精神疾患に罹った時、人は精神面の変化が起こると同時に「外見」にも変化が起こることがあります。以前はいつも明るい表情だったのに、最近は俯いて暗い表情ばかりといった変化です。
この外見の変化を見逃さないことで、本人に自覚症状がなく気付かない場合でも、周囲の方が気付いて声をかけることができるようになります。今回はどのような外見の変化が起こるのかを見ていきましょう。
精神疾患による外見の変化とは?
まず誤解の無いように記載しますが、外見といっても急激に容姿が変わったりするわけではありません。顔つきや表情、様子などを指す外見ということにご注意ください。では、それぞれの精神疾患によって起こりやすい外見の変化を挙げていきます。
うつ病
- 無表情
- ぼんやりとした表情
- 無理矢理笑っているような笑顔
- 疲れた表情
- 目の下にクマがたまり眠れていないような表情等
うつ病では抑うつや不安などで気分がふさぎ込んでしまい、表情が乏しくなってしまいます。また、活量の低下によって動く気力が減少することで、表情を動かす気力さえなくなってしまうことから無表情などになってしまいます。また、不安やストレスなどから不眠症状も現れるとクマがたまってきたり、疲れてくたびれたような表情をすることもあります。
外部リンク
厚生労働省 うつ病とは
適応障害
- 無表情
- 作り笑い
- 悲しげな表情
- 顔色が悪い
- 元気がない等
適応障害では環境のストレスなどによって心身に不調が生じて、日常生活に支障をきたします。症状としては抑うつや不安、無気力などが現れます。この症状から感情が表情に現れ辛くなったり、無表情やぼんやりとした表情が見られるようになります。
外部リンク
MSDマニュアル 適応障害
統合失調症
- 無表情
- 人と目や視線を合わせなくなる
- 感情表現が乏しくなる等
統合失調症の場合、感情が表に出にくくなることがあります。その影響で、顔つきや表情が変わり辛かったり、話し方にも抑揚が無くなり感情表現が乏しくなることがあります。また、人との関わりを避けるようになって閉じこもりがちになったり、視線を合わせることも減っていきます。
外部リンク
厚生労働省 統合失調症とは
もちろん今挙げた外見の変化は一部であり、これらの変化以外が見られることも多くあります。例えば常に緊張している、こわばっているなどが挙げられます。不安や緊張が強くなることで緊張状態が続きます。また、悩みごとや不安なことが増えることで考え事に囚われてしまい、他のことに気を回す余裕が無くなってしまうこともあります。
また、表情だけではなく身だしなみの乱れが起こることがあります。男女問わずに髪型が寝ぐせなどで乱れていたり、服装の乱れなどがある、男性は無精ひげだったり、女性はメイクの乱れなどが見られます。
外見以外にも行動面にも変化が起こる
精神疾患に罹った場合には、行動面にも変化が起こることがあります。例えば以下のような例が挙げられます。
- 怒りっぽくなる、イライラする
- 不安や恐怖を感じて確認行為を繰り返す
- 幻覚や妄想を訴えたり、話にまとまりがなくなる
- 行動にまとまりがない、寄り道をする
- 集中力の低下
- 思考がぼやけて緩慢になったり不適切な行動をする等
このような行動の変化が見られるようになります。原因としては精神疾患による影響であったり、心理的ストレス、身体疾患、薬物治療中の副作用などがあります。この中のどれと特定するのは難しいのですが、様々な要因が複雑に影響し合って行動の変化として現れている可能性があります。
外見などに変化があるからといって精神疾患とは限らない
ですが、ここで注意点です。こういった外見や行動の変化が現れたからといって精神疾患と決めつけることはできません。
一時的に疲労やストレスが溜まってしまい、それが外見や行動の変化に現れている可能性があります。その場合はしっかりと休息を取ったり、ストレスの発散を行うことで解消されることがあります。一般的にメンタルヘルスに問題が発生している時、その症状が2週間以上続いているもしくは、2週間経っていなくても困っている悩んでいる場合には医療機関の受診をしたほうが良いと言われています。
外見に変化が出ている時や困りごとが続いている時は医療機関の受診を
