精神疾患にかかっても治療を必死に頑張り、長い期間をかけて回復したのに再発してしまってまた治療のやり直し・・・そんな話を聞くことがあります。実は精神疾患が回復した後に再発する人は多く、そのきっかけには様々な理由があります。今回はそんな再発のリスクや危険性について紹介をしていきます。
なぜ精神疾患は再発する可能性が高いの?再発のきっかけは?
うつ病や統合失調症、双極性障害など精神疾患といっても様々なものがありますが、どれも再発する可能性が高い病気だと言われています。なぜ再発する可能性が高いのでしょうか?
まずは完全に治療を終わらせずに、自己判断で治療を止めてしまう場合が挙げられます。例えばうつ病には「急性期」「回復期」「維持期(安定期)」といった3つの段階があります。この維持期になると、うつ病の症状から回復して日常生活を過ごせるようになる段階です。
そのため、もう大丈夫だと自分で判断してしまい、通院を止めたり薬を飲まなくなってしまうことがあります。これが原因となり、症状がぶり返してしまうなんてことがよくある話です。そして一度再発してしまうと、また再発する可能性が上がってしまいます。
過度のストレスが原因となる可能性もあります。大きな環境の変化などもストレスを蓄積しやすく、進学や就職、転職、引っ越しなど環境が変わったタイミングは自分の心理状態に気を付けるようにしましょう。
また、家族や友人といった親しい方との死別や離婚などが心へ大きな負担になるのはイメージしやすいかと思います。ですが、結婚や昇進といった本来ならば嬉しいことでも、人によってはストレスになる可能性があります。このようなストレスが溜まることで再発することがあります。自分はどのように感じるのか、ストレスが溜まった時にはどうするのかなどを日頃から確立しておくのが大切でしょう。
そして、精神疾患は再発しやすいことを理解していない場合にも、再発の可能性が高くなるきっかけになります。症状がひどい時は通院や薬をしっかりと飲むのですが、症状が軽くなったり、回復したように見えるとどうしても止めたくなる時があります。
そこで、本人が精神疾患は再発しやすいということを知っているかどうかで、最後まで頑張れるかどうかが変わってきます。そのため、本人を支えている周囲の方も再発しやすいことを理解しておくことで、薬止めても大丈夫でしょ、通院しなくていいよなんて言葉が出ないようにもなります。
ここからは一部の精神疾患の再発率などを紹介します。
うつ病はいったん改善しても約60%の可能性で再発し、2回うつ病にかかると70%、3回かかった人は90%と再発率は高くなっていきます。米国ではうつ病にかかった人で完全に症状が消失する人は3分の2、症状が変わらないか軽くなるだけの人は3分の1であると言われています。
統合失調症は非常に再発しやすい病気と言われており、初発の精神病症状が軽快したからといって服薬を中止してしまうと1年以内に約80%、2年では約98%の方が再発するという報告もあるそうです。
双極性障害は症状を放置して治療しなかった場合、一度自然におさまりますが、その後5年以内に約8割の方が再発してしまい、再発を繰り返すたびに社会的後遺症が大きくなると言われています。
外部リンク
厚生労働省 うつ対策推進方策マニュアル コラム・活動事例・資料格
日本精神神経学会 久住一郎先生に「統合失調症」(薬物療法)を訊く
GOOD HEALTH JOURNAL 双極性障害の第一人者に聞く 「躁・うつと上手くつきあう方法」とは?
治療中でも注意が必要!
精神疾患の治療途中では一時的に症状が落ち着く期間があります。うつ病なら回復期や維持期、統合失調症の回復期、双極性障害の部分寛解など名称は違いますが、目立った症状が落ち着き始める期間です。
この期間中に自己判断で治療を止めてしまうことがあります。治療を止めてしまうと一気に再発の可能性が高まってしまいます。完全に症状が治ったとしても、再発する可能性があるので自己判断で決めてしまうのは絶対に止めておきましょう。
どうしてこれが必要なのか、負担に感じていることなどを担当医に相談し、しっかりと自分の今の状態、今後の展開などを正しく理解する必要があります。
精神疾患が再発するときのサインはある?
精神疾患が再発しそうな時には、精神疾患が初めて発症した時の症状が現れます。
例えば以下のようなものが挙げられます。
- 気分の落ち込みや不安・緊張が高まる
- 眠れなくなる、すぐに目が覚めてしまう
- 食欲が過多にある、全くない
- 動悸がする
- イライラがおさまらない
- 集中力の低下
- 頭痛や腹痛、胃痛などが続く等
これらのような症状が治療が終わった後などに現れたり、何かおかしいと感じることがあったら医師に相談をしましょう。
精神疾患の再発を防ぐために気を付けることって?
まずは自分の今の状態を正しく知りましょう。
一度精神疾患にかかったということは、ストレスがかかった時に対処しなければ、また精神疾患にかかる可能性が高いともいえるでしょう。そのためには、ストレスがなるべくかからないような生活をする、ストレスがかかった時にはヘルスケアを行うなどのストレスを発散する必要があります。
また、回復した後でも服薬を続けていくことが必要な場合があります。これは再発のリスクを減らすためにとても重要な物です。症状が安定していると飲む必要が感じられないかもしれませんが、絶対に自己判断で飲むのを止めることはしないでください。悩んだ時には必ず相談してから決めましょう。
治療が終わったからといって医師に相談してはいけない、そんなことはありません。むしろ医師と一緒に、治療が終わった後に再発しないようにどのようにしていけば良いのか、今後どのように生活を過ごしていけばよいのかなどを決めていく必要もあります。
服薬の期間や量などは現在の様子を見たうえで、医師との相談によって変わる可能性もあります。完治した!もう通院も服薬も必要ない!なんて過信はせずに、ゆっくりと出来ることを増やしていきましょう。
この他にも生活習慣を整えるようにしておきましょう。適度な運動、適度な睡眠、栄養バランスの取れた食事は身体の健康を整える基礎であり、この基礎はメンタルヘルスを安定させるための基礎にもなります。
そして精神疾患の治療にはどうしても1年以上の長い期間がかかります。その休んでいた期間の分取り戻そうと無理をしてしまうことがあります。無理をしてしまうと、ストレスがかかりやすくなってしまいますし、休息を後回しにしてしまうこともあります。それではせっかく休んだ意味が無くなってしまいます。
自分のことを大切にしながら、焦らずに少しずつ取り戻していくようにしましょう。もしもおかしいな?と感じることがあったら、一旦休息やセルフケアを行ったり、担当医に相談したりしましょう。
ただ、このおかしいな?と感じることは些細なことかもしれません。そのため、普段の調子がいい時の自分と、少しストレスがかかってしまった時、強いストレスがかかった時などその時々に自分の身体や心に現れる症状を覚えておくようにしましょう。それがサインとなり、自分の異変に気付きやすくなります。
【まとめ】精神疾患は一度治っても再発する可能性が高いって本当?
今回は精神疾患の再発について紹介をしてきました。精神疾患はどうしても再発がしやすい病気です。正しい理解をして、再発のリスクを少しでも下げた生活を過ごしていけるようにしましょう。
もしも自分の身体や心からのサインが出た時には、すぐに専門家へ相談し、軽症のうちに治療に入れるようにしましょう。
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