りの力も借りながら、ご自身に合ったケア方法を見つけていってください。

外部リンク
参考:国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト(ストレスとセルフケア)

参考2:厚生労働省 こころの耳

 

【まとめ】はじめてのメンタルケア セルフチェックで分かる気分障害と心の健康

今回は気分障害についての基礎知識から、セルフチェックの方法、そして具体的なケア方法までご紹介してきました。気分障害は、現代社会において誰もが経験する可能性のある心の不調です。なので、風邪をひかないように、運動をする。健康を意識した食事をする。感染しないようにマスクをするなど、普段意識をしている体の健康と同じように心の健康も大切で、日々のケアが大切なのです。

そのために、定期的なセルフチェックを行うことで心の変化に早めに気づくことができます。また、気になる症状があれば、まずは生活習慣を見直してみましょう。規則正しい生活リズム、適度な運動、十分な休息など、日常生活でできるケアを実践することで、心の健康を保つことができ、気分障害以外にも効果があります。

最後に、とくに伝えたい大切なことは、「悩んだり、困った際には一人で抱え込まないこと」です。信頼できる人に話を聞いてもらうことや、専門家に相談することも、メンタルケアの重要な選択肢です。風邪を引いた時や怪我をした時、どこが痛い時に病院に行くように、ためらわず病院や専門家への相談を検討しましょう。

メンタルヘルスケアは、心豊かな生活を送るための大切な習慣です。体の健康と同様に、心の健康も大切にしていきましょう。