医療機関(精神科や心療内科など)を受診すると考えると、少し足が進まないなんて方は多くいらっしゃいます。それは、精神科などに対するイメージがあまり良くない、精神科などを受診したら自分が情けないと感じてしまう、一度受診するとたくさんの薬を飲まないといけないといった意見があります。
これらの多くは偏見や勘違いから生まれてしまっています。たしかに、一昔前は様々な薬を飲んで治療を行うといったこともありました。ですが、それも問題視されるようになって少しずつ改善が進んでいます。また、差別やイメージの問題に対しても様々な面からアプローチを行い、国からも差別や偏見を無くそうとした動きをしています。
これは精神疾患だけではなく、発達障害にもいえることですが、正しい知識を知らないからこそ差別や偏見がいまだに残っているともいえます。精神疾患は誰でもなるもので、意思が弱いからなるものではありません。
そして医療機関を受診することは悪いことではありません。その他の病気と同じで、早期発見・早期治療を行うことで重症化する前に対処することができ、回復するまでの期間が短くなることもあります。
自分では医療機関を受診するほど酷い状態なのか分からないよ。そんな気持ちの方もいると思います。まずは、お住まいの地域の相談窓口に相談してみてはいかがでしょうか?無料で相談できますし、医療機関などを頼るべきか相談することもできます。
外部リンク
厚生労働省:身近にある地域の相談窓口(保健所、保健センター、精神保健福祉センター)
メンタルヘルス(心の健康)を保つためには
最後になりますが、ここからはメンタルヘルスを守るために日頃から気を付けるべきことを挙げていきたいと思います。
まずは、身体の健康を大切にしましょう。栄養バランスの取れた食事、適度な運動、そして睡眠時間をしっかりと取ることが身体の健康を守る基礎です。メンタルヘルスの話をしているのに身体の健康?と疑問に思うかもしれませんが、身体の健康とメンタルヘルスは密接に関わりあっています。
高熱が出た時や病気になってしまった時に心細くなった経験はありませんか?身体の健康が損なわれている時には、メンタルヘルスにも影響が出ることがあります。そのためにも日々の生活の中で身体の健康を守ることが大切です。
次に自分のストレスチェックを行いましょう。自分の日常生活を振り返って、モヤモヤしたこと、引っかかっていることなどを挙げていきます。些細なことでも構いません。それが蓄積していくことで、普段では怒ったりしないことでもカッとなってしまうなんてことがあります。
もしもストレスチェックをしてストレスが溜まっていると感じた時は、リフレッシュをしましょう。手軽に出来る物ではその場でストレッチをしたり、軽い散歩、深呼吸などをしてみましょう。しっかりと時間が取れる場合には、睡眠時間をいつもより多く取る、趣味に没頭する、湯舟にしっかりと浸かるなどが挙げられます。人によって効果的なものは違いますので、自分にあったリフレッシュ方法を見つけていけると良いですね!
ただし、アルコールや煙草などを過度に摂取するのはやめておきましょう。健康面へのリスクがありますし、依存をまねく危険性もあります。過度の買い物やギャンブルなども注意が必要です。一時的なストレス発散にはなりますが、他のトラブルに発展し余計なストレスが生まれてしまうこともあります。
あまり聞かないかもしれませんが、カウンセリングを受けることも有効です。自分の話をしっかりと聞いた上で、自分だけでは考えつかなかったことや、自分では知らなかった自分の良い所を見つけるきっかけになります。以下の記事にて紹介していますので、よろしければこちらもご覧ください。
関連リンク
カウンセリングってどこで受けられるの?メンタルヘルスへの影響は?
【まとめ】うつ病や適応障害にかかると外見に変化が起こる?
今回はうつ病や適応障害などの精神疾患にかかった時に起こる外見の変化などを紹介してきました。本人では気付かない変化ですが、周囲から見ると分かりやすい変化です。
安易に断定してしまうのは危険ですが、まずは本人の話を聴いてみて、何かに困っているのか、疲れやストレスが溜まっているのかなどを確認しつつ良い方向へ進めるようにしていきましょう。
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